→ top


獅子王國歴史

建國
王國の軍隊
近代・現代

外史 ザフィア侯國

外史 ラデンドルフ王國

外史 ボー侯國

外史 デーモン自由國

外史 ジルベリア侯國

外史 ダリアリア市國


【建國】     → top

「780年の大蝗軍襲来」(騎馬蠻族の大規模な侵入)による「アルジェントリア」の崩壊に際し命からがら逃れた難民のうち、半部が西の山脈を越え、峡谷と森林を彷徨った後、廣大な平原を望む丘陵に達し、ここに都市國家「獅子王國」を築いた。現在は深南部と俗稱されている臺地である。西部の峻嶮な山嶽を背に周囲は地溝帯が取巻いた地帯。中世に至るまで農場主に支持された小領主の聯合政體が古代以来の王家を頂いて王國を統治しており、この形は現代に至るまで維持されている。

メダルスカルト舊王國傳統の密集重歩兵方陣を維持していた王國軍は、北方の密林部族コンコをはじめとする先住民を討掃し、平原を制壓して、廣大な農地・牧地を開拓しつゝ西方に版圖を擴大し、平和を獲得した。

邊境には衛星國家が成長し、大銀礦を持つジルベリア王國、逃亡農奴と放浪騎士及び移民から成るデーモン自由國、陸上貿易拠點のランデンドルフ王國及び諸都市國家群と教會領を擁するボー候國、邊境伯が獨立したザフィア侯國が其の主なものである。是とは別に南岸部ダリアリア市國は大艦隊を擁する舊東方帝國の南方進出拠點であって中世以来他國と敵對して来た歴史を持つ。


【初期の戰争】     → top

785年 臺地に農場が擴大してゆくにつれ先住のコンコ族との紛争が多發し遂に北東部森林と平野との境界にて會戰となった。メダルスカルト王國傳統の重装歩兵軍團はコンコ軍の象兵攻撃によく耐え引分けに持込んだ。

790年 森林内に侵攻した獅子王軍はコンコ族に敗れ平原に追戻された。

793年 コンコ族との和平交渉が結實し平和がもたらされた。

【軍制改革】
獅子王國軍は1450年に従来の長槍重歩兵軍團を廃止し、國王直率の新式火器装備の軍を編成した。以下それを陳ぶれば、

・近衛隊(國王が直接雇用した身邊護衛聯隊。最新式騎銃装備の乗馬歩兵。最初は1箇中隊しかなかったが、その後2箇中隊編成となり、其々制服と乗馬の色を揃え、國王に随行する他、出征時には戰時編成にて兵員を増加し、國王居城には豫備隊を残地すると云う具合であった。)
・大司教護衛隊(王國宰相を兼ねた大司教の雇用する兵力。教會警備の他、出征にも加わり、これには多くの信徒が志願して大編成となることもあった。首都警察を兼ねる。)
・歩兵隊(王國の歳出にて雇用する歩兵聯隊。最初は槍兵と銃兵の編成であった。1697に銃剱装備となってからは、槍は下士のみが持った。9箇中隊を維持していたが、戰時には増加された。)
・狙撃隊(歩兵隊に随伴する輕歩兵。歩兵隊列の周邊を散兵となって敵を遊撃する。施条銃を装備し、射撃の名手を揃えた。)
・抜刀隊(歩兵隊に随伴する遊撃兵。剱術の名手を揃え、突撃に威力を發揮した。)
・決死隊(擲彈兵の意で、手榴彈・小型爆藥・施条銃を携帯し、敵に肉薄して阻塞の破壊に従事した。)
・門番隊(王城の各門を守備する槍兵。退役下士が志願する。)
・遊撃隊(邊境の山嶽森林地帯を守備する獵兵部隊。)
・守備隊(邊境要地に點在する砦に分駐して地方治安維持にあたる乗馬歩兵。
・要塞守備隊(要塞に駐屯する警備部隊。主に老兵や廢兵が志願する。)
・憲兵隊(軍人を取締る武装警察。乗馬と徒歩の各中隊があり、出征軍に随伴して戰場警察に從事した。民間人の取締權限を併せ持ち暴徒の鎮壓に威力を發揮した。國王直属の憲兵司令官が指揮して、警視總監權限の及ばない事件を擔當した。また隊員は兵士による報復を免れるため覆面をしており、そのため却って一般の印象を悪くした。)
・海兵隊(軍艦に配属され、艦上警備・臨檢・上陸戰闘等に從事した。)
・騎兵隊(騎銃と拳銃を装備した龍騎兵。12箇中隊編成の比較的大規模な隊で、汎用騎兵として戰場指揮官に重寶がられた。)
・輕騎兵隊(偵察任務の輕騎兵。戰場指揮官の耳目となって縦横無尽の活躍をした。)
・砲兵隊(馬匹牽引の野砲兵で、迅速な移動能力を備え、神出鬼没の砲撃を以て敵の方陣を四散させた。幹部は平民出身者が多數を占め、編成費用も市民が拠出するなど、貴族主体の歩騎兵とは違う性格の隊で、もとは大砲同業組合と云ったように、特殊技能者集團と見られていた。時代が進むに従って中隊數が増加し、彈藥縦列・砲兵厰など附属組織も充實し、出征時には完全編成で9箇中隊、更に臨時に増加されて18箇中隊を數える事もあった。)
・工兵隊(大規模な破壊・築城工事を行う技術部隊。砲兵隊と同じく平民主體の兵科で、本来の編成は2〜3箇中隊と少ないが、資材の運搬、工事勞役のため多くの臨時工夫を雇用していた。)
・輜重隊(糧食運搬の荷駄と、それを誘導・監視する輕騎兵から成る。出征時には數箇の縦列を編成し、人員も御者・馬子を含めると1箇縦列が千名に達することもあった。更に酒保商人とその雇用者や看護人・傷病兵、兵士の家族なども輜重に追随したので、戰闘部隊の人員を遥かに上回る數に達するのが常であり、隊の司令官には經驗豊富な老将校が補せられた。)
・参謀部(進軍路に沿って兵站倉庫を設け、糧食をはじめとする軍需物資を集積・提供し、野戰地圖を用意して進軍行程を計劃するなど軍司令官の補助に任じた。平民出身者が多數を占め、後には作戰計劃にも關輿する重要な部署となった。例えば分進合撃作戰の立案には緻密な頭脳が必要であったので、そのための人材の確保と育成も参謀總長の役目であった。)

《東方帝國との戰爭》

1468年、東方帝國軍はレーベ王國の占領を企畫して大軍を以て襲来、これを迎撃するルネ王率いるレーベ王國軍は、首府の南郊ピアストルの町に幕を張り、同盟國軍を加えて會戰數度に及び、此れをようやく撃退した。東方帝國軍は南部湾岸のダーリエ市城塞に撤退し、以降侵攻する事がなかった。

《ランデンドルフ王國との戰爭》

東方帝國軍との戰爭で疲弊した獅子王國の隙を突いて、山地を隔てたランデンドルフ王國はジルベリア王國と同盟して獅子王國領進出を試みた。しかしし獅子王國の賢明な外務卿は巧みな外交手腕を發揮してランデンドルフとジルベリアの後背に位置するデーモン自由國を味方に引入れ、ランデンドルフに占領されていたボー侯國の獨立を約束する代償にランデンドルフ軍の兵站線を寸断させた。また隣國ザフィア侯國の女侯爵を獅子王子の正室に迎え、強固な聯盟を形成し、數度に亘る會戰の後、侵攻軍を退けた。侵攻軍の傭兵隊長供を買収して寝返らせる為に多大な出費を行ったので、この戰爭以降レーべ王家の財政は負債を抱え、更に南洋進出をレミニアのココ王國海賊海軍に阻まれ、財政は逼迫した。

進軍する獅子王國軍

第1次會戰  剽悍な騎兵攻撃に戰線を破られる


【近代・現代】     → top

《清貧なる平和》

もともと農業國であった獅子王國は産業革命に乗遅れ、舊式軍備と負債を抱えた儘であったが、幸いにも地政學上の有利な位置を占めていた為、更に傳統的に外交に巧であった為、疾風怒濤の國際情勢の中で平穏な年月を送ったのである。

《餘祿の享受》

やがて1850年に東方帝國がニルス戰役に敗退し大陸西南部のレミニアから撤退するに及び、レミニア民族の大同團結を名目としてレミニア大公國と聯邦を結成し新生レミニア共和國の一部となった。レミニアが殖民地獲得競争に參加し、南洋のリゾネシア、ツーダンの諸邦を併合するにつれ、レーベは餘剰農産物の輸出基地として相當の利益を享受し積年の負債を清算したのであった。今次歐州大戰及1929-30年戰役に於いては軍用糧食の供給地として地主階層は大いに潤った。


【外史 ザフィア侯國】     → top

獅子王國の西方邊境州として殖民が勧められた。寶石と生藥を特産する豊かな地方に育ち、統治者であった邊境伯家は侯爵に昇格して「優美なザフィア候國」として獨立し、獅子王國と西方の諸王國との緩衝國家として機能した。その軍隊は山地を隔てた西南のジルベリア王國、西方のランデンドルフ王國から越境してくる野盗團の討伐戰に日常的に携り武勇の譽れが高い。
東方帝國軍が獅子王國に侵入してきた時には、數度に亘り援軍を出して戰勝に貢献した。
戰後、疲弊した獅子王國の隙を狙って侵攻してきた西方のジルベリア王國とランデンドルフ王國の同盟軍を目前にしたザフィア女侯爵は、獅子王と姻戚關係を結び、旗織を鮮明にした為、儀式的な數度の小戰闘を經て、師子王國と侵略軍との間に和平条約が結ばれた。再び西部より侵入せんとしたランデンドルフ王國軍の補給路を断って撃退する功績をあげるなど、武勇・知略に優れた幾多の記念すべき戰績を残している。特に驃騎兵の捜索能力が優れており、その傳統は聯合共和國騎兵隊に受継がれている。


【外史 ランデンドルフ王國】     → top

もとは獅子王國の西方邊境州のひとつであった。周囲を自然の要害たる山嶽で囲まれた盆地で、南方に開いた平地はボー侯國に繋がる。西方の峠を越えるとデ−モン自由國に通じ、東方の峠は獅子王國に、北方の峠はローゼンベルク伯爵領に繋がるという地の利を生かし、中世より商工業が榮えた。中世の終りに獨逸語圏より渡来した騎士團が獨立王國ランデンドルフ朝を樹立し、近代に入り絶對王政を敷いて、強力な軍事力を保持した。傭兵隊を驅使し、小國ながら廣く海外投資を行い、莫大な資産を蓄積した。一時はデーモン自由國の一部を占領し、獅子王國に侵攻し、ダーリエ自由都市と同盟して南洋海域を席捲する勢いを見せたが、18世紀にはレミニア共和國や北方帝國の臺頭によって制海権を喪失し、政變により亡命した王に替って資産家・企業家の主宰する立憲政軆に移行した。傳統的な職人藝を誇る精密工業は、高精度兵器の生産を保障する。山嶽に囲まれ戰火の容易に及ばない地勢は、國軍の兵器廠として相應しい。


【外史 ボー侯國】     → top

ランデンドルフ縣の南に繋がる盆地。古来より師子王國の西方邊境州のひとつであり、陸上交易中継點として榮えた。中世以来、他國より戰亂を避けて移住してきた新教徒を主とする精密工業に從事する職人や金融業者が自治都市を組織し一帯を支配してきた。航海用の精密計測器や望遠鏡を供給し、現代に至って航空機産業が發達した。氣候穏やかで郊外には静かな森に囲まれた別荘が點在し、隠遁者が好んで住着く。
北に隣接するランデンドルフ王國、東に隣接するジルベリア王國の侵略を避ける為、西に隣接するデーモン自由國、遠く隔たった東部の獅子王國、ザフィア侯國と同盟關係を保った。軍は主にデーモン自由國の傭兵團を多數雇用し、これを堅固な要塞群に配置、難攻不落の防衛體制を敷いた。ランデンドルフ・ジルベリアがデーモン・師子王・ザフィア侯と戰う場合は要塞から臨機に出撃して隣國の領土を略奪した。勢力均衡の要に立って、好戰的な諸國の大戰争の發生を防いだその冷静な抑止力の發揮は現在大いに評価されている。


【外史 デーモン自由國】     → top

密林地帯の西端にあるゴルトフィッシュ湖から流れ出るデーモン河が峡谷を蛇行して海岸部に達するまでの長大な沖積地に沿った農業地帯。開闊で眺望よく、耕地、森林、丘陵がほどよく混在し、錫や丹砂など鉱物も採取できる。もともと獅子王國の西方邊境州のひとつであった。周邊諸國の余剰人口と野盗團、異端者などが流入して僅かな人口を保っていたが、中世に獨逸語圏から大量の逃亡農奴や流浪の騎士が移住してきて高度に開拓された。彼等は獅子王國から獨立して自由民から成る理想デーモン自由國を構成し、精強な傭兵隊の供給源として廣く名を知られた。
勤勉かつ勇猛な住民は、火吹龍や魔物の跋扈する危險な峡谷地帯を美しく整った田園地帯に變え、平和と秩序を齎した。殊に異教徒の先住民エプーム團やルボーム團との長期に亙る闘争は永く語り傳えられている。
山脈を隔てたランデンドルフ王國とジルベリア王國の干渉を斥け自主獨立を保持する為に遥か東方の獅子王國と同盟し、もしランデンドルフ・ジルベリアが獅子王國と戰わば、その後背からこれを脅かす役目を擔った。為に一圓の勢力均衡に貢献すること大であった。
東部のシュタインオーフェン自由市はデーモン自由國の一部を成していたが、特産の鐵鋼石と其の加工により財力を身に着け、強力な傭兵軍を維持して、これに拠り他勢力から中立を保ち、實質的に獨立國家の様相を呈した。

デーモン騎士團と原住民エプーム團ルボーム團聨合軍の戰闘

デーモン自由國歩兵聯隊の戰闘 18世紀


【外史 ジルベリア王國】     → top

大陸中南部の山嶽地帯は大銀山を擁し、獨逸語圏より渡来した騎士團により開發され、中世以来ジルベリア王國として繁榮してきた。
もとは誰も行きたがらない魔物の棲息地として知られていたが、あるとき流浪の騎士が山中の盆地を通行し、乗馬が動こうとしなくなったため、仕方なく暫し休憩していると、馬が蹄で盛んに地面を叩き始めた。目を土に凝らせば無數の銀礦石らしきもので地面が覆われていた。騎士は職人の親方を呼んできて礦山を開設したが、銀は無尽蔵にあったので、忽ちのうちに騎士はジルベリア(銀の國)領主として知られるようになった。そのもとには有力な傭兵騎士が集まり、銀礦警備のために騎士團が結成された。縣下の各村領主の先祖は皆この騎士團員であった。これがジルベリアの由来である。
ジルベリア領主はダーリエ自由都市の貿易商に銀を賣り、必要な兵器糧秣を大量に購入して軍事強國として臺頭した。
たびたび山嶽地帯から兵を繰出して北部の平原地帯に進出を圖り北部・東部の獅子王國、ザフィア候國と戰ったが、そのつどザフィア軍の巧みな妨害により長大な兵站線を維持できず失敗に終わっている。ジルベリアが西北部のランデンドルフ王國と同盟して連合軍を形成すれば、外交術に巧みな師子王國はジルベリア西部後背の盆地に位置するボー侯國、デーモン自由國と同盟して牽制したので、2正面作戰を強いられたジルベリアは全力を主敵の獅子王國に差向けられず、侵攻は失敗に終わるのであった。
領有する廣大な山嶽地帯は海岸線と内陸部の間を塞いでおり、大軍隊の通過を妨げているため、大陸の柔らかい横腹に當てられた鐵の甲冑に喩えられている。奥地の錯綜した山襞は古代より魔法使や妖怪の棲息する地として知られており、現に食用蛙や蛇、蜘蛛を飼う怪しい村もあり、秘密の峰で毎年の大魔術集會が開かれるといまだに信じられている。
東方帝國に衰退の兆が見え始めた1850年にはレミニア共和國の支邦となった。


【外史 ダーリエ市國】     → top

大陸中部南岸の良港に臨む堅固な城壁に囲まれた都市國家。デーモン自由國の東隣に位置し、古代より東方帝國の貿易根拠地のひとつとして繁榮してきた。世界中のあらゆる貿易船と異邦人が豪奢珍奇な品を持込む處として知られ、周邊地帯を占領して大規模な要塞都市を構成し、近隣諸侯の攻撃を斥けてきた。東方帝國の南洋に對する交易拠點都市として殷賑を極め、中世末の東方帝國軍の獅子王國侵攻に際しては兵站基地として活躍、19世紀初頭に至るまで大規模な傭兵軍隊と艦隊を維持して、大陸南岸から南洋にかけての制海権を掌握していた。北帝國が東方帝國を併合した機會にダーリエ自由都市として獨立し、北帝國に對抗していたレミニア共和國の保護支邦となる。今次の戰争(1929-30)後、新生レミニア聯合共和國の一部となった。


→ top

inserted by FC2 system