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★★服制★★regular de uniform

陸軍の服制は「陸軍服装規則」(陸達59)で決められています。
【正装】将校准士官、曹長以上の下士、儀杖兵
正帽(羽飾の前立(まえたて)附)・正衣袴・正肩章・飾帯(刀帯の上に巻く)・正緒(飾緒)を用い、勲章記章を着けます。
部隊の伝統により、正装はそれぞれ固有のものを使用します。新設部隊は陸軍省の制定した標準正装を使用します。おおよそ上質の布地に、あらゆるところに金糸・銀糸を使用して、仕立には大変に費用のかかるものです。
着用時:
   新年
   新年宴會・聯合共和國記念日・國家元首誕生日
   特に拝謁のため宮廷に参内する時
   陸軍記念日
   戰没者の為の祈祷日に癈兵院教會ないし陸軍墓地に参拝する時
   觀兵式・儀杖服務の時
   任官叙位叙勲の時
   民間であるならば大禮服を着用すべき時
   自家の儀式(賀儀葬祭)に着用できる(下士以下は親族の儀式にも適用可)
   動員部隊・邊境に在る部隊は、軍装・略装をもって代用可

【禮装】将校准士官、曹長以上の下士、儀杖兵
正帽(前立なし)・正衣袴・肩章・正緒を用い、勲章記章を着けます。
正装から前立(羽飾)と飾帯を除いたものです。
着用時:
   宮廷晩餐に陪する時
   夜會その他廉ある宴會に出席する時
   民間であるなばら通常禮服を着用すべき時
   動員部隊・邊境に在る部隊は、軍装・略装をもって代用可

【通常禮装】将校准士官、曹長以上の下士、儀杖兵
軍帽・軍衣袴・刀緒を用い、勲章記章(略綬にても可)を着けます。
普通の軍服に、ありたけの勲章記章をつけたものです。鮮やかな定色(兵科・兵種識別色)を帽・襟・肩章・袖・ズボンの側章・刀緒の裏革に使用します。
着用時:
   宮廷午餐に陪する時
   謁見・伺候のため宮廷に参内する時
   歳末祝詞のため宮廷に参内する時
   國家元首が参観・訪問する場所に参集する時
   特に上官に對謁する時
   民間であるならば通常服を着用すべき時
   民間の儀式(賀儀葬祭)にも着用できる
   動員部隊・邊境に在る部隊は、軍装・略装をもって代用可

【軍装】
軍帽・軍衣袴・刀緒を用い、勲章記章の略綬を着けます。
略綬を着ける以外は通常禮装と變りありませんが、足廻は此のまゝ武装して戰闘が可能であるように各兵科の規定に沿った巻脚絆や長靴を用います。
着用時:
   動員部隊に属する時
   衛戍勤務に服する時
   秋季演習および廉ある演習の時
   觀兵式、儀杖服務、部隊による癈兵院教會ないし陸軍墓地参拝の時(本来、正装すべきところ軍装をもって代えることができる)

【略装】
略帽・略衣袴を用い、勲章記章類は必要ある時に限り略綬を着けます。
公私の別なく平常着用する服装

【異装】
上官の許可を得て上記以外の服装をなす場合
野戰出動時には命令によって目立つ定色(兵科・兵種色)を取去って無地にして了ふ部隊がほとんどです。


★★将校の服装★★

【刀】
将校は刀を佩用します。腰に締めた刀帯で吊ります。
刀帯は、正装時には、正衣の上に(騎兵および獵騎兵将校は正衣の下)。其の他の服装時は、軍衣の下に締めます(そのため軍衣の左裾には切込が入っている)。
刀の上部の鐶を刀帯の釣金に掛けます。儋し乗馬時には此れを外しておきます。

【飾緒】
参謀(金色)および侍從武官(銀色)は常に佩用します。参謀以外の将官(金色)は、正装・禮装時に限り佩用します。
金線ないし銀線製が正則ですが、軍装・略装時には絹絲製の白茶色(金色と見做す)ないし白色(銀色と見做す)で代用しても可。

【懸章】
長官に随従中の高等官衙副官・傳令使(黄色)、勤務中の週番・衛戍巡察の将校(赤色)は常に佩用します。
右肩より左脇に斜めに掛けます。

【短袴】
長靴を穿く時には必ず着用します。乗馬ズボンの形です。乗馬部隊は内腿の部分に服地が擦切れないように廣い革のパッチを當てる事があります。

【手套】
白色革製が正則ですが、軍装・略装時には、革製(燻色・茶色・茶褐色)亦はメリヤス製(白色・鼠色・茶色・茶褐色)にて代用可。

【シャツ】
下襟(白布製立襟)と白シャツ(袖口附)を用いますが、軍装・略装時には白シャツを省略しても可

【靴】
○乗馬本分者は、将校准士官は長靴(ちょうか)を、下士卒は半長靴を穿き、拍車を附けます。(正装・禮装・通常禮装時には、隊伍に列する時以外は、成る可く短靴を穿きます。袴の下に裾を出して穿き、留革を附けます。拍車は短靴にも附けます。)
○其の他の者は、隊伍に列する時および軍装時以外は、短靴を穿きます(留革は、正装時以外の徒歩者では省略可)。
軍装時には、編上靴と脚絆を使用し、略装時には、制外の短靴(黒色に限る)を使用できます。
乗馬本分者以外の将校准士官下士官も勤務状況によって長靴を穿き、あるいは革脚絆を用いることができます。また場合によっては(後方勤務など)脚絆を使用しなくとも可です。万事、現状に沿って適宜になります。

【膝覆】
雨雪時の乗馬には膝覆を使用できます。

【刀帯】
騎兵・輜重兵・憲兵・獵騎兵将校は、刀帯が釣鎖(グルメット)ですが、釣革で代用できます。

【背嚢】
軍装時には、隊附士官は背嚢を負います。(各部士官は携帯嚢を掛ける)(隊伍に列せざる衛戍勤務の軍装に在っては、脚絆・背嚢を省略可)
背嚢には雨覆または夏外套を附着しますが省略しても可です。(巻いて左肩から右脇に掛けても可)
略装時には、背嚢と雨覆は用いません。


★★下士卒の服装★★

将校と違うところ:

【刀劍】
帯刀者: 全兵科各部の曹長、隊外に奉職する軍曹、騎兵、砲兵下士、輜重兵、憲兵、獵騎兵
刀は軍衣の上に刀帯を締めて佩びます。外套の場合も其の上から佩びます。
帯刀者以外は軍衣ないし外套の上に革帯を締め、銃劍を吊ります。

【拳銃・拳銃彈藥嚢】
隊伍に列する騎兵・砲兵下士、輜重兵・獵騎兵の曹長、警察勤務に服する憲兵が携帯します。
携帯革を左肩より右に掛け帯革ないし胴締(帯刀者)で上から締め、拳銃嚢を吊ります(ただし憲兵は帯革に附着する)。革帯ないし胴締には拳銃彈藥嚢を附着します。

【銃】
帯刀者以外で隊伍に列する者は、銃を携帯します。ただし雑卒・各部は銃を携帯しません。
帯刀者でも、騎兵・輜重兵・獵騎兵の軍曹以下は騎兵銃を携帯します。

【手套】
列外にある時は私物の手套(白色・鼠色・茶色・茶褐色)を使用可。

【舊制服】
服装規則改正前の制服で、色・形状が違うものは略装に使用可。

【靴】
次の區分で穿きます。
    編上靴: 歩兵、馭者以外の砲兵、各部(騎兵隊・獵騎兵隊附を除く)
    工兵靴(頑丈な作業靴): 工兵
    長靴: 重騎兵
    半長靴: 輕騎兵、中騎兵、砲兵の馭者、輜重兵、憲兵、獵騎兵、飛行兵の搭乗者・馭者、乗馬・馭者勤務雑卒、各部(騎兵隊・獵騎兵隊附)

【脚絆】
長靴・半長靴以外の着用者は、軍装時に巻脚絆を使用します。

【背嚢・外套・小銃彈藥盒・手旗・器具】
長靴・半長靴以外の着用者が隊伍に列する時は、背嚢を負います。
外套は巻いて蹄鐵状に背嚢に附着します。ただし輸卒は外套を巻き左肩より右脇に掛けます。
彈藥盒は帯革に附着します。
軍装時に手旗が必要な者は背嚢に束装します。
必要な器具も附けます。軍装時には、飯盒・豫備靴(必要な場合は携帯天幕・毛布)等

【水筒】
軍装時に携帯します。

【雑嚢・革雑嚢】
軍装時に、歩兵・要塞砲兵・海岸砲兵・獵兵は、雑嚢を携帯します。
また軍装時の憲兵、軍樂部下士相當者は、革雑嚢を使用します。

【背負袋】
軍装時の雑卒は、背嚢の代わりに、背負袋を負います。

【醫療嚢・繃帯嚢】
軍装時に、軍醫部看護長・看護手は醫療嚢、補助看護卒・擔架卒は繃帯嚢を負います。


帽子類


【軍帽】
下士卒の軍帽: 正面に真鍮製の陸軍星章が附いています。鉢巻部分は定色。目庇と顎紐は黒エナメル塗の革製。顎紐の釦は真鍮です。野戰勤務の略装では定色を取除き、星章は艶消に、釦は黒色ないしカーキ色に塗装したものに交換します。
将校准士官の軍帽: 下士卒と同じです。
将校准士官の軍装は官給ではなく私物なので、軍帽も仕立屋が軍衣袴と共に好みに合せて仕立てくれます。布地もキーキ色に似てさえすれば良いので、さまざまな色合いのものが見られます。たしょう服地の色が違っても階級章と軍帽の星章さえあれば、たとえ捕虜となっても正規軍装とみなされるからです。従って軍帽の形も本人の嗜好や部隊の傳統によって通常とは變った形があります。

装備類


【兜】
兵隊の被ってゐるのは鐡兜(最近、鐡帽と改稱)です。1920年に制式となりました。野戰規定により戰闘時の鐡兜着用が兵士の義務となりました。
【背嚢と革帯】
行軍の必需品は背嚢です。外側に毛布を括附け飯盒や錫製コップを吊っています。背嚢の左に組立式携帯スコップを附け塹壕を掘るときに使用しすが、狭い塹壕の中での白兵戰時には銃剣代りに多用されます。
背嚢の下の革帯には前盒2後盒1(彈藥入)が附きます。左腰には帯剣、右腰に防毒面を入れる金属円筒が附きます。
【雑嚢と水筒】
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雑嚢は野戰生活の必需品です。戰闘時には背嚢を後方に置いてくるので、雑嚢がなければ兵隊は嵩張る物を持歩くのに難儀します。携帯口糧から手榴彈まで何でも雑嚢にブチ込んで胴體に斜め懸けにし背後に廻しておきます。氣の利いた者は、雑嚢の帯を革帯(ベルト)の下に挟んで、躍進時にバタバタ跳ねないようにします。
水筒には獨特のナス環が附いており肩から吊革で腰に下げることもでき、また雑嚢のD環と結合して一緒に携帯もできます。此れはレミニア陸軍獨特の方式で兵隊に評判がよく、諸外國では見られないものです。      → top
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