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輜重兵の部隊編成を解説します。

  →伍 kunular, team
  →分隊 kaporalar, squad
  →小隊 sekci, section
  →縱列 trayn, train
  →大隊 batalion, battalion
  →輜重監視隊 trayn gardar, train guards
  →補助輸卒隊 helpular, auxiliary porters

★★輜重兵部隊編成★★

 輜重兵独特の部隊編制です。大隊は4箇縱列よりなり、1箇師團分の糧秣と被服・陣營具を運搬します。兵站終點から師團野戰倉庫を経由し野戰部隊大行李までの野戰道路上を往復します。野戰部隊近くになると敵の射程距離に入り、砲火を浴びたり、敵遊撃部隊の襲撃を受けます。他兵科の護衛部隊がつかないので、自力で防御(自衛)します。
兵站監部直轄の兵站糧食縱列は、野戰鐵道が途切れた地点から平坦終點までの兵站道路上を往復します。
以下の説明では、歩兵科及び龍騎兵科の編成と重複するところは省略してあります。  → top
編成例:

大隊本部(指揮班、經理班、兵器班、軍醫班、宗務班)
  第1糧食縱列本部(指揮班、給養班、兵器班)
    第1小隊
      第1分隊
        第1伍
          第1輸卒組
          第2輸卒組
          第3輸卒組
          第4輸卒組
        第2伍
      第2分隊
      第3分隊
      第4分隊
    第2小隊
    第3小隊
    第4小隊
  第2糧食縱列
  第3糧食縱列
  第4糧食縱列
  第1自働貨車縦列
  第2自働貨車縦列

(兵站監部直轄)
  兵站糧食縱列
  輜重監視隊
  陸上補助輸卒隊
  建築補助輸卒隊
  水上補助輸卒隊


編成の特徴 → top
(輜重兵は輕騎兵の一種で、輜重(糧秣・被服・兵員などの輸送車)の監視・護衛・引率を任務としています。輜重車じたいは、雑卒である輜重輸卒が操縦します。輜重一等卒ひとりが4人の輸卒を引率するので、上等兵なみの指揮能力を要求されます。輜重兵上等兵は軍曹なみの能力を、輜重兵軍曹は小隊長なみの能力を持たないと隊列が前に進みません。荷物の受領や配布も将校の指揮無しで単独の判断でこなさなければならない場面が多く、輜重兵の下士卒は事務処理能力に優れているという定評があります。
輸卒は徴兵検査で体格の劣る者(身長が足りなかったり、近眼だったりする)が大量に充てられます。
将校は他兵科からの転科者が多いのが特徴です。もともと騎兵科では前線の激務に耐えられない老齢者・病弱者・後遺症のある負傷回復者を後方勤務に就かせるために輜重兵としたので、このような伝統が残っています。
中隊と呼ぶには餘りにも長大な隊列なので、「縱列」と呼びます。輜重兵大隊は固有の編成の他に、他部隊や兵站輜重の行李要員として大量の兵員を分遣しています。
通常の輸送手段は、大型自働貨車ですが、山嶽兵など特殊な地形で行動する團隊に配属される輜重兵は、動物輜重編成となります。主に馬を使用し、輸卒が一人で駄馬(背に荷物の乗せる)や挽馬(荷車を曳く)の轡を取って徒歩で馭してゆきます。輜重兵は乗馬で、すっかり昔の輕騎兵の恰好です。港湾荷役など馬の使えない運搬作業は、補助輜重輸卒と云う臨時に掻き集めた未訓練の人足が自分の背中に荷を背負い、また人力で荷車を曳きます。「(補助)輜重輸卒が兵隊ならば、蝶々蜻蛉も鳥のうち、電信柱に花が咲く」と揶揄されるのは、この補助輸卒のことです。兵站輜重になると、練達の輜重輸卒が大型自働貨車を使い、巨大な車輪を6個以上つけたトレーラーを曳いて道路を疾走します。)
軍装 → top
(輸卒は歩兵と同じ服装ですが、背嚢など携帯装備は車輌に積載してしまいますから、銃劔をぶら下げたままで身軽です。この他に自働貨車に騎兵銃を備付けてあり、敵襲時に運轉助手が執銃して自衛隊を編成し、迎撃します。
監視・引率の輜重兵は乗馬本分なので、兵卒といえども全員が半長靴に帯刀、腰に拳銃をさげ、騎兵銃を背負います。もとをただせば輜重兵はれっきとした騎兵で、「輸卒」とは待遇も違えば、軍装も全く異なります。)
☆輸卒組(4名) → top
運轉手2(輜重輸卒)、助手2(輜重輸卒)
[輜重車]大型自働貨車2
☆伍(21名)kunular, team → top

監視兵(輜重兵上等兵)、監視卒4(輜重兵一等卒)
二輪自働車5(輜重監視用)
【第1〜4輸卒組】(16名)(第1〜8大型自働貨車)


☆分隊(46名)kaporalar, squad

分隊長(伍長)、分隊長補佐(上等兵)
二輪自働車2
【第1〜2伍】(42名)(第1〜32大型自働貨車)  → top


☆ 小隊(195名)sekci, section  → top

小隊長(中尉・少尉・少尉補・准尉のいずれか)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
小隊付(軍曹)、信號卒、看護卒
機工手(兵器部員)、機工卒3
小型乗用車、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車2(小隊長・看護卒用)、工作車(機工用)、器材車(機工用)
(動物輜重編成時、機工の代わりに蹄鐵工・鞍工をおく)

【第1〜4分隊】(184名)(第1〜128大型自働貨車)  → top


☆ 縱列(825名)trayn, train  → top

【縱列本部】(45名)

兵站地から前線に糧秣を輸送する糧食縦列と部隊兵員及器材を輸送する自働貨車縦列があります。

縱列長(大尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
小型乗用車(縱列長用)、自働二輪車(傳令用)、側車付二輪自働車(縱列長用)

 《指揮班》(12名)
指揮班長(特務曹長)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
信號手、信號卒
喇叭手(上等兵)、笛手(宗務部員)
斥候手(上等兵)、斥候卒3
看護手(軍醫部員)
小型乗用車(班長用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車2(班長・看護手用)、輕装甲偵察車(斥候用)

 《給養掛》(16名)
給養掛(曹長)、縫工卒、靴工卒
三等炊事長(經理部員)、炊事手4(同)、炊事卒4、馭卒4(輜重輸卒)、同助手4(輜重輸卒)
中型自働貨車(給養掛・縫工靴工用)、炊事車4

 《兵器班》(14名)
三等機工長(兵器部員)
  機工手(同)、機工卒4
  銃工手(兵器部員)、銃工卒4
  木工手(兵器部員)、木工卒2
工作車2、器材車3
(動物輜重編成時、機工の代わりに蹄鐵工・鞍工をおく)

【第1〜4小隊】(780名)(第1〜512大型自働貨車)  → top


☆大隊(3,405名)

【大隊本部】(105名)  → top

大隊長(少佐)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
[大隊長車輌]小型乗用車(大隊長用)、自働二輪車(傳令用)、側車付二輪自働車(大隊長用)

 《指揮班》(29名)
副官(中尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
書記(曹長)、喇叭長(伍長)、喇叭手(上等兵)、笛手(宗務部員)
斥候長(伍長)、斥候手(上等兵)、斥候卒
軍犬手(上等兵)、軍犬卒
信號長(伍長)、暗號手(上等兵)、暗號卒
  無線伍: 信號手(上等兵)、信號卒4
  電話伍: 電話手(上等兵)、信號卒4
[指揮班車輌]小型乗用車(副官用)、中型乗用車(班要員用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(副官用)、小型自働貨車(軍犬用)、中型自働貨車(有線電信用)、信號車(無線電信用)、輕装甲偵察車(斥候用)

 《經理班》(17名)
二等主計(經理部員)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
三等計手(同)、傳令卒
二等縫工長(經理部員)、縫工手(同)、縫工卒
  三等靴工長(經理部員)、靴工手(同)、靴工卒
二等炊事長(經理部員)、炊事手(同)、炊事卒、炊事車馭卒(輜重輸卒)、同助手(輜重輸卒)
[經理班車輌]中型乗用車(主計用)、二輪自働車2(傳令用)、側車付二輪自働車(主計用)縫工車、靴工車、炊事車

 《兵器班》(23名)
兵器掛(一等兵器技手)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、従卒(經理部員)
一等機工長(兵器部員)、三等機工長(同)、三等木工長(同)、三等銃工長(同)
  銃工手(兵器部員)、銃工卒4
  鞍工手(兵器部員)、鞍工卒4
  機工手(兵器部員)、機工卒4
[兵器掛車輌]小型乗用車(兵器掛用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(兵器掛用)、工作車4、器材車4
(動物輜重編成時、機工の代わりに蹄鐵工・鞍工をおく)

 《軍醫班》(28名)
二等軍醫(軍醫部員)、看護卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
三等看護長(軍醫部員)、看護手(同)、看護卒4、擔架卒16
磨工手(藥劑部員)、磨工卒
[軍醫班車輌]中型乗用車(軍醫用)、二輪自働車2(軍醫付看護卒用)、側車付二輪自働車6(看護手、看護卒用)、擔架車8、中型自働貨車(衛生材料用)

 《宗務班》(6名)
輔祭(宗務部員)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
従者(宗務部員)、聖歌手(同)
[宗務班車輌]中型乗用車(輔祭用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(輔祭用)

【第1〜4縱列】(3,300名)(第1〜2048大型自働貨車)  → top


(動物輜重編成時、乗用車、二輪自働車、側車付二輪自働車の代わりに乗馬を、その他自働貨車をはじめとする諸車輌の代わりに駄馬或いは挽馬輜重車(自働貨車1に就き馬2)をおく。)
《大隊長》 batalion chef, batallion commander(輜重兵少佐) 聯隊なみの數の隊員を指揮するので相當な統率力が要求されますが、戰闘兵科ではないので温厚な人物が多く、また、それでなくては單調な大量輸送勞働を 滞りなく運用することができません。大隊長の悩みの種は敵が好んで輜重を攻撃してくることです。糧道を断つのが前線の戰力を弱める上策であるので、戰線背後に浸透してきた敵の遊撃隊は機會さえあれば兵站線上の輜重を襲撃します。ところが輜重隊には歩兵や騎兵からは専属の護衛兵力が付かないので、自力で防衛するしかありません。大隊長は手すきの自隊兵員を使って「自衛隊」を組織し、敵の襲撃に對抗します(偶數分隊長のもとに輜重車備付の騎兵銃を執った運轉助手を集める)。氣の利いた隊長は兵器部から(多少の便宜供與と引換に)鹵獲兵器をまわしてもらい、これを輜重輸卒が操作できるように訓練します。先頭や後尾の輜重車に輕機關銃を備付け、彈藥口径の違う複數の型番の拳銃や半分しけたような手榴彈を配布したりします。  → top
☆ 補助輸卒隊(825名)helpular, auxiliary porters  → top

【補助輸卒隊】
縱列と同編成です。輜重輸卒の代りに「補助輸卒」で編成されます。兵站輸送、貨物廠や野戦廠、停車場での荷物の積み卸しを行います。

【建築補助輸卒隊】
建築材料を運搬し、建築作業の補助にも従事する補助輸卒隊です。

【水上補助輸卒隊】
港湾荷役を行う補助輸卒隊です。各碇泊場司令部に分遣されて、船舶積荷の揚げ卸しをします。


☆ 輜重監視隊(825名)trayn gardar, train guards

補助輸卒が不足する時には、現地人と馬匹を雇用して荷役に充当しますが、監視隊はその監視・引率・護衛を行います。

☆分隊(12名)kaporalar, squad

分隊長(伍長)、分隊長補佐(伍長勤務上等兵)、監視兵(上等兵2、一等卒8)
二輪自働車12  → top

☆ 小隊(60名)sekci, section → top

小隊長(中尉・少尉・少尉補・准尉のいづれか)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
小隊付(軍曹)、信號卒、看護卒
蹄鐵工手(獸醫部員)、蹄鐵工卒4
小型乗用車、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車2(小隊長・看護卒用)、蹄鐵車
【第1〜4分隊】(48名)  → top

☆ 監視隊(290名)gardar, guards  → top

【本部】(50名)
隊長(大尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
小型乗用車(隊長用)、自働二輪車(傳令用)、側車付二輪自働車(隊長用)

 《指揮班》(12名)
指揮班長(特務曹長)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
信號手、信號卒
喇叭手(上等兵)
斥候手(上等兵)、斥候卒3
看護手(軍醫部員)
小型乗用車(班長用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車2(班長・看護手用)、輕装甲偵察車(斥候用)

 《給養掛》(16名)
給養掛(曹長)、縫工卒、靴工卒
三等炊事長(經理部員)、炊事手3(同)、炊事卒3、馭卒3(輜重輸卒)、同助手3(輜重輸卒)
中型自働貨車(給養掛・縫工靴工用)、炊事車3

 《兵器班》(19名)
二等獸醫(獸醫部員)、蹄鐵工卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
三等蹄鐵工長(獸醫部員)
  蹄鐵工手(同)、蹄鐵工卒4
  銃工手(兵器部員)、銃工卒4
三等木工長(兵器部員)
  木工手(同)、木工卒2
工作車2、器材車3
【第1〜4小隊】(240名)


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