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兵事機關militafer oficey, enlistment offices

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 國軍の徴兵・募兵・召集は、軍と内務省との密接な協力のもとに實行されます。  → top

【地方の兵事官公吏】
陸海軍の徴兵・動員・民間防衛に伴うこまごまとした事務を處理するため、全國の懸廳(邊境では州廰)に「兵事課」、その出先である郡役所に「兵事掛」があり、市區町村の兵事を監督します。
市廰・市役所には「兵事課」が、區役所・町村役場には「兵事掛」があります。
【陸軍の兵事機關】
常備の軍司令部(機動軍・飛行軍・外地駐屯軍を除く)は、軍管區内に8箇の「聯隊區司令部」を設け、隷下部隊の徴募・動員業務を行います。軍司令部隷下の歩兵聯隊は8箇あって、それぞれ縣(邊境は州、以下、州の記述を省略)ごとに1箇聯隊が半永久的に駐屯しています。從って1箇聯隊區司令部は1箇歩兵聯隊の兵員徴集に携わります。
軍司令部直轄の特科部隊は軍管區内の全8箇聯隊區が分擔します。例えば第1師團管區内の4箇聯隊區は、第1師團直轄の龍騎兵第1聯隊・野砲兵第1聯隊・工兵第1大隊・輜重兵第1大隊を受持つという具合です。兵員配賦は、歩兵聯隊が各聯隊區均等ですが、特科は地域の住民特性を考慮して軍司令官が決めます。
 「聯隊區」は、郡・市ごとに「徴募區」に區分され、「第○徴募區」というふうに順番号で呼ばれます。區制を敷く市は、さらに區ごとに「檢査區」を置きます。

聯隊區司令部編成例

聯隊區司令官(少佐)、從卒、馬卒
    副官(中尉)、從卒、馬卒
      書記2(曹長)、傳令卒
    二等主計、從卒、馬卒
      計手2
  庶務掛(大尉)、從卒、馬卒
    恩賞係(陸軍属)
      陸軍属2(叙位叙勲、恩給・年金・賜金支給)、書記2
    慰恤係(陸軍属)
      陸軍属3(遺骨受領・慰霊祭、墓地、廢兵援護)、書記3
    民間係(陸軍属)
      陸軍属4(在郷将校團・在郷軍人會、學校教練・學校豫備士官訓練團、警防團・義勇隊、國防婦人會)、書記4
  徴募掛(大尉)、從卒、馬卒
    陸軍属3(徴兵檢査、簡閲點呼)、書記2
  動員掛(大尉)、從卒、馬卒
    陸軍属3(戰時動員、平時(演習)召集)、書記2

【海軍の兵事機關】
海軍鎮守府にある「海軍人事部」が海軍下士卒の徴募を行います。これには海兵隊も含まれます。海軍の徴兵檢査は陸軍に委嘱されます。
海軍は志願兵が主体で、平時から艦隊・鎮守府とも完全編成をとっているので、大きな動員はありません。むしろ豫備艦船を現役に戻したり、民間船を徴發して儀装するのに大忙しです。
志願者が定員を満たさない時は、不足分を徴兵で補います。また戰時航海中に艦長は不足人員を補充するため、民間船舶乗組員の海軍豫備員を現地で臨時召集する事が出来ます。
海兵隊は完全な志願制です。専任の募兵掛があるのは海兵隊だけです。(擔當部署:海兵隊司令部募兵部)

【徴兵署】
徴兵檢査は、懸廳・地方の兵事掛・聯隊區司令部の三者が合同して臨時に設置した「徴兵署」が實行します。
全國の總元締は「總理徴兵官」(陸軍大臣と内務大臣)で、その下に「軍管區徴兵官」(軍司令官と地方長官(知事))、さらに各縣の「聯隊區徴兵官」(聯隊區司令官)、「兵事官」(縣廳内務部兵事課長)が檢査を實行します。陸軍省と内務省が仲良くペアになって仕事をします。
徴兵署の指揮をとるのは、聯隊區徴兵官の聯隊區司令官です。
身體檢査の指揮をとるのは、「軍管區徴兵醫官」(軍軍醫部長)で、「聯隊區徴兵醫官」(三等軍醫正)と「聯隊區徴兵副醫官」(一等軍醫)が實際に檢査にあたります。徴兵醫官・副醫官は聯隊區司令部に日頃からいるのではなく、各級團隊軍醫部の軍醫が兼務しますが、戰時で人手不足となると民間醫師が嘱託されることもあります。
助手として身體檢査の看護長・看護手と、會場整理の在郷軍人がつきます。懸廳市廰郡役所の官公吏も書記として詰めています。
會場は、たいてい小學校の講堂を借ります。 → top

【徴兵事務】

《戸籍》
レミニア聯合共和國に生まれると、戸籍に登録され、國民の権利と義務が生じます。男子は兵役の義務を負います。
外地支邦の在来住民は、支邦ごとにそれぞれの民法を適用されているので、戸籍法の對象とはならず、從って聯合共和國軍の兵役の對象ともなりません。志願で入隊する途がありますが、兵籍では義勇兵ないし傭兵として扱われます。

《寄留》
本籍地を離れている者は、居場所の區町村に寄留届を出します。すると本籍地の區町村にそれが通知され、居場所が分かるようになっています。徴兵・召集など兵役の通知が本人に届かないと、軍の維持に支障がでるからです。届もせず、實家に知らせも出さないと、行方不明となります。餘りそれが長いと「失踪者」となってしまいます。どの區町村にも、そういう行方不明者がいて兵事掛を困らせています。

《徴兵適齢》
徴兵適齢に該當するのは、徴兵檢査の前年12月2日から翌年の徴兵検査實施年12月1日までの間に満20歳となる者です。これは入營日が1月だからそれに合わせるようになっているのです。

《徴集人員の調査》
徴兵適齢になると、戸主が區町村に「徴兵適齢届」を出します。
市役所兵事課・區役所兵事掛・町村役場兵事掛は「壮丁人員表」を作成し、兵事官(縣廰内務部兵事課長)に提出します。兵事官は徴募區ごとに纏めたものを聯隊區司令官に送付し、聯隊區では「聯隊區壮丁人員表」に作成しなおして、管區の軍司令官に送ります。軍司令官は「軍管區壮丁人員表」に纏めて、陸軍大臣に提出します。これで全國の徴兵檢査を受ける人數と、その内譯が判りました。
陸軍省では國家元首の裁可を經て徴兵すべき人員を決定し、軍司令官→聯隊區司令官→兵事官の順序で、「徴集人員の配賦」を傳えます。(擔當部署:陸軍省軍務局人事課徴募班)

《名簿の作成》
市兵事課・區役所兵事掛・町村役場兵事掛は、「徴兵適齢届」と「戸籍簿」を精査して「壮丁名簿」を作ります。届の有無にかかわらず徴兵適齢者が洩れなく載っており、これをもとに名簿を一覧表にした「壮丁連名簿」「徴兵檢査不要者連名簿」「壮丁名簿附表」などを作成します。
3月10日までに書類は兵事官が徴募區ごとに取纏めて聯隊區司令部に提出します。

《徴兵檢査の日程》
4月16日から7月31日までの間に檢査をしますが、聯隊區司令官が徴募區・檢査區の徴兵官(兵事官)と會場・日程を決め、檢査は徴募區・檢査區を巡回する形で順番に行います。

《徴兵檢査のお知らせ》
區町村兵事掛は「徴兵檢査通達書」を受檢者に手渡します。本人は受領書に受領年月日と署名を記入して返します。代わりの者が受領した時は、葉書・電報など迅速確實な方法で本人に知らせなくてはなりません。

《檢査會場》
區町村の兵事掛は、受檢者を會場に引率してゆき、檢査が終わるのを見届けます。
檢査當日に出頭できない者があれば、その理由を書いた「徴兵檢査不参者名簿」を徴兵署に提出します。

《兵役の決定》
身體檢査の後、聯隊區司令官ないしその代理が合格・不合格を本人を前にしてその場で決めます。その時、本人が兵科兵種の希望や海軍に行きたい旨を口頭で申告すると、その希望は記録され考慮されます。
兵科兵種選別の基準は大方次の様です。
*歩兵 最も所要數が多いので大抵はこの兵科に入ります。
*騎兵 乗馬時代は鐙に容易に乗れて馬を扱えないといけないので、背が高い者が選ばれました。輕騎兵は偵察を行うので機敏にして視力聴力の良い者が、胸甲騎兵は突撃兵種なので體格腕力の優れた者が特に選ばれました。然し現在の騎兵部隊は装甲化したので、背の高い者は選ばれません。
*砲兵 重い大砲と彈藥を扱うので膂力のある頑丈な體格の者が選ばれます。長い射撃を行わなければならない時が多いので持久力もなれけばなりません。特に山砲兵は山嶽地帯に於いて人力で砲を分解搬送する事が頻繁にあるので最も體力の優れた者が適任とされます。
*工兵 土木・建築・交通に従事していた者が優先的に選ばれます。
*輜重兵 兵卒であっても單獨で輸卒を4名指揮し、傳票の遣取や貨物の計量も扱うので計數に明るい職業に就いている者が選ばれます。
*飛行兵 航空機操縦者は平衡感覚と反射神經に優れ明敏な五感を有する者を選抜します。飛行部隊に入營後、適性檢査を以て空中勤務適任の者を選抜し更に操縦・偵察・信號等の特業を振分けます。
*獵兵 山嶽森林砂漠等に居住し其の地特有の職業に就いている者が優先して選ばれます。

《籤逃れ》
身體檢査の後、現役徴集人員を合格者數が上回る時は(いつもそうですが)、あとで徴募區ごとに「抽籤徴兵署」を開設し、籤引きで合格者に徴集順位を付けていきます。本人が籤を引くのではなく、市町村長が選んだ抽籤代理人が引きます。徴兵官や區町村長の立會のもとに不正の入る餘地の無い厳重な手續で行われます。
入營者は籤引きによりつけられた順番で定員に達するまで決められてゆき、入營を免れた者は補充兵役に編入となり「籤逃れ」と云って喜びました。

《兵役ごとの名簿》
各兵役への編入分が決まると「現役兵壮丁名簿」「第一補充兵壮丁名簿」「第二補充兵壮丁名簿」が作成されて、聯隊區司令官が保管します。名簿は必要ある都度入營先の部隊長に送られ、本人が入營期間満了ないし召集解除となると聯隊區司令部に返却されます。
聯隊區司令部・海軍人事部では、管轄区域の「兵籍」を作成・維持します。戰時になると部隊で「戰時名簿」が作られ、部隊員の軍歴と功績が記入されます。

兵籍の記載事項
本籍、戸主、續柄、戸籍内の肉親、生年月日、官等級、位勲賞典、刑罰、懲戒、兵種、特業、服務區分、入營から復員迄の履歴、學歴

《證書の交付》
徴兵適齢者の落着きどころが決まると、聯隊區司令部は「現役兵證書」「第一補充兵證書」「第二補充兵證書」を作成して、市役所兵事課・區町村兵事掛を通じて本人に手渡します。
  また徴兵官(知事)は「徴兵延期證書」「兵役免除證書」を作成して、同様に手渡します。

《身上調査》
市區町村長は入營者の「現役兵身上調査書」「教育召集者身上調査書」「海軍志願兵合格者身上調査書」と「戸籍謄本」を調製して、11月10日までに聯隊區司令官に提出します。教育召集者・特技を持つ第1補充兵役兵(鐡道各種免許所持者・電信免許所持者・輸卒・看護兵・航空各種免許所持者・醫師・藥劑師・獸醫・自働車運轉免許所持者)についても同様です。聯隊區司令官は受領した戸籍謄本を11月20日までに入營先部隊長もしくは海軍鎮守府人事部長に送付します。
部隊では本人の在營中は聯隊區司令部から「身上調査書」を借り出して、中隊人事掛特務曹長が保管しています。これをもとに兵卒の面接を行って地方での生活環境を把握し、特業の割當に活かしたり、また宗務部の輔祭に身上相談を頼んだりします。

《入營》
聯隊區司令官は、入營すべき部隊と日時を區町村兵事掛を通じて、本人に通知します。どの部隊も1月10日が入營日(陸軍は1933年以前、海軍は1928年以前は12月1日だった)と決まっています。短期間しか入營しない雑卒は、一年を何期かに分けて交代で入營します。
入營すると受入準備が整っており、その日のうちに身體檢査がありますが、ここで病氣や故障が發見され兵隊生活に堪えないと隊附軍醫が判断すると「即日帰郷」(除隊)となり、翌年徴兵検査を受け直すことになります。入隊して日が經ってからそうなると、衛戍病院で治療の後、他の兵科兵種に轉じたり、現役を免除されて他の兵役に移ったり、或いは兵役免除となります。

《海軍》
海軍では鎮守府の「海軍人事部」が陸軍の聯隊區司令部に該當するところで、機能は同じです。徴募區から海軍志願者が出ると、こちらに書類を送る事になります。 → top


【志願】

志願は男女にかかわらず何歳からでも出来ます。しかし受入られるとは限りません。志願者が志願先の基準に合っていなければなりません。先ず身體檢査で、高齢者・幼年者・女性・兵器が取扱えない故障のある者が不合格となります。しかし民間防衛の義勇隊は、身體檢査が無いので、この限りではありません。
陸軍で全く志願に頼って徴兵によらないのは、幹部(将校・准士官・下士)、現役憲兵上等兵、外國人義勇聯隊、雑卒の一部(聖歌手・鼓手・從卒)、陸軍生徒(幼年學校生徒・士官學校生徒・嚮導團生徒・兵器學校工長候補生・獸醫學校蹄鐵工長候補生)、樂生(軍樂部の樂手候補生)です。
海軍(海兵隊を含む)と護郷軍は、志願制です。
義勇隊は、一家から一人の志願者を出す事になっており、志願とは云っても半強制的なものです。
外國人を除く志願入隊者は、徴兵と同じように兵事掛が書類を調製します。 → top


【召集事務】

《動員計畫》
平時の陸軍は節約のために定員の半分しか兵卒がおらず、部隊を本格的に動かすためには動員令を下令して、不足人員を満たさなければなりません。参謀總長は「年度陸軍動員計畫令」を練って毎年改訂を重ね、戰争になるとすぐに部隊が戰時編成に移行して動けるように準備しています。(擔當部署:参謀本部第一部作戰課動員班)
國軍總司令官(國家元首)が動員を下令するのですが、内閣に諮る必要はありません。

動員の種類
本動員: 2〜3週間にて戰時編成を整える。必要な兵員を在郷から召集充員して完全編成とし、留守部隊、臨時編成部隊も完備する。
應急動員: 3日間以内に平時人員から出動部隊を編成する。
警急編成: 8時間以内に平時人員から出動部隊を編成する。

《部隊の動員計畫》
「動員管理官」(軍司令官)は、隷下部隊長に動員を實行させます。各部隊には平時から「動員室」が設けられており、動員掛将校が「年度部隊動員計畫」を練っています。動員掛は自分の部隊を戰時編成にする為に必要人員を召集する他、各級司令部要員の拠出、戰時特設の臨時部隊、後備部隊、國民兵部隊、はては義勇隊の編成まで面倒をみます。
動員掛は、兵役・兵科・兵種・階級・特技を指定して、それを今年もし動員令が下ると何人分が必要になると聯隊區司令部に要請しておきます。聯隊區司令官はそれに適當する者を「在郷軍人名簿」(豫後備役)「戰時名簿」(第1國民兵役)をもとに誰それと決め、「充員召集名簿」「充員召集令状」(赤色)を作り、徴募區ごとに郡長(または市長)に保管させておきます。(擔當部署:出征していない軍司令部参謀部作戰主任参謀・軍が出征している場合は留守軍司令部参謀部作戰主任参謀)
郡長・市長は名簿と令状を照合して、「動員區分」ごと(「年度動員計畫令」には、戰時部隊編成を實行する時期が定められており、例えば第1次動員で常備團隊を充員し、第2次で後備部隊、第3次で臨時編成部隊というように區分してある)、さらに區町村ごとに袋に入れ、封印して金庫に入れておきます。召集予定者が年度の途中で轉居したり、死亡したり、徴兵猶予に該當したり、という異動が生じると、届出のあった戸籍簿から在郷軍人名簿が訂正され、さらに召集名簿が訂正されて、新しい召集令状の發行となります。召集予定者のデータは、常に現状と一致するようになっています。天網恢恢疎にして洩らさずです。(擔當部署:郡役所兵事掛・市役所兵事課・市廰兵事課)
郡長・市長は召集實施各係の役割分擔を詳細に規程した「召集實施業務書」を作成して、何時動員令が下っても整斉と遅滞無く召集が實施されるよう準備しておきます。

《動員下令》
すわ動員下令になれば、郡長市長の命令のもとに市兵事課・郡兵事掛が警察署の金庫に保管してある「充員召集名簿」と該當する動員區分の「充員召集令状」を取出し、應召者の部隊到着期限を動員令に記された動員開始日から起算して召集令状に書込みます。(準備をして家族と別れを惜しんで、餘裕をもって部隊に到着できるよう日程を設ける)そして「急使」(警察署ないし憲兵分隊にて編成)をたてて區町村長に送付したのち、送付終了の年月日時刻を聯隊區司令官に通知します。(擔當部署:郡役所兵事掛・市兵事課)
區町村長は令状を「在郷軍人名簿」と照合して間違いが無いか確かめたうえで、「急使」(市兵事課・區町村兵事掛で編成)をたてて應召者に令状を手渡します。本人が留守の時は、代理の家人に渡します。令状には受領證が附いていて、受け取った年月日と署名を入れて急使に返します。本人不在の時は、代理の家人は電報など迅速確實な手段で本人に通知しなければなりません。令状は、入營部隊所在地までの交通機関(鐵道船舶など)の無料乗車證も兼ねています(と云っても、その部分のミシン目を切離して降りる驛の改札に渡すことになっており、あとで陸軍省が纏めて支拂います)下士卒は三等車、将校准士官は二等車、急行あれば乗車可)。令状そのものは應召者が指定部隊に持参し、提出します。
令状の交付が全て終わると、區町村長は終了年月日時刻と交付人員を郡長・市長に通知し、郡長・市長は最終の交付年月日時刻を聯隊區司令官に通知します。

召集令状の手交

《應召》
應召者は令状に書かれた期限までに、指定された部隊に續々と集まってきます。なかには居所不明で令状が届けられない者もありますが、これは憲兵隊に通報され、正當な理由が證明されないと逮捕され軍司令部法務部の豫審に掛けられてしまいます。また召集前後に怪我や病氣をした時は召集免除となりますが、そうした缺員や戰場での損害補充を見越して召集令状は多少餘分に發行されます。餘った兵員は内地の補充隊要員として使われます。

《その他の應召者の充員召集》
「教育召集」(未教育の第一補充兵役にある者を短期間(歩兵で約3箇月)入隊させて基本訓練を施し、既教育の戰時要員にする)、「演習召集」(演習で人手不足になった部隊が必要な兵員を短期間(演習の間)入隊させる)(以上いづれも令状は白色用紙)にて入隊中の者に「充員召集令状」がきた時には、令状は部隊に送付されて、部隊長から本人に令状が手渡されます。(實際は中隊人事掛特務曹長や中隊長が渡す)
現役兵として入隊中に現役期間が満了した者が、豫備役に編入されると同時に充員召集・臨時召集になった場合も同じです。

《應急動員》
部隊が一刻を争って出動しなければならない時は、部隊長が平時編成の人員を寄せ集めて臨時の「集成中隊」をつくり、これで編成した臨時大隊が出動します。(擔當部署:部隊動員掛)
後を追って、参謀本部から「應急動員令」が出され、動員計畫と同じように充員がなされて、部隊は戦時編成となります。叛亂鎮壓や國境紛争など、戰争とまではいかない局地戰闘に限られているので、兵站機關など必要の無い臨時編成部隊の動員が省略されており、簡略版動員といえます。(擔當部署:参謀本部第一部作戰課動員班)

《臨時動員》
充員召集が一段落した後、動員部隊に損害が出て缺員が生じた時は、軍司令官が「臨時召集」を實施します。手順は「充員召集」とほぼ同じです。(擔當部署:軍司令部参謀部作戰主任参謀・留守軍司令部参謀部作戰主任参謀)
また動員計畫に無い部隊を設ける時には、参謀本部が「臨時動員計畫令」を發して、必要人員を集めました。(擔當部署:参謀本部第一部作戰課動員班)
他の召集は兵役編入年次を計算すれば、召集時期が豫測できますが、臨時召集だけは戰況の推移によって所属兵科兵種と特技者にどれだけ損耗がでるか、どれだけ部隊が新設・改編されたかで判断するしかなく、突然やってくるのであまり歓迎されません。召集令状の色が赤なので、俗に「赤紙」と呼ばれています。

《民間防衛》
臨戰態勢になると市區町村で「警防團」が結成されますが、これは軍隊ではなく、民間防衛のための義勇組織です。從って兵器は持たず、非戰闘員の扱です。
いよいよ敵軍が國境を越えて侵入してくると郷土防衛のため全國に「義勇隊」が編成されます。警防團・護郷軍・警察(邊境にあっては憲兵)が合同して軍の補助兵力として作戰に参加するものです。一家から一人出る事になっているので、豫め戸主が自分の家から誰を義勇隊に出すかを決めて市兵事課・區町村兵事掛に届出てあります。(警防團のメンバーと重複していることが多い。既に正規部隊に入營している者、護郷軍に志願している者、指定の公職に就いている者は召集免除となる。)その名簿が聯隊區司令部に送られ、聯隊區司令官は「義勇志願者名簿」と各種「義勇召集令状」を作成し、いざと云う時には市兵事課・區町村兵事掛から本人に手渡されるのは、一般の充員召集と同じです。令状には「甲」「乙」の2種あって、「甲」は既教育者(軍務経験者)、「乙」は未教育者(未経験者)です。義勇隊が編成されると甲乙ともに、先ず「待命令状」(青色)が手渡され、遠いところに行かず自宅で生活していると、必要な集合教育を受けるための「教育令状」(白色)が出され軍紀・遊撃戰闘術・救急看護術などを最寄の護郷軍部隊で教わります。「出戰務令状」(青色)が手渡されると、護郷軍・警察(邊境にあっては憲兵)と共に實戰配置に就きます。避難民の誘導、防災、對空監視、敵状監視、陣地構築、運輸、斥候などに從事しますが、状況によっては敵との白兵戰・遊撃戰を展開する事もあり得ます。
身體檢査はなく、從って老若男女・身體故障の別を問いません。志願者本人が病気や怪我でどうしても出られない時は、代人を雇って出てもらう事が可能です。義勇隊に入隊すると、臨戰地帯では宿營地で集合生活をしますが、その他の地帯では防災・對空監視・射撃などの訓練・勤務を交代で行い、あとは自宅待機します。呼集が掛った時に隊に集合すればよいのです。
義勇隊の戰闘は主に護郷軍部隊が行い、後方の戰闘補助を警防團、民間人保護・軍紀維持を警察(ないし憲兵)が擔任します。(擔當部署:留守軍司令部参謀部作戰主任参謀)

《復員》

動員が解除されると、部隊は平時編制に戻り、餘った兵員が除隊となります。これを復員と云い、家に歸ってきた兵隊を復員兵と呼びます。(擔當部署・聯隊區司令部・海軍人事部)
戰後なるべく早くに、各部隊で作成した「功績簿」をもとに論功行賞が行われ、賜金・慰勞金・從軍記章・勲章の授與が實施されます。(擔當部署:陸軍省軍務局人事課恩賞班)  → top


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