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移民・在留外國人・在留外地人・亡命者・難民


【移民の歴史】
中世までのレミニアは、もっぱら純粋レミニア人が住んでいましたが、戰争が起きると外國から傭兵隊や騎士團が職を求めて大量に流入してきて、戰争が終わった後もレミニアに住み着くようになりました。何度も戰争が起きましたので、外國人は途切れなくやってきて、そのまま帰国することなく、のんびりした住み心地のよいレミニアに腰をすえてしまいました。また自由を求める逃亡奴隷や、過酷な領主から逃れてきた農民が巡礼團を装ってやってきては、荒野や山里を開墾して平和な村を築くことが多々ありました。
なかでも深南部の諸王國は隣國との戰争や小競合を毎年のように続けており、獨逸の騎士團と契約して強力な傭兵軍を維持したので、異国の騎士どもは報酬として邊境の未開地を領地としてもらって住み着きました。貧しい獨逸騎士階級の次三男にとっては冒険と戰争と安定した生活保障が得られたので、大量の若武者がやってきました。そのため深南部の村名は悉く獨逸語となってしまい今に至るまで続いています。
同じく大陸西部の諸邦では、ノルマン人から逃れてきたブリテン及びアイルランドからの騎士團が傭兵として流入し、やはり地名や人名が英語となってしまいました。
北部では仏蘭西の騎士が定住し、仏蘭西語風の地名が散見されます。
このような古い移民の無かった地方は純粋レミニア語の地名が残っています。南部(レミニア)や東北部(オルニア)です。
近世になると、故郷での宗教迫害や苛政を逃れてきた職人・農民が流入してきました。当時の純粋レミニア人の古代から余り変らない単純な生活ぶりに比べ、高い技能と勤勉さを持つ有能な人々であったため、レミニアの生産性は格段に向上し富が蓄積されていきました。
東方帝國による大陸南岸の占領は、さらに雑多な外國人の流入を招きました。アラビア人、東洋人、ユダヤ人などの中には、高度な古代文明を継承する博學の士が何人もおりましたので、學問が盛んとなりました。
近代には飢饉のため東歐や愛蘭から大勢の貧しい農民が流入してきました。レミニア東部から東北部にかけての邊境開拓地に入植して厳しい自然や先住民の襲撃と闘いながら直轄州を構成しています。
御参考までにレミニアの高等學校で一般に使われている教科書の移民史に就いて述べた一節を載せておきます。

移民

古来よりの人種的特徴を有する純粋レミニア人は全土に遍く暮らしているが、中世より移民も亦多く流入した。その系譜は、古きより新しきに従って陳ぶれば、第1に古代の遠征に因る虜囚奴隷の連行である。當時の戰争は版圖の擴大と共に勞働力の獲得が目的であったので、征服地の住民を捕らえ本國に連行し、自領の荘園に奴隷として配布する事が盛に行われた。此の為、支配階級と勞働階級は人種的に異なる外観を呈する程であった。これは中世を通じて行われたが、既に奴隷勞働に依る荘園はその非能率の故に解体しており、亦遠隔地にまで大規模な遠征を行うだけの兵力結集が不可能なほど領地の細分化と小領主分権化が行われ、奴隷獲得は近隣領主同士の私闘による小規模なものとなっていき、絶対君主制國家の成立と共に消失した。
北帝國の領主は相次ぐ遠征に伴って第1の戰争虜囚を大量に獲得し、これを奴隷商人に賣却し利益を得たのであるが、荘園主は奴隷を大量に購入してこれを農奴となし、大規模な農業經營を行った。やがて時代の推移と共に荘園は癈止され農奴は小作農乃至農業勞働者へと轉化し、その中から自作農が輩出するに及んだ。
第2の移民は中世を通じて行われた騎士團の殖民である。領主の次三男は長子相続制の下、恒産を求めて新天地に進出し、自らの手により自領を新規に開設する必要を持っていた。この目的に沿って騎士團を結成して蛮地を武力占領し、其處の住民を統治下に置いて新たな領主と成ったのである。また全く農耕民が定住しない地方を占領した騎士團は、廣く移民を募集し生産力の向上に努めた。
第3の移民は中世後期より近世にかけて盛んであった外國より招聘した傭兵部隊及び騎士團がその儘招聘主の臣下として定住したものである。
第2、第3の移民は相前後し、或いは同時に行われる事が多く、例えばレーベ王國は當初の純粋レミニア人の數では到底統治出来ない廣さの版圖を短時日の裡に統合し悉く豊かな農場と化したが、それは全くドイツ人騎士團の招聘と、それに伴うドイツ人農民の募集によったからに他ならない。また例えば、デーモン自由國は傭兵部隊となって流浪していたドイツ人騎士團の分派が定住して治安を確保し移民を募集したことにより、次第に自由農民に憧れる移民が集合するようになったので知られている。
更に母國での宗教迫害や人種差別を逃れて流入し来る熟練職人や知識人も多く、彼らが特殊な技能を持つが故に、これを受容れる領主や都市に於いては手工業の著しい發達が見られた。

【移民の現在】
必要な勞働力が満たされた現在、入國審査が厳しくなり移民は制限され、婚姻や養子縁組によるものの他、護郷軍の外國人義勇兵として5年間軍務に就くと、國籍を取得できるようになっています。
無制限に受入れてきた移民は既に廢止され、國際条約により各國毎に外務省が受入人數の枠を定めています。外事警察が移民の審査と外國人出入國管理を擔當しています。

【在留外國人】
在留外國人は約4萬人おり、毎年千人程度の増加を見ています。最も多いのは國際貿易港ダーリエ市で1萬人、中世からの東方帝國の前進基地だったところです。次いで9千人のメトロポリス市、これは首府なので外國の公館や會社支店が多いからです。その他主要な大都市には各千人程度がおり、小都市には各100人くらいが住んでいます。
外國人の國籍は、中華民國3萬人、英國2千人、米國2千人、露西亜1,600人、獨逸千人、仏蘭西500人、その他は各國100人程度宛です。
在留外國人は永住者と非永住者に區分され、いづれも内務省の發行する在留外國人登録證を携帯し、一年に一度は外事警察に出頭して登録證を更新しなければなりません。登録證が無いと密入國者として外事警察に拘留され國外退去處分となります。こうして政府は外國人の入國を管理します。
國内に永住する資格があるのは政府の認めた条件を満たす者ですが、その子弟・配偶者もまた永住が自動的に認められます。
永住しない者は先ず觀光客や短期の訪問者、單なる國内通過旅行者、外國船舶・國際鐵道などの交通從業員の一時上陸、巡回興業の遊藝人などです。次に商工業に携わるため長期間滞在する者があり、學藝に携わる留學生・招聘教授、も多く見かけます。そうした人々の中には定住してしまう者がいます。

【在留外地人】
最近問題となっているのは、外地人の流入です。レミニア聯合共和國の版圖にある諸保護國に籍のある住民は外地人と稱し、内地への出入は外國人に準じた扱いを受けます。互いに入國査證も發行し、内地に在留する外地人は外事警察に登録しなければなりません。警察では過激派分子と賣春婦の流入を警戒しており、外地人の管理は厳重です。またこうした管理は在留外地人が内地政府に納税し福利を受けるために必要な措置とされています。税務署は外地人から國税を徴収し市町村は地方税及諸社會保險料を徴収します。外地人の子弟が學齡に達しても小學校に通っていなかったりすると、外事警察から通知を受けた市町村では特に注意を拂って就學の手續をとります。税金と諸社會保険料さへ拂っていれば聨合共和國民と同一の社會福利を得られます。
レミニアの農村では人手が足りてきたので今はそうでもありませんが、特産品の収穫期になると、やはり舊東方帝國など外地からの出稼人を雇わなければならないため、大勢の外地人が滞在して勞働に從事します。内地人に比べ賃金が驚くほど安いので、農業以外にも急を要する土木工事・鐵道敷設、工場の非熟練勞働では大量に雇用します。この中から故郷に歸らず、其の儘他の職場に雇われる場合が増えています。外地人勞働者の排斥事件が頻發しますが、これは安い賃金の外地人の進出により失職した内地人が報復を行おうとするからです。
外地人の中には商才と勤勉さを發揮して自ら事業を營む富裕者もあります。主要都市には同郷人だけで集住地區を形成し相互扶助を目的とした「新チェフルボ」(舊東方帝國人)、「小リズノルダ」(リゾネシア王國人)などの地區が設けられつゝあります。それぞれ自治組織を作り、相互扶助と地區の治安維持、スラム化防止を意圖していますが、その運營形態は故郷の秘密結社のそれと同じであるため良いも悪いも一緒くたになっており、結社員のためなら非合法行為も認められるという困った慣習が蔓延しており、レミニア外事警察の頭痛の種になっています。

【亡命者・難民】
本國で迫害に遭うべき立場になった人々が亡命してくることがあり、ゴルゴニアの赤色革命時に逃げ込んできた貴族・資産家を受入れた事例があります。現在では外務省が認定する外國人を亡命者として扱い、外事警察はその身の安全を保障しています。さらに戰災を逃れてレミニア版圖内に流入した外國人民はこれを難民と呼び、その集住地區を設けて紛争解決となるまで保護を輿へる事があります。  → top

紛れ込んだ外國の子供

【レミニア國籍取得者】
外地人及外國人は法務省に提出した歸化申請が認められると聨合共和國の國籍を取得出来ます。10年以上レミニア聨合共和國に在住する事、犯罪歴の無い事が要件です。其の時には元の外國籍を放棄しなければなりません。
また婚姻乃至養子縁組による歸化は自働的に認められます。
國軍(陸海軍及護郷軍)に5年以上在隊した外國人及外地人の軍人は自働的に歸化が認められます。聨合共和國の國籍を持っていれば有利な就職先に恵まれるので除隊外地人は本土に留まらず外地にある故郷に還る事が多く、現地に於いて有力な在郷軍人階層を形成して居ます。

【レミニア人の在外居留民】
外地及國外に居住するレミニア國籍所有者は在住地に於いて組織される居留民團に全員が属して居ます。民團は税を徴収し其れを以て學校・病院・教會等を設置して居留民の福利に當り、租界に於いては領事館警察が治安維持に當ります。上海等の共同租界に於いては租界自治體にも納税しなければなりません。

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