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信號工兵の部隊編成を解説します。

  →伍 kunular, team
  →分隊 kaporalar, squad
  →小隊 sekci, section
  →中隊 kompani, company
  →大隊 batalion, battalion
 

★★信號工兵部隊編成★★

 大隊は4箇中隊よりなり、軍司令部と師團の間の通信線を建築・保守し、軍司令部通信作業に任じます。同じ工兵とは云っても戰闘工兵とは全く互換性が無く、むしろ別の兵科と考えた方がよいでしょう。以下の説明では、他兵科の編成と重複するところは省略してあります。
編成例:

大隊本部(指揮班、經理班、器材班、軍醫班、宗務班)
  第1中隊(指揮班、給養班、器材班)
    第1小隊(指揮班)
      第1分隊(信號)
        電話伍
        無線伍
      第2分隊(信號)
      第3分隊(建柱)
        測定伍
        植柱伍
      第4分隊(架線)
        延線伍
        張線伍
        留線伍
      第5分隊(補修)
        第1補修伍(輕機關銃装備)
        第2補修伍(輕機關銃装備)
    第2小隊
    第3小隊
    器材小隊
      第1器材分隊
        第1器材伍
          第1輸卒組
          第2輸卒組
          第3輸卒組
          第4輸卒組
        第2器材伍
      第2器材分隊
      第3器材分隊
      第4器材分隊
  第2中隊
  第3中隊
  第4中隊


編成の特徴
(信號工兵は、軍司令部の通信を担当し、また軍司令部と隷下の師團・兵團・兵站地とを結ぶ電信線の建築・保守を行います。各中隊が通信区を分担するので、それぞれが独立して建築・送受信作業ができるように編成されます。兵は信號兵と建築兵の2種に専門が分かれており、信號兵には更に有線電氣信號、無線電氣信號、傳鳩の特業があります。民間で郵便局や通信社の電信手だった兵は、技倆が優れているので通信の上等兵候補者です。また建築兵では、電信会社や電気鐡道の電線工夫が優遇されます。徴兵検査の時に、このようなすぐに役立つ職業に就いていた者を優先的に信號工兵とするのです。そうでない者も現役在營中に専門訓練を受け、除隊後は通信技能者或いは電気通信工事技能者として給与の良い職を得られるので、手に職の無い若者には人気の兵種です。上等兵や伍長勤務で除隊すれば、真面目で統率力があると云うので、戻った職場や新たな就職先で大変に優遇されます。)

軍装
(歩兵の軍装と同じですが、歩兵銃は長くて邪魔になるので、代わりに騎兵銃を持ちます。作業時には装備を随伴の作業車に積み込んで身軽になります。特に建築兵は地面に電柱柱の穴を開けたり、電柱に登って電線を留めたりするので、銃剣さえ外して武装ナシとなります。雑嚢を幾つも肩から掛けて、腰には作業用の工具を吊るす革帯を巻き、すっかり電線工夫の格好です。一部の兵だけが歩兵並に武装して輕機關銃を持ち、建設兵を護衛します。送受信作業の兵は、電報用紙や通信紙(メモ用紙)を入れる圖嚢を腰に吊るしています。将校准士官は乗馬本分なので、長靴です。)


☆電話伍(5名)kunular de telegraf, telegraph team→ top
電話手(上等兵)、電話卒4(一等卒)

☆無線伍(5名)kunular de radio, radio team→ top
信號手(上等兵)、信號卒4(一等卒)

☆測定伍(5名)kunular de mezur, measure team→ top
測定手(上等兵)、測定卒4(一等卒)

☆植柱伍(5名)kunular de foststar, pole team→ top
植柱手(上等兵)、植柱卒4(一等卒)

☆延線伍(4名)kunular de linetend, line extending team→ top
延線手(上等兵)、延線卒3(一等卒)

☆張線伍(3名)kunular de linstrech, line streching team→ top
張線手(上等兵)、張線卒2(一等卒)

☆留線伍(5名)kunular de linfiks, line fixing team→ top
留線手(上等兵)、留線卒4(一等卒)

☆補修伍(5名)kunular de , line maintenance team→ top
保線手(上等兵)、保線卒3(一等卒)、木工卒


☆信號分隊(12名) kaporalar de signal, signal section → top
分隊長(伍長)、分隊長輔佐(上等兵)

側車付二輪自働車(分隊長用)、信號車4
【電話伍、無線伍】(10名)


☆建柱分隊(12名)sekci de fost, pole section → top
分隊長(伍長)、分隊長輔佐(上等兵)
【車輛】側車付二輪自働車(分隊長用)、電線路建築車2
【測定伍、植柱伍】(10名)
☆ 架線分隊(15名)sekci de fadenad, wiring section → top
分隊長(伍長)、分隊長輔佐(上等兵)、導通試験手(上等兵)
【車輛】側車付二輪自働車(分隊長用)、電線路建築車2
【延線伍、張線伍、留線伍】(12名)
☆ 補修分隊(13名)sekci de ripar, repair section → top
分隊長(伍長)、分隊長輔佐(上等兵)、木工手(兵器部員)
【車輛】側車付二輪自働車(分隊長用)、電線路建築車、輕装甲車(警備用)
【補修伍、輕機關銃伍】(10名)
☆ 器材分隊(23名)sekci de meblar, parts section → top
分隊長(伍長)、分隊長輔佐(上等兵)
器材伍: 器材手(上等兵)、器材卒4、輜重輸卒16
【車輛】二輪自働車7(監視用)、中型自働貨車8
☆ 小隊(83名)sekci, section → top

小隊長(中尉・少尉・少尉補のいずれか)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
小隊付(軍曹)、看護卒(軍醫部員)
電工卒、機工卒(馬匹編成時、蹄鐵工卒を増加する)
【車輛】二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車2(小隊長・看護卒用)、小型乗用車(小隊長用)、工作車

【第1〜5分隊】(75名)


《小隊長》sekci chef, section chief(工兵中尉・少尉・少尉補のいずれか)
独立して小通信区を担当し、送受信・建設・保守と、なんでもこなします。
信號分隊員は最低限分速40字以上の電鍵による送受信が可能です。分速70字と云う強者が一人は混じっています。重い電氣信號器と附属の發電器・變電器、交換器、アンテナなどを車輌に分解積載して持ち歩き(状況によっては駄馬編成もあり)、高等司令部に通信所を開設すると、素早く機器を組立て日夜、送受信作業に従事します。アンテナ塔を建てる作業も行えば、機器整備・補修も、大抵の故障は自力で修繕してしまう腕を持っており、まさに通信の万能技術者です。各小隊の通信分隊は建築作業の他分隊から離れて、担当の師團司令部や獨立兵團司令部と共に行動します。
建築は主に「裸線構成」で、簡単な電柱を並べて、一条の裸の銅メッキ鋼鐵線を伸ばしていく方式です。信號器から地面にアースを入れるので、線は二本は要りません。作業を能率良く進めるために、建築の諸分隊は工程別の編成となっています。作業の種類によって工程は異なるので、編成もその都度、小隊長が命令して最適なものに変更します。通常は最も多い工程の編成になっています。熟練した建築分隊の延線速度は、ほぼ歩兵の行軍速度と同じですが、途中に大きな河川があると途端に難工事となり、1箇小隊だけでは手が足りなくなり、渡河工兵の協力まで仰いで、やっと開通させます。
「重構成」は本格的な腕木と碍子付の長い電信柱を建てる方式ですが、野戰では殆ど使いません。駐屯地・占領地では重構成の建築をしますが、なるべく既存の電信線を使用します。軍政下の占領地では、特設の工兵管區が置かれ、そこに附属する工兵隊が工事をします。
「輕構成」は信號兵が巻匡(糸巻きを大きくした電線巻取具)を背負って、黄色い被覆線を地面に延ばしながら走っていく方式で、前線部隊が自力で構成する電信網です。急速に電信線を敷き、部隊が移動する時は、巻匡に電線を巻取って撤収します。
信號工兵はそれら「重構成」(内地←→兵站監部)と「軽構成」(師團司令部←→旅團司令部←→聯隊司令部←→大隊司令部)の間を繋ぐ「裸線構成」(兵站監部←→軍司令部←→師團司令部)を主に担当します。
具体的な敷設の様子は、以下のとおりです。
作業は小隊単位でします。先ず小隊長はサイドカーに乗って(地形により乗馬)、小隊の車輌を率い現場に行軍し、作業開始点で抜刀して命令します。「小隊は現地点より○○に至る間約○○粁に裸線一条の構成を成す。發起點の位置、ここ(軍刀で示す)。構成用意!」
各分隊は車輌より器材を降ろして、作業隊形を整えます。用意できると小隊付軍曹が「用意完了」と報告しますので、小隊長は「前えー」と号令し、作業が始まります。小隊長はサイドカー(或いは乗馬)で、小隊の前後を巡回して作業監督をし、障害物があれば準線(線を延ばす方向)を指示します。
建柱分隊長が作業發起點に立ち、3米余の木柱(樫製)を担いだ測定伍5名がが準線の方向に走っていって、50〜100米おきに並びます。分隊長が呼笛と手旗で指示して測定伍を直線に並ばせます。これで電柱の位置が決まります。
分隊長が呼笛を長く吹き(測定完了)、植柱伍5名が電柱位置に駆けつけて穿孔器で(電動ドリルが実用化される前は、小形の携帯ヨイトマケのような「鐵地鑿」と云う原始的な道具で、ドシン・ドシンと穴をあけていた)地面に穴をあけ、電柱をさし込みます。2台の電線路建築車に載せた發電器から長いコード−を伸ばしてドリルを動かします。穴は長く細いので、電柱はピタリと固定されます。これが終わると植柱分隊は建築車に飛び乗って次の作業場所に移動し、随伴の輜重車(器材分隊より派出)から電柱を取出して、また同じ作業を始めます。
電柱が建ったところには、間髪を入れず架線分隊が出てきて、電信線を張ります。延線伍が電線路建築車を電柱に沿って動かし、荷台に載せた大絡車(糸巻の巨大なもの)から電線を引出して、どんどん延ばしていきます。線掛棒で電柱の頭に付いた碍子の縦溝に引っ掛けます。その傍から張線卒が引っ掛けた電線を張線器で挿み、手で引っ張って弛みをなくします。各電柱に折梯子(脚立)を立てて登り待ち構えていた留線卒が、電線を碍子に鉄線で固縛します。導通試驗手が大絡車一巻が終わって次の裸線に繋ぐ時に、棒の先の延ばした鉤型の端子を電線に引っ掛け、胸から提げた電話器でちゃんと通信できるか検査します。電線を固縛した留線手は脚立を持って新しく建った電柱に移動して、線が来るのを待ちます。架線伍にあるもう一台の電線路建築車は、いま作業中の建築車の電線が無くなって器材分隊から補充を受けている間に、代わりに作業に出るため用意されています。常に傍に控えていて、いつでも交代できます。大絡車の裸線は10分くらいで一巻を使いきります。
補修分隊の輕機關銃伍は、歩兵と同じ武装で作業の周辺を警戒します。またサイドカーで進行方向の斥候にもでます。補修伍は既設の電線路を巡回して、不具合を修繕するほか、木工手の指揮で代用電柱の長さを揃えて、頭に碍子を取り付ける作業をします。代用電柱は、制式の電柱が不足したり、これを節約する必要がある時に、器材分隊がその辺の樹木を伐ってくるものです。
こうして裸線構成の信号線ができます。この作業を迅速に繰り返していくと、歩兵の行軍と同じ速度(3.5km)で敷設ができます。作業の列は500米に延びて、さらに後尾に器材分隊の車輌が続くので、先頭から振り返ると、まるで大蛇がはっているように見えます。
撤収は、敷設作業の逆をすればよく、電柱から線を外して大絡者に巻取り、電柱を抜いて器材小隊の輜重車に載せていきます。  →もどる
☆ 器材小隊(100名)sekci de meblar, parts section → top

小隊長(准尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
小隊付(軍曹)、看護卒(軍醫部員)
電工卒、機工卒、木工卒(馬匹編成時、蹄鐵工卒を増加する)
【車輛】二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車2(小隊長・看護卒用)、小型乗用車(小隊長用)、工作車

【第1〜4器材分隊】(92名)  → top


☆ 中隊(395名)kompani, company  → top

【中隊本部】(46名)

中隊長(大尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
[車輌]二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(中隊長用)、小型乗用車(中隊長用)

 《指揮班》(10名)
指揮班長(特務曹長)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
信號手、信號卒2
喇叭手(上等兵)、笛手(宗務部員)
看護手(軍醫部員)
[車輌]二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車2(班長・看護手用)、小型乗用車(班要員用)、信號車(信號用)

 《給養掛》(8名)
給養掛(曹長)
縫工卒、靴工卒
炊事手(經理部員)、炊事手(同)、炊事卒、馭卒(輜重輸卒)、同助手(輜重輸卒)
[車輌]中型自働貨車(給養掛・縫工・靴工用)、炊事車

 《器材班》(21名)
三等電工長(兵器部員)
  電工手(同)、電工卒4
  機工手(兵器部員)、機工卒4
  木工手(兵器部員)、木工卒4
  銃工手(兵器部員)、銃工卒4
(馬匹編成時、機工の代わりに蹄鐵工・鞍工をおく)
[車輌]小型乗用車(班長用)、工作車4、器材車4

 《傳鳩班》(3名)
傳鳩長(曹長)、傳鳩手(上等兵)、傳鳩卒
[車輌]側車付二輪自働車(班長用)、小型自働貨車(移動鳩舎)

【第1〜3小隊、器材小隊】(325名)  → top


中隊長(工兵大尉)
3箇小隊を指揮して「裸線構成」を建築します。小隊の作業組み合せを、よく考えないと能率があがりません。例えば担当する区間が長い場合は、各小隊に作業区間を分割して割り振り、同時に作業を進めます。途中に河がある場合は、時間のかかる河越架空作業あるいは皮膜した水底線による水底敷設作業をしなければならないので、1箇小隊をこれに充てます。また追撃戦や迂回作戦など急行軍の際は、電柱をたてる裸線構成では前線の司令部の移動に追いつけないので、大被覆線を地面に敷いていく軽構成で代用します(あとで後尾の小隊が追いかけながら裸線構成をしていく)。これは短時日しか使わない臨時通信網を設ける時にも使います。この時も断線を避けるためになるべく樹木や建造物を利用して架空するように工夫します。(線の中味が断線しても、皮膜の外見からは発見し難いので、大被覆線は余り推奨されない)
電信線の一番はじには通信分隊を1箇残して、導通試驗の受け手にします。この分隊は軍司令部の合同通信所の指揮下に入り、他の通信作業にも従事します。
☆大隊(1,615名)batalion, battalion

【大隊本部】(135名) → top

大隊長(少佐)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
[車輌]二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(大隊長用)、中型乗用車(大隊長用)

 《指揮班》(13名)
副官(中尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
書記(曹長)、傳令卒
信號長(伍長)、信號手(上等兵)、暗號手(同)
喇叭長(伍長)、喇叭手(上等兵)、笛手(宗務部員)
軍犬手(上等兵)、軍犬卒
[車輌]二輪自働車2(傳令用)、側車付二輪自働車(副官用)、中型乗用車(副官・書記用)、小型自働貨車(移動犬舎)、信號車

 《經理班》(17名)
二等主計、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
三等計手、傳令卒
二等縫工長(經理部員)、縫工手(同)、縫工卒
三等靴工長(經理部員)、靴工手(同)、靴工卒
三等炊事長(經理部員)、炊事手(同)、炊事卒、炊事車馭卒(輜重輸卒)、同助手(輜重輸卒)
[車輌]二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(主計用)、中型乗用車(主計・計手用)、炊事車、工作車2(縫工・靴工用)

 《器材班》(29名)
器材掛(一等兵器技手)、傳令卒、馬卒、從卒
一等電工長(兵器部員)、三等電工長(同)、三等機工長(同)、三等銃工長(同)、三等木工長(同)
  電工伍(電工手(兵器部員)、機工卒4)
  機工伍(機工手(兵器部員)、電工卒4)
  銃工伍(銃工手(兵器部員)、銃工卒4)
  木工伍(木工手(兵器部員)、木工卒4)

(動物輜重編成時は、獸醫・蹄鐡工長・蹄鐵工、鞍工長・鞍工を増加する)
[車輌]二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(器材掛用)、中型乗用車(器材掛・一等工長用)、工作車4、器材車4

 《傳鳩班》(6名)
傳鳩長(特務曹長)、傳鳩手(上等兵)、傳鳩卒2、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
[車輌]側車付二輪自働車(班長用)、中型自働貨車(移動鳩舎)

 《軍醫班》(38名)
二等軍醫、看護卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
三等看護長(軍醫部員)、看護手(同)、看護卒
擔架伍: 看護手(軍醫部員)、看護卒4、擔架卒16
磨工手(藥劑部員)、磨工卒
[車輌]二輪自働車2(傳令用)、側車付二輪自働車6(軍醫・看護手・擔架監視用)、中型乗用車(軍醫・看護長用)、中型自働貨車(衛生材料用)、擔架車8

 《宗務班》(6名)
輔祭、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
従者(宗務部員)、聖歌手(同)
[車輌]二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(輔祭用)、中型乗用車(輔祭・從者・祭具用)

 《大行李》(22名)→ top

行李長(伍長)
行李伍: 輜重兵上等兵、輜重兵一等卒4、輜重輸卒16
[車輌]二輪自働車6(監視用)、中型自働貨車8

【第1〜4中隊】(1,580名)
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(動物輜重編成時: 乗用車、二輪自働車、側車付二輪自働車の代わりに乗馬を、その他自働貨車をはじめとする諸車輌の代わりに駄馬或いは挽馬輜重車(自働貨車1に就き馬2)をおく。)
《大隊長》 batalion chef, batallion commander(工兵少佐)通信工学の専門家で、軍の信號系統すべての面倒を見ます。なかには工兵學校将校學生や民間の工科大學依託學生としての経歴の方が、部隊付のそれより長いと云う人もいます。技術屋・学究肌に多い勤勉で真面目な人が多く、戰闘工兵と較べて地味で大人しい印象があります。
軍司令官から直接に命令を承け,有線電信、無線電信、傳鳩通信、その他の信號につき通信網を構成・保守し、高級司令部の送受信作業を担当し、さらに不足する施設を建築します。軍の電信電話局長と云った役どころです。建築は主に長距離電線路ですが、前線部隊進撃の後を追って急速に通信線を敷いていきます。既存の電信線がある場合は、それを補強して利用します。無線アンテナ塔の建設もします。送受信作業を行う通信所は軍司令部、師團司令部、獨立兵團司令部に開設し、各司令部付の信號兵と合同の作業所として運営します。電気信号機を動かすための発電・変電機器も運転・管理します。
暗號の組立はしますが、解読は各司令部参謀部の管轄なので、信號工兵の担当範囲外です。参謀部の情報班に他兵科の暗號特業兵がいて作業しますが、信號工兵とは別の兵種です。また部隊直属の信號兵も、信號工兵ではなく、当該部隊の兵科に在籍する兵を信號特業兵として訓練したもので、所属部隊長の命令で動き、信號工兵大隊長の命令系統には入っていません。例えば、歩兵中隊の信號兵は、「階級:歩兵一等卒、命課:第○中隊付信號卒」という肩書です。よく演習などで、電纜の輪を背負って一条の電線を走りながら地面に直かに敷いているのは部隊のこうした信號兵で、信號工兵ではありません。
信號工兵は、無線より有線を主としているように見えますが、これは長距離無線電信の性能が不安定で、精密を要する作戦命令の暗號電文数字が送信途中で歪んだり欠落したりして、解読不能や誤解読となる例が多いので、そうなってしまうのです。また盗聴の危険も有線に較べて格段に高く、動きの激しい車輛部隊や飛行部隊で、またその他の兵種でも最前線で有線を敷設する余裕が無い場合の代用として利用される場合以外は、なるべく有線を使用するのが陸軍の方針となっています。  → top
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