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特設軍法會議の編成を解説します。

  →野戰軍法會議 kamp milit tribunal, field courts-martial
  →兵站軍法會議 milit tribunal de etap,
  →その他の特設軍法會議
  →囚禁場 punituley, prison
  →兵站囚禁場 punituley de etap, prison
  →陸軍刑法の概要 punakod, penal code
  →軍律會議  

★★軍法會議★★

  軍法會議は、陸軍刑法に定められた罪を犯した者が有罪か無罪かを判断し、有罪ならばどのような刑に処すかを決定する軍事法廷です。軍人のみならず、陸軍刑法犯ならば軍属・陸軍勤務の海軍軍人・俘虜も被告人となります。また民間人(「常人」と呼ぶ)でも、共犯者や、特定の罪(哨兵・俘虜に対するもの、戰地での掠奪、兵役應召免脱、造言蜚語など)を犯した者は、やはり被告人となります。また軍人で一般の刑法を犯した者も対象となります。
  戒嚴令の敷かれた地域(戒嚴地境)内では、軍法會議は民間人・外國人をも対象とし、特に敵に囲まれた地域(合囲地)では普通の裁判所が閉鎖されている場合、民間の刑事・民事事件すら扱います。その場合は裁判所の司法官がそのまま臨時の法務部員となります。
  軍法會議は「常設」と「特設」の2種類に分かれ、平時は「常設」しかなく、「高等軍法會議」(上訴事件、他の軍法會議所轄以外の事件取扱)「軍軍法會議」(軍管區所属将校准士官の被告事件、軍直轄團隊の被告事件取扱)「師團軍法會議」(師團管區所属下士卒の事件取扱)があります。普通の裁判所と同じように、瓣護人が出てきて檢察官と瓣論します。傍聴もできます。さらに判決に不服があると「高等軍法會議」に控訴できます。
  「特設」の方は戰時や事變に際して設けられます。「野戰軍法會議」(軍、方面軍、派遣軍などの野戰軍に設置)「獨立師團軍法會議」(野戰軍の代わりに獨立師團が派遣される時)「獨立混成旅團軍法會議」(獨立師團と同様)「兵站軍法會議」(兵站管區所属者の事件取扱)「合囲地軍法會議」(篭城戰などで敵に包囲された地帯内の事件取扱)「臨時軍法會議」(合囲地以外の地帯に戒厳令が敷かれた時や、國軍總司令官たる國家元首が特別に要求した時に設置する)があります。一審制なので、「常設」のように上訴ができません。また瓣護人もつきません。いちど判決がくだると、それきりで、刑が確定します。また検察官の方も判決を不服とする事はできません。法廷は非公開で傍聴が許されません。
  陸軍大臣が「常設軍法會議」を設置し、裁判官・檢察官・豫審官を任命します。「特設」の方は、それぞれの司令官が設置します。
  裁判官は、被告人と同等以上の兵科将校が兼務でなりますが、みな法律の素人(しろうと)なので、法律上矛盾のない判決をくだすために必ず法務官が一人以上混じる事になっています。
  録事は、法廷の準備をしたり、記録を取り纏めます。必要な場合には、録事のもとに速記者や通譯を加えます。
  檢察官は、法務官がなります。事件捜査を指揮し、容疑者を逮捕して取調べ自白を引き出し、證拠を固めたのち、軍法會議に廻します。しかし現行犯逮捕が多いので実際の取調べと證拠収集は憲兵が行い、檢察官は、きちんとした「調書」を作る方に熱心です。
  豫審官は、法務官がなります。軍法會議に廻ってきた被告人を訊問し、證拠を再調査して、公判に付すべきかどうかを決定します。この豫審の段階で無罪放免(免訴)となる事があります。證拠が不十分だったり、濡れ衣だったりする場合です。事件は、豫審調書が出来た時には、もう終了したも同然で、あとは公判で、あっと云う間に檢察官が求刑し、裁判官が判決を云い渡して一件落着となります。瓣護人は刑を軽くするよう努力し、可能であれば控訴手続をとるくらいですが、「特設軍法會議」になると瓣護人もつきませんし、控訴もできません。
  以下、各職の解説で、各兵科部隊編成説明と重複する部分は省略してあります。  → top
【野戰軍法會議】kamp milit tribunal, field courts-martial  →戻る

長官(軍司令官兼任)

裁判官(判士長:軍兵科将校委嘱)下士卒事件ノ場合ハ少佐
裁判官(判士:軍兵科将校委嘱)下士卒事件ノ場合ハ大尉
裁判官(法務官:軍法務部法務官委嘱)
  書記(軍法務部録事委嘱)
    速記者(軍法務部軍属)
  警査職務取扱(憲兵伍長、憲兵上等兵2)野戰憲兵隊より配属
檢察官(軍法務部法務官委嘱)
  書記(軍法務部録事委嘱)
豫審官(同上)
  書記(軍法務部録事委嘱)

《囚禁場》punituley, prison  →戻る
囚禁場長(憲兵大尉)
  看守長(憲兵曹長)
  看守(憲兵軍曹2、憲兵伍長2、憲兵上等兵4)
  必要アル場合ハ看守ヲ増員シ、補助憲兵ヲ以テ之ニ充ツル

軍が野戰に出ると、軍司令官は軍法務部長に「野戰軍法會議」を特設させます。平時の常設軍法會議(軍軍法會議、師團軍法會議)は内地に残してあります。准士官・下士卒・判任文官・雇員・傭人・同待遇者の被告事件を取扱い、将校・高等文官・同待遇者の被告事件は、上級の方面軍軍法會議(これもやはり野戰軍軍法會議の一種)に廻します。准士官以下の被告事件でも、重大なものは、やはり方面軍で扱います。軍より上級の方面軍や派遣軍の軍法會議も、構成と定員は同じです。
 被告は囚禁場に留置してあります。また囚禁場には囚人も収容して、内地の陸軍監獄と同様に刑を執行します。


【兵站軍法會議】milit tribunal de etap  →戻る 兵站法務部に戻る

長官(軍兵站監兼任)

裁判官(判士長:軍兵站監部兵科将校委嘱)下士卒事件ノ場合ハ佐
裁判官(判士:軍兵站監部兵科将校委嘱)下士卒事件ノ場合ハ大尉
裁判官(法務官:軍兵法務部法務官委嘱)
  書記(軍法務部録事委嘱)
    速記者(軍法務部軍属委嘱)
  警査職務取扱(憲兵伍長、憲兵上等兵2)野戰憲兵隊ヨリ配属
檢察官(軍法務部法務官委嘱)
  書記(軍法務部録事委嘱)
豫審官(同上)
  書記(軍法務部録事委嘱)

《兵站囚禁場》punituley de etap, prison  →戻る
囚禁場長(憲兵大尉)
  看守長(憲兵曹長)
  看守(憲兵軍曹2、憲兵伍長2、憲兵上等兵4)
  必要アル場合ハ看守ヲ増員シ、補助憲兵ヲ以テ之ニ充ツル

軍兵站監は、軍法務部より部員の配属を受けて、管下の兵站地區で發生した事件を取扱う「兵站軍法會議」を特設します。被告人の所属する部隊を管轄する軍法會議が兵站管區内にある時は、そちらに廻します。


【その他の軍法會議】  →戻る

獨立師團ないし獨立混成旅團が軍の戰區ないし兵站管區を離れて、獨立した戰區を擔任する時は、師團長は「獨立師團軍法會議」を、旅團長は「獨立混成旅團軍法會議」を設置します。軍法務部は獨立師團および獨立混成旅團に法務部員を配属します。
  敵軍に包囲された地帯にある團隊は、最先任司令官が「合囲地軍法會議」を設置します。
  その他、必要ある場合は、國軍總司令官(國家元首)が勅令を發して「臨時軍法會議」を設置します。それぞれに囚禁場が附属します。
  各軍法會議の組織は長官が設置者であるのを除き野戰軍法會議と同じです。  → top


★★陸軍刑法の概要★★

【対象】
《軍人の定義》
「陸軍軍人」を對象としますが、これは現に入隊している者に限ります。隊にあれば、どの兵役にあろうとも軍人として扱われます。志願入隊者(退役者・婦女子・外國人を含む)も軍人です。
《在郷軍人の定義》
1 帰休兵(現役兵だが、除隊して自宅待機中の者)
2 現役以外の兵役にあって、未召集の者。および義勇隊員。
3 退役将校准士官
以上の者は民間人と同じ扱いです。
ただし陸軍制服を着用している時は軍人扱となります。
《軍人に準ずる者》
「陸軍學校の學生・生徒」「陸軍軍属」「陸軍勤務中の海軍軍人」は、陸軍軍人として扱われます。
《准士官の扱》
「准士官」(陸軍特務曹長・少尉補・准尉・同相當官)(海軍上等兵曹・兵曹長・特務士官・同相當官)は、将校として扱います。
《士官候補生の扱》
「見習士官・同相當者」(陸軍曹長・同相當官)(海軍候補生)は、将校として扱います。その他の候補生は、与えられている階級に應じて、下士・兵卒の扱いとなります。
《軍属の扱》
陸軍文官・同待遇者・宣誓して陸軍勤務に服する者、は軍属の扱いとなります。退職者は、民間人の扱いです。

【用語の定義】
《上官》
命令権を持つ者を、上官とします。
命令関係に無い者は、階級・官等・等級が上の者を「上官」とします。
「兵卒」どうし(上等兵から雑卒までを、ひとまとめに「兵卒」と云うひとつの階級にいれてある)は、等級の上下にかかわらず、みな同格です。ただし伍長勤務上等兵は、他の兵卒の上官とみなします。
《司令官》
部隊の指揮官です。普通は二人以上の軍人が隊を組めば、それはもう部隊として扱われますが、司令官とは、その部隊を指揮する将校(あるいは将校扱の者)を云います。
《哨兵》
儀杖または警戒のために、守地に在る陸軍軍人を云います。歩哨や衛兵、儀杖兵のことです。
《軍中》
事件が次の状態の部隊で起った時を云います。
1 戰時の部隊(戰地以外にあって、しかも對敵状態に無い部隊は除く)
2 平時であっても部隊が對敵状態にある時
3 平戰時を問わず、部隊が事變・騒擾の鎮壓にあたる時

《戒嚴地境》
戒嚴令が發せられた地域。そこは軍政下に入り、戰地と同じ扱いになります。敵軍に包囲された地域(合囲地)、叛亂や暴動が起きた地域、敵軍が迫ってきた地域(臨戰地境)には、戒嚴令が出ます。大災害が起きた時も、敵軍が混亂を利用して侵入するおそれがある時は、戒嚴令が出ます。

【適用の例外】
敵前にある部隊が危急の際に軍紀を維持するため、やむを得ず犯した行為は、罰せられません。陸軍刑法以外の一般の刑法・法令に触れる時も、同様です。
それでも、餘り行き過ぎた必要以上の行為は、罰せられますが、情状により刑を軽減・免除されます。
義勇隊員が犯した行為は、罪が軽減されます。

【刑】
死刑(銃殺刑)、自由刑(徒刑、禁獄刑)があります。

【罪】(X印=死刑、△印=最高刑が死刑、○印=未遂罪も罰す、緑色=民間人にも適用)
叛亂
  叛亂(大勢で武装して謀反を起こす)
    首魁X○(叛亂の總指揮者)
    謀議参與・群集指揮△○(叛亂の幹部)
    附和随行○(叛亂に加わるその他大勢)
    軍用物劫掠○(叛亂の目的で軍用物を奪う)
    叛亂豫備陰謀(叛亂を計畫し具體的な準備をする)
  利敵(敵國の味方をして次のことをする)
    軍隊軍用物供與X○(軍隊や軍用物を敵に與える)
    間諜・間諜幇助X○(スパイをする、スパイを助ける)
    軍機漏洩X○(軍事機密を敵に知らせる)
    敵軍嚮導X○(敵を導き入れたり、地理を教える)
    對司令官降伏強要X○(自分の司令官に降伏を強いる)
    俘虜奪取致逃走X○(捕虜となっている敵國人を脱走させる)
    軍用物利敵損壊X○(敵のために味方の軍用物を壊す)
    往来妨害X○(同じく交通を妨害する)
    逃避X○(率いる軍隊を勝手に配置から逃避させる司令官)
    隊兵撹亂X○(勝手に部隊を解散したり、壊走混亂させたり、連絡集合を妨害する)
    補給缺乏X○(わざと補給を缺乏させる)
    欺瞞X○(嘘の命令・通報・報告をする)
    造言蜚語X○(デマを飛ばしたり、敵前で騒ぐ)
    其他利敵△○(その他の方法で敵國に軍事上の利益を与え、あるいは我が國の味方の軍事上の利益を害する)
    利敵豫備陰謀(以上の事を計畫したり具體的な準備をする)
    叛亂内亂幇助目的利敵△(叛亂や内亂を起すため敵に味方する)
檀權(せんけん)(職権を亂用する)
    司令官私戰X○(命令が無いのに勝手に戰闘する司令官)
    休戰講和後私戰x○(休戰・講和の後で勝手に戰闘する司令官)
    私令移動△○(勝手に軍隊を移動させる司令官)
    私戰△○(命令が無いのに勝手に戰闘する)
辱職(じょくしょく)(職務を怠ける)
  司令官不戰投降X○(戰闘せず降伏したり要塞を明渡す司令官)
  司令官引率投降(野戰で自分の部隊に投降を命令する司令官)
  司令官逃避X○(敢闘せずに部隊を率いて逃げてしまう司令官)
  司令官離脱X○(率いる軍隊を勝手に配置から離脱させる司令官)
  戰時・軍中・戒厳地境離脱○
  敵前離脱○
  司令官出兵不應(然るべき官警からの出兵要求に應じない司令官)
  船舶遭難逃避△○(兵員輸送船で敵艦船に遭遇した時、戰闘せず舟から退去する将校)
  部下多衆犯傍観(部下が大勢で犯罪する時、これを鎮定しようとしない上官)
  哨兵守地離脱○(哨兵が勝手に守地を離れる)
  軍中・戒厳地境哨兵守地離脱○
  敵前哨兵主地離脱X○
  哨兵睡眠酩酊(哨兵が眠ったり酔拂ったりして任務を怠ける)
  敵前哨兵睡眠酩酊
  警戒傳令勤務離脱○(衛兵・控兵・巡察・斥候・警戒傳令勤務の者が勝手に勤務場所や隊伍を離れる)
  軍中・戒嚴地境警戒傳令勤務離脱○
  敵前警戒傳令勤務離脱x○
  哨令違叛(勝手に歩哨を交代させたりして、哨令に違叛する)
  軍中・戒嚴地境哨令違叛
  敵前哨令違反
  斥候・巡察・偵察虚偽報告○
  戰時・軍中・戒嚴地境斥候・巡察・偵察虚偽報告○
  命令・通報・報告詐傳・不傳達(命令や通報を傳達しなかったり嘘を傳達する)
  戰時・軍中・戒嚴地境命令・通報・報告詐傳・不傳達
  軍機遺棄(暗號・地圖など軍事機密の圖書・物件の保管者が、危急時にその始末をしない)
  戰時補給缺乏○(補給責任者が勝手に補給を止めてしまう)
  有毒飲食物配給○(健康に害のある飲食物を配る)
  有毒飲食物配給致死
  從軍免脱目的詐偽○(軍務を免れようとして嘘をついたり、わざと病氣に罹ったり自傷する)
  戰時・軍中・戒嚴地境從軍免脱目的詐偽○
  敵前從軍免脱目的詐偽△○
抗命
  單純抗命(上官の命令に反抗し服從しない)
  軍中・戒嚴地境單純抗命
  敵前單純抗命X
  黨與抗命
    首魁
    其他ノ者
  戰時軍中・戒嚴地境黨與抗命
    首魁
    其他ノ者
  敵前黨與抗命
    首魁X
    其他ノ者△
  暴行制止不服從(暴行する時、上官の制止に從わない)
暴行脅迫
  上官暴行脅迫○(上官を傷害し、または暴行、脅迫をする)
  上官暴行脅迫致死△
  敵前上官暴行脅迫○
  敵前上官暴行脅迫致死X
  黨與上官暴行脅迫○
    首魁
    其他ノ者
  敵前黨與上官暴行脅迫○
    首魁
    其他ノ者
  用兵器凶器上官暴行脅迫○
  敵前用兵器凶器上官暴行脅迫△○
  黨與用兵器凶器上官暴行脅迫○
    首魁△
    其他ノ者△
  敵前黨與用兵器凶器上官暴行脅迫○
    首魁X
    其他ノ者△
  上官殺害X○
  上官殺害豫備(上官殺害の準備をする)
  哨兵暴行脅迫○(哨兵に暴行または脅迫をする)
  敵前哨兵暴行脅迫○
  黨與哨兵暴行脅迫○
    首魁
    其他ノ者
  敵前黨與哨兵暴行脅迫○
    首魁
    其他ノ者
  用兵器凶器哨兵暴行脅迫○
  敵前用兵器凶器哨兵暴行脅迫○
  黨與用兵器凶器哨兵暴行脅迫○
    首魁△
    其他ノ者
  敵前黨與用兵器凶器哨兵暴行脅迫○
    首魁△
    其他ノ者
  單純暴行脅迫○(上官・哨兵以外の職務執行中の陸軍軍人に對するもの)
  用兵器凶器單純暴行脅迫○
  黨與用兵器凶器單純暴行脅迫○
    首魁
    其他ノ者
  多衆集合暴行脅迫○
    首魁
    指揮・幇助
    附和随行
  職権濫用凌虐(職権を利用して虐待する)
侮辱
  上官侮辱(面と向かって上官を馬鹿にする)
  公然上官侮辱(皆の面前で、おおっぴらに上官を馬鹿にする)
  哨兵侮辱(面と向かって哨兵を馬鹿にする)
逃亡
  逃亡(勝手に6日以上軍務を離れる。義勇隊員は12日)
  戰時・軍中・戒嚴地境逃亡(臨戰状態の時に勝手に3日以上軍務を離れる。義勇隊員は6日)
  敵前逃亡△○(敵を目の前にして勝手に軍務を離れる)
  黨與逃亡(大勢で勝手に6日以上軍務を離れる。義勇隊員は12日)
    首魁
    其他ノ者
  戰時・軍中・戒嚴地境黨與逃亡(臨戰状態の時に大勢で勝手に3日以上軍務を離れる。義勇隊員は6日)
    首魁
    其他ノ者
  敵前黨與逃亡(敵を目の前にして大勢で勝手に軍務を離れる)
    首魁△○
    其他ノ者△
  奔敵△(敵陣に向けて逃亡する。敵に寝返る)
軍用物損壊
  軍用物燒毀△○(軍用物に放火する、または爆發させる)
  露積軍用物燒毀○(野外に積んである軍用物に放火する、または爆發させる)
  戰時・軍中・戒嚴地境露積軍用物燒毀△○
  軍用船舶航空機損壊△○(陸軍の船舶や航空機を転覆・沈没・墜落させたり破壊する)
  軍用物・軍用交通損壊○(軍用物を壊す)
  軍用物毀棄傷害(軍用物を捨てたり、傷つける)
掠奪強姦
  掠奪○(戰地・占領地の住民の財産を強奪或いは盗む)
  掠奪強姦○(その時、ついでに婦女子を強姦する)
  戰場掠奪○(戰場で戰死者・戰傷病者の持物を奪う)
  掠奪致死○(その目的のために殺害する)
  掠奪傷害○(その目的のために怪我させる)
  強姦○(婦女子を強姦する)
  強姦致死○(強姦して殺す)
  強姦傷害○(強姦して怪我させる)
俘虜
  監視者俘虜致逃走○(看守や護送の任務にある者が俘虜を逃走させる)
  俘虜致逃走○(俘虜を逃走させる)
  俘虜逃走幇助○(俘虜の逃走を助けるため器具を与えたり、援助行為をする)
  俘虜逃走幇助目的暴行脅迫○(そのために、暴行脅迫をする)
  俘虜奪取○(俘虜を奪う)
  逃走俘虜蔵匿・致隠避(逃走中の俘虜を匿ったり、逃れさせる)
違令
  哨令違背(哨兵を騙して哨所を通抜ける、または哨兵の制止を無視する、その他哨令に背く)
  軍中・戒嚴地境哨令違背
  敵前哨令違背
  召集遅参(召集期限に理由無く遅れた在郷軍人)
  戰時・事變召集遅刻
  兵役免脱目的詐偽(兵役を逃れようとして、嘘をついたり、わざと病氣になったり、躯を傷つける)
  召集免脱目的詐偽(在郷軍人が召集を逃れようとして、上記のようにする)
  虚偽命令・通報・報告(戰時・軍中・戒嚴地境で嘘の命令・報告・通告をする)
  造言蜚語(戰時・事變のとき造言飛語(デマ)をばらまく)
  空包違反(空砲を發射するべき時に實包・石その他の物を装填して發射する)
  發砲(理由無く發砲した哨兵・衛兵)
  急呼不應(戰時・軍中・戒嚴地境で非常呼集に應じない)
  政治干與(政治に關與する)
  不服從目的結党(不服從を目的として黨(グループ)を結成する)   → top

★★軍律會議の概要★★

戰地の外國民間人が軍の利益を損なった時は、軍人でもなく、俘虜でもなく、陸戰法規・慣例を適用される敵國軍人でもないので、軍法會議にかけるわけにはいきません。そこで軍司令官が軍命令として「軍律」を決め、これに違反する外國民間人を「軍律會議」で審判して「處罰」します。いつまでも軍司令官が軍律を決めないでいると、各部隊が勝手に外國民間人を「即決處分」にしてしまいます。
軍律會議は、軍法會議とは別の組織なのですが、構成は同じで、ただ裁判官が「審判官」と名前を變えただけです。軍法會議の「裁判官」「檢察官」「豫審官」「書記」が各職を兼務します。
軍律は各軍司令官が自分で決めるので、軍によって細部が異なりますが、だいたい次のような内容です。

【軍律の例】 ゴルゴニア戰線の例
西方軍令第一號
西部方面軍は軍律を左記の通り定む
1929年8月1日  西部方面軍司令官 陸軍元帥伯爵○○○○
西部方面軍軍律
第1条 本軍律は聯合共和國軍作戰地域内に在る聯合共和國民以外の人民に之を適用する。儋しゴルゴニア國軍隊または之に準ずる軍部隊に属する者に對しては、陸戰の法規及び慣例に關する条約の規定を準用する。
第2条 左に掲ぐる行為を為したものは軍罰に處す。
  1 聯合共和國軍に對する叛逆行為
  2 間諜行為
  3 前2號の外聯合共和國軍の安寧を害し又は其の軍事行動を妨害する行為
第3条 前条の行為の教唆・幇助・陰謀、豫備・未遂も亦之を罰する。但し情状に因り罰を輕減又は免除する事を得。
第4条 前2条の行為を為し未だ發覚せざる前に自首したる者は其の罰を輕減又は免除する。

《敵對行為の例》
我軍の配置を他に洩らす
流言蜚語を撒き散らして治安を妨害する
我軍の布告文を貼るのを妨害したり、破り捨てたり、落書したりする
不正規兵・密偵・兵器などを隠匿する
戰亂の機に乗じ、わざと戰場泥棒・暴行を行い、我軍がやったと偽る
軍票の流通を妨害し、他者を煽動して不正利益を得る。
民間人であるにも拘わらず我が軍将兵に危害を加える
我軍の利用する交通・通信路(鐡道・電信・道路・橋梁・水路など)を妨害し、または破壊する。
我軍の軍用物を盗み奪い、または損壊する。

【罰の例】上記西部方面軍のもの
軍律に違叛すると次のような軍罰に處せられます。罰は軍法会議附属の囚禁場で憲兵が執行します。この軍罰も、軍司令官の軍令によるので、各軍で細部が異なっています。軍の慣習によって、銃殺が絞殺や斬首になっていたり、笞打などの身體刑が加えられたりします。

1 銃殺もしくは絞殺
2 監禁(囚禁場に拘置し苦役に服せしむ)
3 追放
4 過料(支拂不能な者は監禁勞役に換える)
5 没収(附加罰:犯行に使用した物、犯行の報酬)

占領地民間人の處罰


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