禮式
禮式次の様に區分して使用します。
閣下: 國家元首、将官・同相當官、親任文官・勅任文官
殿: 佐官・同相當官以下、奏任文官以下
陛下: 王族(王、王妃、王太妃など王の尊属)
殿下: 王族(王子、王孫、太公など王の尊属以外の王族)
直接に呼びかける時: 「陛下」「殿下」「大将閣下」「大尉殿」「曹長殿」
他人との話の中で引合いに出す時、または數人の上官居合せる所で、その一人に呼びかける時: 「A王子殿下」「B中将閣下」「C少佐殿」「D軍曹殿」
場合により職名で讀んでも可: 「軍司令官閣下」「聯隊長殿」「班長殿」
(注意點)よびかけ以外には、尊稱を使用しません。
例えば
将官宛に佐官が公文書を呈する時: 宛名は尊称の「閣下」ではなく、公文書で通常使用する敬稱の「殿」となります。
大隊長が職務上、聯隊長の命令を他人に傳達する時: 「某大佐殿の命令」や「聯隊長殿命令」ではなく尊称を附けず職名を使って單に「聯隊長の命令」や「聯隊長命令」と云わなくてはなりません。
二等卒が軍曹に向い某上等兵のことに言及する時: 「某上等兵殿が」ではなく、尊称を除いて「某上等兵が」と云うのが正確です。
自分の事を指して云う時は、「自分」(會話で使用)「餘」(司令官が命令文の中で使用)と云うのが普通です。海軍は「自分」の代りに「私」を使います。(「俺」「儂(わし)」と云うのもあり、幼年學校出身者や古参者が好んで使います。「僕」は貴族出身者が稀に使いますが、餘り歓迎されません。)
自分の姓を使いFならば「Fは云々」と云うのも、よくあります。暗夜とか、教練中、戰闘中などには便利です。
申告などする時は、
「F伍長は」と 自分の姓・官名を云います。 → top
《どちらが先にするか》
軍人は互いに敬禮します。相手が上官の場合は、こちらから先に敬禮をします。そして上官が敬禮を止めるのを待ちます。相手が手を下ろすと、初めてこちらも敬禮を止めます。逆になると大變な失禮(無禮)をした事になります。最初から敬禮をまるきりしない(缺禮)のでは、お話しになりません。上官は下級者に敬禮をチャンとさせるよう、いつも氣を付けておき、間違いをした時には訂正するように規程されています。
「禮式非違者處分方」陸達20
1 下級の者缺禮するときは受禮者は其所管隊號姓名を問い自己所属の長官に上申し長官より缺禮者所管長官に照會し其所管長官は夫々處分の上其趣原告長官へ通知すべし。
2 下級の者敬禮を行ふに方り其方式に違うときは其の所管隊號姓名を問ひ違式者所管又は本隊に其趣を通知し其の所管又は本隊に於ては厳に違式者を教戒すへし
但し受禮者下士なるときは自己の所管長官又は隊長に其の趣を上申し其の所管又は本隊より違式者所管又は其本隊に通報すへし
上官も敬禮された場合は、答禮しなければなりません。
階級が自分より上のものは上官となりますが、「上等兵・一等卒・二等卒・雑卒」は全等級をまとめて「兵卒」と云う一つの階級ですから、互いに敬禮する時は後先の考慮は不要です。
上級者のとるべき職を代理する場合でも、現在の階級に對しての敬禮を受けます。(12)
《生徒は?》
士官學校生徒の身分は隊付が基本で、所属隊から士官學校に生徒として派遣される形をとりますので、隊付勤務中(現場實習のようなもの)に士官候補生として兵卒から軍曹まで順を追って進級し、さらに見習士官として曹長となります。従って敬禮は今ある階級より見て上官に對し先に敬禮し、下級者には答禮を返せばよいわけです。
幼年學校生徒は一等卒相當の軍属扱いですから、相手が下士官以上なら誰にでも先に敬禮しておけば可です。
《上等兵は下士なみ》
上等兵は下士と同一の敬禮を受けます。(15)
《同階級どうしは?》
互いに同じ階級の場合は、どちらが後先という事なく兩方から敬禮します。役種(豫備役後備役など)は關係がありません。どちらが先に手を下ろすかの規程はありませんが、古参者から先に敬禮をやめるのが自然です。目安としては士官學校の卒業期が古いか新しいかが基準となりますが、學校出ではない准士官出身者などは年齢で判断するのが一般的です。士官學校出身者でも准士官出身者が自分より年上ならば、こちらから先に敬禮し、相手が敬禮を止めるのを待って初めてこちらも敬禮を止めるのが常識です。
《相手がよく識別できない時は?》
遠距離、夜間、服装によって相手の階級が判別できない時は、どちらが先ということなく互いに敬禮します。(3)
部隊・衛兵の敬禮は、夜間には行いません。(7)
《相手が一人でない時は?》
二人以上の軍人に對する時は、最高級者に対し相當の敬禮をします。答禮は、その最高級者のみがします。(5)
《こまかいこと》
答禮は場合により省略できます。(挙手注目あるいは刀禮を單に注目に代えるなど)(2)
相手が異装・私服でも、面識あれば「單獨の敬禮」をします。(4)
「國歌」の奏樂を聞く時は直ちに姿勢を正します。(4)
軍旗は敬禮時には覆を取去り立てた状態にします。(8)
外國の君主に対しては、公式の場合に限り、國家元首に準ずる敬禮をします。(9)
《陸軍以外の軍人は?》
海軍・民兵の軍人・軍隊、親和諸國の軍人・軍隊にも、陸軍禮式を適用します。(11)
《軍属は?》
軍に勤務する文官・雇用者を軍属と云い、陸軍禮式を適用します。法務部の法務官や看守、宗務部の聖職者には制服がありますので、敬禮は軍人と同じ式です。
制服の無い陸軍教授、酒保商人、洗濯職などは、室外においては「挙手注目」の代りに「脱帽注目」とします。(「陸軍軍属敬禮」陸達113) → top
歩哨の「氣ヲ附ケ」「注目」をすべきは(敬禮は不要):
各部准士官相當官以上
下士・上等兵
略綬を着用した帯勲者
歩哨が敬禮する時は、定位置に立ち受禮者約6歩手前に来る時に、捧銃(あるいは肩刀)にて注目の敬禮をし、6歩過ぎるまで、そのままの姿勢を保ちます。(109)
ただし下士・上等兵と帯勲者に對しては、執銃(あるいは肩刀)の儘「氣ヲ附ケ」の姿勢をとり注目します。(112)(116)
歩哨が兵卒から敬禮を受けた時は、執銃または肩刀のまま姿勢を正します。(注目は不要)(117) → top
國軍總司令官及将官(124)が軍隊駐屯地に到着し、またはそこを出發する時、當該軍隊は正装した儀杖隊を編成して途上を警備し、また儀杖衛兵を編成して宿泊所を守衛します。(119,120,121,128)
儀杖隊の派遣場所は;
波止場
停車場
市外約10丁の所(或は迎送式の隊列より遠い所)
のいづれかです。場所は衛戍司令官が決めます。(122)
儀杖兵を供する時:
國軍總司令官が軍隊駐屯地を訪問・通過する事があって、その到着・出發の時。
元帥、陸軍大臣、参謀總長、檢閲總監、大總督、陸軍大将、特命檢閲使たる将官が公務で軍隊駐屯地を訪問し、その到着・出發の時
軍隊の長たる将官(軍司令官、師團長、旅團長など)が初めて部下軍隊駐屯地に着任し、また轉職等のため離任する時(125)
儀杖兵は乗馬獵兵ないし歩兵が望ましく、他兵科であっても徒歩編成(歩兵に準する隊形)とします。儀杖兵は晝夜どのような時でも出場します。(127)
儀杖隊の敬禮は部隊の禮式をとります。儀杖衛兵は衛兵の禮式と同じです。普通の衛兵と事なり、儀杖を受ける人と同級以上の人ならびに軍旗に對する以外は、誰にも敬禮しなくて良い事になっています。ただし儀杖衛兵の歩哨は通常の禮式どおり敬禮します。普通の衛兵は夜間の敬禮は行はなくとも良いのですが、儀杖衛兵に限って夜間でも敬禮します。(129,130,134)
儀杖隊の編成:
國軍總司令官 軍旗を立て聯隊長が指揮する獵騎兵1中隊または歩兵1大隊
總理大臣 軍旗を立て中隊長の指揮する獵騎兵2小隊または大隊長の指揮する歩兵2中隊
元帥、陸軍大臣、参謀總長、檢閲總監、大總督、陸軍大将、特命檢閲使たる将官 中隊長の指揮する獵騎兵1小隊または歩兵2小隊
陸軍中将 中尉の指揮する獵騎兵半小隊または歩兵1小隊
陸軍少将准将 少尉の指揮する獵騎兵半小隊または歩兵1小隊(132)
儀杖衛兵の編成:
國軍總司令官 軍旗を携え大隊長の指揮する歩兵1中隊(正門歩哨は複哨)
總理大臣 軍旗を携え中隊長の指揮する歩兵2小隊(正門歩哨は複哨)
元帥、陸軍大臣、参謀總長、檢閲總監、大總督、陸軍大将、特命檢閲使たる将官 中尉の指揮する歩兵1小隊(正門歩哨は單哨)
陸軍中将 中尉の指揮する歩兵半小隊(正門歩哨は單哨)
陸軍少将准将 少尉の指揮する歩兵半小隊(正門歩哨は單哨)(133) → top
國軍總司令官および将官(136)が軍隊駐屯地に到着し、また出發する時、迎送のため軍隊は整列します。(135)
迎送式は夜間は行いません。(138)
出場者の服装は、将校が通常禮装、下士以下は略装。(139)
整列部隊の兵數:
國軍總司令官 該地衛戍兵の全て(所要勤務兵を除く)
總理大臣 該地衛戍兵の半部
元帥、陸軍大臣、参謀總長、檢閲總監、大總督、陸軍大将、特命檢閲使たる将官 該地衛戍兵の1/3
軍隊の長たる将官(准将を含む) 該地駐屯部下部隊の全て(所要勤務兵を除く)(140)
整列の場所は、波止場・停車場・市街地の入口のいづれかと受禮者宿泊所の間とし、道路の一側または兩側に整列します。受禮者の来る方向を上とします。受禮者が列車などで通過する場合も同じです。(141)
受禮者がその場に来る時は、整列部隊は部隊の敬禮を行います。(142)
衛戍司令官は、國軍總司令官ないしその代理者の迎送に際して、波止場・停車場ないし市街地の入口に出迎え、宿泊所まで随從し、出發の時は同じく随從して波止場・停車場ないし市街地の入口まで送ります。(143) → top
國軍總司令官ないし将官(146)が軍隊駐屯地に到着後24時間以内に、また出發前24時間以内(148)に、宿泊所に将校が挨拶に伺います。(145)
服装は迎送式と同じです。(146)
伺候者:
國軍總司令官ないし總理大臣に對しては 該地所在の将校以上
元帥、陸軍大臣、参謀總長、檢閲總監、大總督、陸軍大将、特命檢閲使たる将官に對しては 該地所在の佐官以上
軍隊の長たる将官(准将を含む)に對しては 該地所在の所属将校以上(147)
各階級の總代が伺候することで濟ませることも可能です。(147)
伺候は衛戍司令官の設けた時刻に同時に行います。對話陳述を控え、敬禮を行うのみです。(151)
受禮者が拝謁・對謁の時間を取れなかった場合は、帳簿に官氏名を記するか、名刺を呈して、その禮意を通じます。(149)
國軍總司令官誕生日と建軍記念日には、正装した團隊を集めて閲兵(閲兵式)と分列行進(分列式)をします。(152,153,155)
どのように小さな衛戍地や分遣隊でも必ず分列式丈はします。(158)
觀兵式の指揮を執るのは、その地の高級(先任)團隊長ですが、それが自ら觀閲をする場合は、次級の團隊長が指揮します。(156)
閲兵をするのは:(157)
國軍總司令官の時、 その地の全将校が出場(157))
元帥、陸軍大臣、参謀總長、檢閲總監、大總督、陸軍大将の時、特命檢閲使たる将官
軍隊の長たる将官の時、軍司令官、師團長、旅團長など → top
祝日において、または國軍總司令官・将官に對し敬禮のため野戰砲を發砲(空包にて)します、これを、禮砲式と云います。(106)
その數は:(162)
聯合共和國結成記念日、臨時祝日(凱旋式當日など) 101發(野戰砲兵隊を持つ全國すべての衛戍地が行う(165))
元帥、陸軍大臣、参謀總長、檢閲總監、大總督、陸軍大将、特命檢閲使たる将官に對して 19發
軍司令官に對して 13發
その實行する時は:(163)
聯合共和國結成記念日(當日正午より行う(164))
國軍總司令官が野戰砲兵隊駐屯地を訪問ないし通過し、その到着・出發の時
元帥、陸軍大臣、参謀總長、檢閲總監、大總督、陸軍大将、特命檢閲使たる将官が、公務のため野戰砲兵隊駐屯地に赴き、その到着・出發の時
軍司令官が初めて部下野戰砲兵隊駐屯地に赴いた時、および轉職等にてその地を發する時。
その他、特に規程あるか、または特に命令ある時
(以上、晝間に限る) → top
隊の将校に新しく命課が與えられた時には、其の将校の部下となる隊を營庭に整列させ、隊長がその旨を紹介します(例えば中隊長大尉乃至中隊附少尉ならば中隊全員、大隊長少佐ならば大隊全員、聯隊長大佐ならば聯隊全員)。兵科以外の将校相當官(各部士官(軍醫や主計等)及准士官(将校と同じ職務を行う准尉、少尉補)には布達式が無く、部隊長が適宜紹介します。また兵科将校であっても隊本部勤務者(副官、参謀、陣營掛等)の場合、戰闘状態にある時は布達式を行いません。
布達される将校が部隊長であった時は、布達者は直属の上級司令官となります。旅團直轄部隊の時は旅團長(例えば野戰高射砲兵旅團獨立照明中隊)、師團直轄部隊の場合は師團長(例えば師團工兵大隊)、軍直轄部隊の場合は軍司令官(例えば軍野戰重砲兵旅團)が布達者です。部隊の衛戍地内に所属の上級司令部がない場合は衛戍司令官(衛戍地の最上級先任将校)、隊長自身が衛戍司令官の場合は、部隊の次席先任将校(聯隊ならば聯隊附中佐、大隊ならば先任中隊長)が布達者です。「因テ我等一同同官ニ服従シ」となります。蛇足乍ら旅團長以上の司令官を對象とする布達式はありません。旅團以上の司令部は部隊ではないからです。また聯隊區司令部、學校なども部隊ではなく官衙なので布達式はありません。
○順序
1 隊長以外の先任将校(聯隊の場合は聯隊附中佐、大隊の場合は大隊の先任中隊長、中隊の場合は中隊附中尉)が隊を指揮し着剣執銃(兵科により帯刀)にて整列する。
2 聯隊長自身が布達される将校である場合は、軍旗を立てる。
3 被布達将校は隊の中央前にて、隊列に面し肩刀をなし、布達者の左側に位置する。(布達者が下位の場合は、右側に位置する)
4 布達者は附属の喇叭手に「氣ヲ著ケ」の號音を吹奏させる。
5 指揮将校は隊に「注目」を命ずる。
6 布達者は附属の鼓手に「布告」の號音を打たせる。
7 布達者は、例えば「國軍總司令官の命に依りいい、陸軍歩兵大尉准男爵何某今般歩兵第1聯隊第1中隊長に補せらあある。因て同官に服從し各々軍紀を守り職務に勉励し其の命令を遵奉すべええし!」と唱える。
(布達者が下位の場合は、「何某」に敬称を附し(普通は「殿」、准将以上は「閣下」)、「因て同官に服從し」のところを「因てわれら一同同官に服從し」と唱える。
8 布達者は隊に「直レ」を命令する。
9 隊の指揮将校は「捧銃(ささげつつ)」(帯刀部隊にあっては「捧刀(ささげとう)」)を命令する。指揮将校は刀禮する。
10 整列部隊は被布達将校に注目し、隊喇叭手、鼓手、笛手が「國歌」を吹奏する。
11 布達者と被布達将校は、互いに向き合って刀禮を交わす。
12 被布達将校が聯隊長・大隊長・中隊長の場合は、その部下隊が新隊長に対し徒歩分列式を行う。(但し乗馬隊は乗馬分列式、車輛を伴う特科隊は徒歩となり歩兵隊形をとる (rem))
13 第1期檢閲未了の兵卒及列外者は、本隊の後方に整列し、分列式には加わらない。
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○順序
1 部下隊の上級先任の将校が指揮して、着剣執銃(兵科により帯刀)にて整列する。
2 離任者は隊中央前にて隊列に面し、
3 隊は「氣ヲ著ケ」の喇叭にて威儀を正し、次いで「注目」の號令にて離任者に注目する。
4 離任者は短く告別の辞を述べる。
5 隊の喇叭手・鼓手・笛手が「惜しみて餘りある」の譜を吹奏する。
6 隊は離任者に對し分列式を行う。
7 第1期檢閲未了の兵卒及列外者は、本隊の後方に整列し、分列式には加わらない。
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○柩
1 柩は黒布で覆い、勲章記章褒賞をその上に排置する。
2 准士官以上は、さらに本人生前使用の正装(正衣袴・肩章・帽・飾緒・帯刀(劍)・刀緒)を排置する。
3 葬送途上の柩は砲車に載せる。
4 乗馬本分者は、乗馬を柩の後ろに(馬卒をもって)牽かせ、その馬具をすべて黒布で覆う。
○儀杖兵發差
1 准士官以上、功3級以上の勲章所持者、従軍中の下士卒、従軍記章を有する下士卒には、正装の儀杖兵(徒歩編成・喇叭手鼓手附属)を派遣する。
2 儀杖兵は喪家の門前より葬祭場までの途上、柩の前後に列し護衛をなす。
3 團隊長たる大尉以上の葬送には、部下軍隊すべて正装し徒歩編成にて葬送途上の道の両側に堵列し見送る。堵列する軍隊の指揮は、死者次級の者がとる。軍旗ある隊は、儀杖兵中に旗手・軍旗衛兵を派遣し、これをたてる。
隊列の位次は、柩の来る方を上とする。
堵列場所は、葬儀管理者たる衛戍司令官又は團隊長が決定する。
4 儀杖兵は儀杖服務中、柩に對する外は、すべて敬禮を行わない。
5 葬送距離が半日行程(約12km)以上の場合は、儀杖兵を派遣しない。
6 儀杖兵のない(軍隊が駐屯しない)地方では、儀杖を派遣しない。
7 該當衛戍地にて規程數の儀杖兵が充足できない時は、兵員を減ずる。
○儀杖兵の兵員・編成
1 元帥: 歩兵1聯隊(聯隊長指揮)
2 大中将・功1級叙勲者: 歩兵2大隊(大佐または中佐指揮)
3 中将相當官・少将・功2級叙勲者: 歩兵1大隊(佐官指揮)
4 少将相當官・大中佐・功3級叙勲者: 歩兵2中隊(少佐指揮)
5 大中佐相當官・少佐: 歩兵1中隊(大尉指揮)
6 少佐相當官・大尉: 歩兵2小隊(中尉指揮)
7 大尉相當官・中少尉・同相當官: 歩兵1小隊(少尉または准尉指揮)
8 准士官: 軍曹1・伍長1・上等兵2・兵卒20(曹長または軍曹指揮)
9 曹長: 伍長1・上等兵2・兵卒16(軍曹指揮)
10 軍曹: 上等兵2・兵卒12(伍長指揮)
10 伍長: 兵卒10(上等兵指揮)
11 上等兵: 兵卒6(古参卒指揮)
12 一二等卒・雑卒: 兵卒4(古参卒指揮)
(海軍より要請ある時は、上記に該當する編制區分に従って派遣する)
○儀杖の順序
1 儀杖兵は喪家の門外に整列する。
2 柩の出る時は、その死者官階相當の敬禮をなし、喇叭手は低濁の音調をもって「命ヲ捨テテ」を吹奏する。
3 隊を二分して柩の前後に備え、側面縦隊にて行進し、兵は銃を逆にして臂下に執る。行進間、喇叭手は鼓手の伴奏のもとに「惜ミテ餘リ有」を吹奏する。
4 堵列する軍隊は、柩の通過する時、その死者の官階相當の敬禮をなす。
柩の通過後、指揮官は鼓手に「解散」の號音を命じ、これをもって各隊は解散する。
5 葬祭場に到着すれば横隊をなし、葬祭の間「立銃」のままとする。
6 葬祭の告詞が終れば敬禮し、鼓手が「埋葬」の號音を發した後、喇叭手は低濁の音調をもって「就寝」を吹奏する。
7 尉官以上の死者には、弔銃齊發をなす。
その回數は: 尉官1回、佐官2回、将官3回
8 敬禮を終って直ちに退場する。
○總代會葬
陸軍會葬の禮遇を行わない場合は、その一般葬送時に同官等以下の者を總代として會同(参列)せしめる。
總代人員:
将官・同相當官: 同官等者1、上長官1、士官1
上長官・士官: 同官等者1、士官1
准士官: 同官等者1、准士官2、下士3
下士: 同官等者1、下士3、兵卒4
兵卒: 同等級者1、兵卒3
總代は正装して、柩の左右に随行し、葬祭場においては親族の次に列する。
○表喪式
1 會葬式派遣の軍隊は、軍旗・喇叭・軍鼓に喪章を附し、准士官以上および見習士官は刀(劍)に喪章を附す。
2 聯隊長・大隊長・中隊長の喪には、その部下将校・同相當官は一箇月間、刀(劍)に喪章を附す。
軍旗ある隊は、後任者拝命まで旗に喪章を附す。
3 将校・同相當官・准士官は親族の喪に居る時は、服喪期間中、衣の左袖に喪章を附す。
軍旗の喪章: 幅2寸長4尺の黒布を旗竿の上端に附す。
喇叭の喪章: 幅2寸長2尺の黒布を前身と後身に附す。
軍鼓の喪章: 黒布をもって全体を覆う。
刀(劍)の喪章: 幅2寸長2尺の黒布を柄に附す。
衣の喪章: 幅2寸の黒布を左腕に巻く。 → top