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野砲兵の基本的な部隊編成を解説します。


  →砲車 pafileg, gun & limber
  →小隊 sekci, section
  →中隊 bateri, battery
  →大隊 batalion, battalion
  →聯隊 regiment, regiment

★★野砲兵部隊編成★★

 野砲兵の部隊編成は、砲兵科編成の基本となります。
編成例:

  野砲兵聯隊本部(指揮班、觀測班、信號班、配属工兵小隊)
    第1大隊本部(指揮班、觀測班、信號班)
      第1中隊本部(指揮班)
            第4觀測車
            信號車
        戰砲隊
          砲車隊
            第1小隊
              第1〜2砲車、第1〜2牽引車、第1〜第2彈藥車、第1觀測車
            第2小隊
              第3〜4砲車、第3〜4牽引車、第3〜第4彈藥車、第2觀測車
            第3小隊
              第5〜6砲車、第5〜6牽引車、第5〜第6彈藥車、第3觀測車
            彈藥小隊
              第7〜12彈藥車
        中隊段列(段列指揮班、炊事班)
              兵器分隊
              小行李
                第13〜17彈藥車、豫備品車
      第2中隊
      第3中隊
      大隊段列(段列指揮班、經理班、兵器班、行李、軍醫班、宗務班)
    第2大隊本部
      第4中隊
      第5中隊
      第6中隊
      大隊段列
    第3大隊本部
      第7中隊
      第8中隊
      第9中隊
      大隊段列
    聯隊段列(段列指揮班、經理班、兵器班、行李、軍醫班、宗務班)
軍装
(機械化前の野砲部隊砲手は歩兵と同じ軍装で、騎兵銃を背負い、徒歩で砲の後ろを行軍しました。(騎砲兵は騎乗、野戰重砲兵は前車に乗りました)そのため、いまだに砲手は巻脚絆に編上靴という足固め、馭兵・馭卒は騎乗のため半長靴に拍車付です。伍長以上の幹部は機械化前は全員が乗馬本分で、帯刀・拳銃携帯・半長靴に拍車と云う出で立ちでした。現在も乗馬こそありませんが、軍装はそのままです。
背嚢など装具は牽引車に載せたままです。挽馬時代には砲車や前車に山のように背嚢装具が載せられていました。もちろん正式には許可されない事ですが、隊長の裁量で許されるのが一般だったようです。
携帯小火器も上等兵以下は全員が騎兵銃を背負い、砲車・前車を除く各車輌には自衛用の輕機関銃ないし短機関銃が備え付けられています。砲兵に小銃が必要か、は議論の対象となりましたが、結局は自衛用に配布されています。砲撃中は砲の後方に叉銃してあったり、或いは牽引車に載せてあったりします。歩哨勤務や行軍中の警戒には、やはり必要なので、面倒でも携帯しているのが実状です。
銃剣は邪魔になるので砲撃中は携帯しないのが普通です。伍長以上の軍刀も砲撃中は附けない方が多く、砲側は作業を容易にするために全員が異装であるのが普通です。砲側にある砲兵は重量物を長時間扱い疲労が激しいので、堅苦しい正規軍装は省略されてしまいます。殊に夏季は裸に近い恰好となります。また前進觀測班は現地民間人と同じ服装を軍服の上から着込んで、カムフラージュする事すらあります。
面白いのは、真綿が耳栓として支給されており、発射時に砲側至近に位置して両手が作業で塞がっている兵は鼓膜を保護するために、これを使用します。一番砲手は分隊長の命令が聞こえないといけないので片耳だけ使用したりします。命令も甲高いキンキン声でないと通じません。連続射撃が長時間に及ぶと砲手は一時的に難聴となってしまいますので、分隊長は手旗を使って射撃命令を出します。退役兵でまだ若いのに耳が遠く、しかも声がキンキンとよくとおる人は、もと砲兵だったと思って間違いないでしょう。)
☆砲車(12名:野砲、彈藥運搬用の前車を附属)pafileg kamp, gun & limber  → top

獨式BMWR75型側車付二輪自働車側車付二輪自働車: 砲車長(伍長)、傳令卒
獨式デマーグ型1頓輕牽引車牽引車(1噸半装軌牽引車): 後馬馭者(上等兵操縦手)、中馬馭者(操縦助手兼搭載機關銃手)、前馬馭者(同兼搭載機關銃彈藥手)
十榴砲車(105粍榴彈砲)
砲車: 射手(上等兵)、照準手(上等兵)
前車(砲車附属彈藥貨車兼用): 第1装填手、第2装填手、信管手
上記砲手5名は牽引車に搭乗する事がある。

獨式デマーグ型1頓輕牽引車彈藥車(1噸半装軌牽引車及前車・彈藥貨車): 彈藥手3、馭者3

2線級部隊の戰砲分隊は牽引車の代わりに挽馬6頭(砲車長は單獨乗馬)であったり(その場合は部隊に獸醫部員及び鞍工が増加される)、砲そのものが舊式であったりします。


《砲車長》chef de pafileg, chief gunner(砲兵伍長、砲兵學校下士候補生大隊下士教程修了) 野砲1門の長です。専用の運轉手付側車で移動します。行軍中に野砲・前車(彈藥・器具運搬車)・砲車の周囲を巡って不具合が無いか監視し、また諸種の連絡で小隊長の現在位置に駆付ける必要があるからです。牽引車に乗ることもあります。(圖 → 野砲の各部名称)
小隊長の命令に従い砲手と馭者を指揮して、砲を陣地に進入させ、牽引車・前車・砲車の繋駕(連結)を外し、それぞれを適当する位置に配し、砲には偽装を施し、砲脚に駐鋤(鉄杭)を打ち込んで地面に固定し、彈藥車の位置を決め、必要と思われる彈藥箱を砲側に並べて、射撃準備をします。戰闘が始まると小隊長の命令を実行するべく分隊に号令をかけ、目標を射撃します。使用彈種や信管セットの確認もします。射撃諸元と射撃経過は手簿(手帳)に記録します。日頃の訓練が良いと射撃速度(砲種によって1分間何発という標準がある。105粍野砲で3発、150粍野戰重砲は2発)が速く、照準も精確です。砲手の誰かが倒れたら次席の兵が代理をします。全員が砲操作のどの部署でも取扱えます。それでも足りないと、彈藥小隊や段列から兵員が引抜かれてきて砲手が補充されます。戰闘が終わると射撃した回数と消費彈量、命中数などを記録し、小隊長に提出します。発射回数が命数(砲の寿命、砲身が壊れて事故とならないよう発射数限度を予め決めてある。レミニア軍では榴弾砲で約3,000発、加農砲で300発)を超えないうちに砲身交換しなければ、命中精度が落ちるばかりか、ボロボロになった砲腔が発射時に腔発(破裂)して死傷者の出る大事故となりますので、このように正確な記録をとります。また射撃を重ねると、地面の土砂を砲口が吸込むため、(発射時に砲腔内が一時的に真空となって、そのあと急激に空気を吸い込む。舞上がった土砂も共に砲腔内に入り、それが重なると土砂で砲腔に栓をしたような状態となる)放置しておくと、腔発事故となります。そこで時々、射撃を中断して、砲腔内を掃除し、また熱を冷します。このように分隊長は砲の状態に気を附けていて、小隊長に砲を休ませるための意見具申をしなければなりません。さて運悪く、もし砲側に敵歩兵が接近してきた場合は、零距離射撃を行って直接に榴霰彈を敵に浴びせます。さらに敵が迫ってくれば、部下を指揮して拳銃・騎兵銃・短機関銃・輕機関銃で応戦し、白兵戦も辞しません。その時には既に全滅を覚悟しているので、砲が敵に鹵獲されても直ぐには役に立たなくするよう専用ハンマーで照準器と尾栓部を破壊します。空襲や敵砲撃を浴びる羽目となった場合は、砲側に掘った塹壕に避難して、嵐が過ぎるのを待ちます。  → top

《傳令卒》herold, runner(砲兵一等卒、二輪自働車操縦術修業者)
分隊長搭乗の側車を運轉します。必要時にはオートバイ傳令として働きます。

《射手》shafist, gunner(砲兵上等兵、砲兵學校野戰砲兵射撃練習所射撃術修了者) 行軍時は牽引車(輓馬編成では砲車の進行方向左側にある腰掛)に乗っています。
分隊長の「撃て」の号令に従って砲の拉縄(引鉄)を引き、弾丸を発射します。閉鎖機(砲尾の彈込め口)の開閉もします。閉鎖機を開けた後、砲腔を覗き残留物が無いのを確認し、二重装填や腔発などの事故を防止します。連続射撃で砲身が灼けてくると分隊長に注意を喚起します。装填した弾薬が熱で爆発する危険があるからです。砲の調子を膚で感じる立場にあるので、その意見は尊重されます。別称:一番砲手 
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《照準手》direktist, gun layer(砲兵上等兵、砲兵学校野戰砲兵射撃練習所觀測術修了者)
行軍時は牽引車(輓馬編成では砲車の進行方向右側にある腰掛)に乗っています。
小隊長の命令する目標に照準を合わせます。装填手が架尾を動かして砲身を目標方向に向けた後、照準手が細かい照準をつけます。砲側後部左側に照準器が附いていて、二つの轉把(ハンドル)を使って上下左右に砲身を動かします。照準装置のレンズに浮かぶ目盛を見ながら砲身の高低、左右方角を合わせてゆきます。射撃後、小隊長は砲隊鏡で彈着を観測して(直接射撃の場合)、或いは前進観測班からの弾着報告をもとに(間接射撃の場合)、着弾点を細かく修正する命令を下すので、それに従って更に照準器を操作します。発射すると反動で砲がずれる(砲脚を駐鋤で地面に固定してあっても、駐退復座器があっても、砲自体が発射時に派手に跳ね上がる)ので、装填後、必ず再び照準を合わせます。照準手が「よし」(照準終わり、発射可能の意味)と怒鳴ると初めて砲車長が「撃て」の号令をかけ、射手が拉縄を引いて発射します。だいたい腕の良い砲兵分隊は、目標の左右に彈着して、その2点から目標までの距離を読み、3発目に命中(狭叉射撃)するよう照準を修正します。戦場馴れした敵兵は、2発目が来た時には自分が狙われているのを悟り、すばやく逃げ出します。遠距離だと命中ないし有効彈を得るまでに8〜10発は費します。別称:二番砲手

《第1装填手》, 1st charger (砲兵一等卒、装填術修業者)
行軍時は前車のベンチ右側に座っています。
信管手から信管セット済の彈藥を受取り、砲腔に入れます。照準時に第2装填手を手伝います。別称:三番砲手

《第2装填手》, 2nd charger (砲兵一等卒、装填術修業者)
行軍時は前車のベンチ左側に座っています。
照準命令が出ると、架尾の照準棍で砲身を左右に動かし、砲身を目標に向けます。射手が閉鎖器を開き、彈藥手が重量15〜6Kg程の砲彈を砲腔内に入れた後、これの底を撞悍で押して彈室に込めます。別称:四番砲手

《信管手》, fuse setter(砲兵一等卒、信管術修業者)
行軍時は前車のベンチに真ん中に2名の装填手に挟まれて座っています。
首から信管廻を懸けて、小隊長の命令に従い弾種と装藥を確認し、砲弾の信管(昔で云う導火線;弾丸の頭や底に内蔵されていて信管廻(レンチ)でネジを捻ってセットする方式が多い)を命令の長さに合わせて、装填手に渡します。彈藥を渡す毎に「いち」(第一番目の彈藥)、「にい」二番目の彈藥)と唱えます。連続射撃何発と云う命令の時に、いま何発目かをハッキリ確認するためです。弾種は榴弾・破甲榴彈(築城物破壊用)・徹甲彈(装甲破壊用)・榴霰弾(人馬殺傷用、これは殆ど使われない)・霰弾(これも使用されない)・煙幕彈・焼夷彈・瓦斯彈(国際条約にて禁止)・目標彈・空彈(中にビラなどを詰める)など多種類ありますが、野砲兵は主に榴弾を使用します。榴弾は着発信管(目標物に当たると同時に破裂させ、鋼鉄の鋭い破片で周辺2〜30平方メートルの範囲にある物体を破壊する)が多く、曳火(時限)信管(敵兵の頭上で破裂させ、砲彈の破片或いは散彈をばら撒いて人馬を殺傷する)は榴弾と榴霰彈に、遅発信管(装甲にめり込んだ後に破裂させ、破壊力を増大させる)は徹甲彈に使います。装藥は、火薬量の異なるものが用意されていて、強力な順に1號装藥、2号装藥と順に呼び、これを取替えることによって砲彈の初速を制御しようとするものです。野砲は藥莢と弾丸が一体となった形が多いのですが、重砲のように丈夫な布に詰めた装藥(藥筒)と彈丸が別になっているもの使うこともあります。野砲の薬莢は中に包んだ装薬が1號から順に強い順に入っていて、底にいくと一番弱い装薬となっています。(薬莢の大きさによって装薬の数は違う。75mmでは4號まで、それ以上になると7號や8號くらいまである)ちょうど円筒形のドロップのような詰め方なので、そのまま全部を詰めたままで使うと1號となり、先頭の1號を取りだし2號以下を詰めたたまま使うと2號装薬となります。:五番砲手

《彈藥手3名》, caissoner(砲兵一等卒、彈藥術修業者) 行軍時は彈藥車を運轉します。
彈藥貨車から彈藥箱を砲側に運び小隊長の命令に適当する彈藥を取出し、装薬をセットして信管手に渡します。信管廻を首から懸けていて、信管手の手伝もします。彈藥貨車の彈藥箱が無くなると彈藥小隊の彈藥車が放列まで前進して牽引してきた彈藥貨車を交付し、空になった彈藥貨車を引取って彈藥小隊の位置まで後退します。彈藥小隊には中隊小行李の彈藥車が前進して牽引してきた彈藥貨車を交付し、空の彈藥貨車を引取って原位置に復帰します。部隊段列の彈藥車が中隊まで進出して充實した彈藥貨車を交付し空の彈藥貨車を引取って原位置に復帰します。部隊段列の彈藥車は部隊彈藥集積處で充實した彈藥貨車を引取り空の彈藥車を砲兵彈藥縦列に引渡します。砲兵彈藥縦列は兵站終點から彈藥貨車を運んできます。兵站終點には軍兵站監部の開設した彈藥集積處があり、そこには兵站道路上を兵站監部所属の兵站彈藥縦列の彈藥車が彈藥貨車を牽引してきます。兵站彈藥縦列は兵站主地の野戰鐡道端末驛(ターミナル)に於いて集積された彈藥を彈藥貨車に積載します。鐡道は集積主地から延びていて、貨物列車がせっせと砲彈を運んできます。集積主地は内地からの補給物資の入口で、港湾や道路、鐡道、飛行場が整備されている交通の要衝です。そこには大規模な野戰倉庫や集積所があります。内地の兵站基地の倉庫から発送された砲彈は、輸送船や鐡道によって集積主地に運ばれてきます。このようにして砲彈は遥々と旅をして彈藥手の手に渡ります。彈藥手は砲手が欠けた時に、ただちに代理を務めます。別称:六番〜八番砲手

《後馬馭者》, rear driver(砲兵上等兵、砲兵學校野戰砲兵射撃練習所馭法修了者)
牽引車の操縦手です。
砲車と前車を牽引車に繋いで移動します。(機械化の前は、6頭立の巨大な挽馬で牽引しました。3名の馭卒が左列の馬(服馬)に跨って、手綱・鞭・拍車で進行方向や速度を制御します。右側の馬(驂馬)は左側の馬につられて動きます。一番後ろの馬(後馬)には前車の轅桿(木製の頑丈な梶棒)が馬側に直結されていて、後馬の動きによって前車・砲車の方向・速度が決められます。中馬・前馬の轅桿は馬側には直結されていないので、単に牽引するだけです。そこで後馬に最も巨大強力な挽馬を置き、これを馭す事で砲車の運轉をしました。左列の他の馬に跨った2名の馭卒が他の馬(中馬、前馬)を補助的に制御し、さらに前車に乗った砲手が車輪のブレーキをかけたり緩めたりして馭兵に協力しました。)機械化以降は、強力な全輪駆動ないし全軌条の牽引車が挽馬の代りとなりました。後馬馭者は操縦手として活躍します。牽引車に砲手チームも乗込み、彈藥は前車に積み、各車互いに繋駕(連結)して図のように( ←□・□・□= )矢印の進行方向に向かって、先頭が牽引車、中間が前車、最後に砲車の順で前進します。砲兵独特の間延びした号令口調は、砲車が重いので急には停まれず、直ぐには発進できないためです。砲兵では「とまれ」の号令は「とおお まあーあ れええ」となります。「前に進め」も「まああ ええーえ にいい すうう すうう めええ」となります。長い号令の間に、馭者はクラッチを踏み込み、ブレーキをかけてユルユルと停止します。単に短い「とまれ」だけでは急ブレーキとなり、隊列の砲車どうしが追突するおそれがあるからです。また前進の場合は、長い号令の節目ごとに、馭者はセルをいれてエンジンを始動させ、ギアをいれ換えながら、一斉にユルユルと発進させます。こうした悠長な号令の掛け方は砲兵を始めとする乗馬兵種(ないし乗車兵種)独特ですが、テキパキ動く歩兵からは揶揄の的になっています。

《前馬馭者、中馬馭者》, fore or middle driver(砲兵一等卒2、馭法修業者)
牽引車の運轉助手兼搭載機關銃手及同彈藥手です。この2名は後馬馭者や彈藥手が倒れた時には、その代理をします。


☆ 小隊(34名:野砲2)sekci, section  → top

小隊長(中尉・少尉・少尉補のいずれか)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
小隊付(軍曹)、觀測手(上等兵)、信號手信號卒斥候卒 看護卒
〔小隊指揮用車輌〕
小型乗用車(小隊長用兼指揮要員用)、小型装甲觀測車(前進觀測用兼信號用)、側車付二輪自働車2(小隊長用、看護卒用)、二輪自働車(傳令用)

【砲車】(24名:野砲2、前車2、牽引車2、彈藥車2,側車付二輪自働車2)
十榴十榴


《小隊長》sekci chef, section leader(砲兵中尉・少尉・少尉補のいづれか)
野砲2門の長です。中隊長の命令に従い、砲を最適な陣地に進入させ、目標を射撃します。各砲車長に目標と位置(照準点)、彈種、方向角、高低角、信管の種類、信管修正量、距離を指示し、射撃命令を発します。「第1砲車ああ。目標、敵歩兵大隊、敵第一線陣地塹壕内に於いて集結・突撃準備中。座標○○○○○。方向○○。高低○○。榴弾。装薬○號。着発信管、信管○秒。射距離ろくせーんーごーひゃああく。五発!」という具合に命令します。(複数砲を発射する時には、各砲の発射順序・間隔を指示。彈種を指定しない時は榴散弾が、信管の種類を指定しない時は曵火信管が用意されます。発射は指定数まで連続発射されます。)すると命令を受けて、彈藥手が彈藥箱から彈藥(彈丸と装薬入りの薬莢)を選んできて、それに信管手が信管と装薬をセットし、装填手が彈藥を装填します。射手が閉鎖器を閉め、その間に照準手が照準終了して「よし」とわめき、分隊長はそれを聞いてから初めて「うてー」と号令し、射手が拉縄をひき弾丸が発射されます。諸元を変える場合は、「射距離ませー50!」などと必要な部分だけを命令すればよく、また同じ諸元で射撃を続行する場合は、目標・射撃諸元は省いて「つぎ!」の命令を発すれば砲車はすみやかに次彈を発射します。連続射撃に移る時には、「続けて撃て!」と命令すると、「打ち方やめ」を命令するまで砲車は連続して射撃します。(砲車に直接命令するのは小隊長で、中隊長は指揮班と共に前線にあって觀測に従事しているので、このような細かい射撃命令を砲車に直接に下す事はありません。)砲兵の数字の読み方は独特で、聞き間違えが出ないように、4(し)は「よん」、7(ひち)は「なな」、9(く)は「きゅう」と読みます。照準の腕が良くても、至近距離の直接照準射撃でない限り一発目で命中と言うことは先ずありません。腕がわるいと何時までたっても命中しません。間接射撃の場合は、部隊本部の測量した座標入りの地圖に基づいて、命令された標点をめがけて諸元を計算し射撃します。前進觀測班の弾着指示を基に中隊命令が伝達されるので(なるべく有線電話で行い、受信状態の不安定な無線はやむを得ない場合のみ使用します)、それに従って射撃諸元を修正し発射命令を出してゆきます。小隊単独で射撃をする場合は、小隊長自ら装甲觀測車に乗車して前進觀測を行い、電話にて射撃命令を各砲に伝達します。砲側では小隊長にかわり、小隊付軍曹が代理で発射を命令します。昔の小隊長以上の砲兵指揮官は乗馬で移動しましたが、現在は乗用車(行軍時)、装甲觀測車(前進觀測時)、側車付二輪自働車(短距離移動時)の移動手段が用意されており、必要に応じて移動手段を選択します。

《傳令卒》herold, runner(砲兵一等卒、二輪自働車操縦術修業者)
砲隊鏡を携帯しており、小隊長が敵状を視察する時の助手をします。小隊内の簡単な伝達や、電信故障時には、オートバイ伝令として働きます。  → top

《小隊附》sekci serghent, section sergeant(砲兵軍曹、砲兵學校下士候補生大隊下士教程修了)
補給(主に彈藥)を取り仕切り、小隊長が前進觀測に出たり欠員となった場合は、その代理として砲2門の射撃を指揮します。  → top

《觀測手》observist, observer(砲兵上等兵、砲兵學校野戰砲兵射撃練習所觀測術修了者)
觀測・信號機器・自衛用機關銃を搭載した小型装甲觀測車に乗組み、必要な觀測を行います。砲の陣地変換後は、砲と標点の相対位置を割り出し、砲の座標位置を中隊觀測掛に報告します。小隊単独で射撃する場合は、小隊長と共に敵陣近くまで進出して前進觀測を行います。  → top

《斥候卒》ashistant skolt, assitant scout(砲兵一等卒、斥候術修業者)
装甲觀測車を操縦します。備付機関銃で小隊放列の周辺を警戒し、また前進觀測時には敵に発見されるのを予防し、観測班を護衛します。  → top

《信號手》signalul, signalman(砲兵上等兵、工兵學校信號術練習所號術修了者)
装甲觀測車に乗っていて、備付の電氣信號器で小隊砲側及び中隊との連絡を取ります。  → top

《信號卒》ashistant signalul, assistat signalman(砲兵一等卒、信號術修業者)
行軍中は小隊長乗用車に同乗して、小型電気信號器で中隊との連絡を取ります。無線・有線どちらでも電話通信が可能です。射撃中は信號手の助手をします。小隊長が前進觀測に出た時は、砲側に残って小隊長の命令を受信します。野砲は頻繁に陣地変換をしますので止むを得ず近距離無線を使用しますが、盗聴される懼れがあり、また地形によっては不通となったり、電波が崩れたりします。時間に余裕があれば、なるべく大隊信號班の敷いた有線電話線を使用するようにします。  → top

《看護卒》ashistant flegist, assistant medical aid(砲兵一等卒、擔架術應急看護術修業者)
放列後方に控えていて、傷病者が出れば駆けつけて応急手当を施します。サイドカーに収容し、部隊の傷兵溜に後送します。砲兵は戦線後方に遮蔽放列(敵からは見えない)を敷くので、死傷者が殆ど出ないように思いますが、いったん敵に発見され砲兵決戦に突入すると、敵砲彈が陣地に彈着して全滅に近い損害を受けます。負傷の程度も悲惨で、ほとんどが手足をなくす重傷で、頭部・下半身をもがれる致命傷も珍しくありません。また制空権を奪われると航空機による機銃掃射・投弾を受け、同様の被害が出ます。  
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☆ 中隊(250名:野砲6門)bateri, battery  → top

【中隊本部】(25名)
中隊長(大尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
〔中隊長用車輌〕
小型乗用車、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車

<指揮班>(21名)
指揮班長(特務曹長)、傳令卒、馬卒、從卒
喇叭手(上等兵)、鼓手、笛手(宗務部員)
觀測長(軍曹)、觀測手(上等兵)、觀測助手3、斥候手(上等兵)
信號長(伍長)、信號手(上等兵)、信號卒4
〔指揮班用車輌〕
中型乗用車、装甲觀測車、信號車、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車3(班長用、觀測長用、信號長用)

【段列】(123名)

<段列指揮班>(8名)
段列長(准尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
給養掛(曹長)、縫工卒、靴工卒
看護手(軍醫部員)
〔指揮班用車輌〕
小型乗用者(段列長用)、中型乗用車(給養掛用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車2(段列長用、看護手用)

<炊事班>(4名)
炊事手(經理部員)、炊事卒、馭卒(砲兵輸卒)、同助手(砲兵輸卒)
〔炊事用車輌〕
炊事車

<兵器分隊>(12名)
分隊長(兵器部員・二等鍛工長)、鍛工手(兵器部員)
  第1伍: 鍛工手(同)、鍛工卒4
  第2伍: 機工手(兵器部員)、機工卒2、火工卒、鞍工卒
〔兵器部用車輌〕
工作車3、器材車3、回収車3

【小行李】(49名)
小行李長(軍曹)
豫備品車長(上等兵)、彈藥車長5(上等兵)
馭者18(1車に就き馭者3名、彈藥車は前車と彈藥貨車を連結したもの、豫備品車は前車(1車は豫備品用)を2輌繋いだもの)、彈藥手15(1車に就き3名乗車)
〔小行李用車輌〕
豫備品車1、彈藥車5、二輪自働車7(小行李長・彈藥車長用)

戰砲隊
【彈藥小隊】(50名)sekci de munici , caisson section
分隊長(軍曹)、分隊長輔佐(上等兵)、彈藥車長6(上等兵)
馭卒18(彈藥車は前車と彈藥貨車を連結したもの)、彈藥手24(1車に就き4名乗車)
〔彈藥小隊用車輌〕
彈藥車6、二輪自働車8(分隊長・同補佐・彈藥車長用)

【砲車隊】(102名:野砲6門、彈藥車6輛)
第1小隊十榴十榴
第2小隊十榴十榴
第3小隊十榴十榴


間接射撃の觀測方法

《中隊長》bateri chef, battery commander(砲兵大尉)
配下の野砲6門を使って敵を砲撃します。もともと野砲は歩兵隊と共に前方に出て、敵前で直接射撃する兵種でしたが、小銃射程が伸びたので砲手が狙撃されるのを避けるため後方に放列を布き、觀測班だけが前進して歩兵隊と共に行動するようになりました。戰車が敵前に出て直接射撃をし、かっての野砲の役割を果たすので、野砲隊は105mm程度の中口径榴弾砲を装備して重砲隊に準じた間接射撃を専ら行い、直接射撃は極く稀にしか行いません。中隊長は装甲觀測車に乗車して歩兵隊と同じ線に進出し、敵状を掌握して後方の放列中の基準砲(第1小隊第1分隊第1砲車)に目標の射撃を命令します。その射撃が始まれば、觀測班に弾着を観測させ照準の修正を指示します。修正諸元は他の砲に伝達され、中隊の全砲口がピタリと目標を向き、一斉射撃が開始されます。各砲車は基準砲の照準と同じ諸元(但し自分の砲位置の分を修正している)を維持しているので、たちどころに全砲彈が一地点に集中し、敵は壊滅します。命中すれば次の目標に射撃を移します。しかし我が砲の位置が暴露すると、敵はそれを撲滅しようとして射弾を集中してきます。そこで放列と云っても整然と砲が並んでいるのではなく、林や岩陰などに偽装した砲をバラバラに置いて隠蔽し、ある程度射撃すると、予め準備しておいた別の陣地にすぐ移動するようにしています。各小隊からは陣地変換後の砲の位置を報告してくるので、これをもって中隊各砲の配置を掌握します。(圖→ 間接射撃の照準方法)  → top

《指揮班長》prima serghent, 1st sergeant(砲兵特務曹長)
中隊長と共に装甲觀測車に乗車して前進し、敵状と弾着が良く觀測できる地点に停車して指揮所を開設します。中隊長の命令を各小隊に伝達します。また各小隊の命中数などの功績を記録します。中隊人事も担当します。  → top

《觀測掛》chef observist, chief observer(砲兵軍曹)
中隊射撃に必要な觀測作業をします。装甲觀測車から降りて最も眺望の良い場所に進出し、觀測器材(方向板・測遠器)・信號器材を展開します。部隊で決めた標点を基に、各観測所・各砲車との相対位置を算出し(測地)、敵の位置を觀測器材を使い計測して、各小隊長に伝達します。これにより各小隊長は射撃諸元を把握して自分の砲に必要な命令を発します。射撃が始まると、彈着結果に基づく照準修正データを各小隊長に指示し、砲彈が命中するよう誘導します(觀測)。伝達は、なるべく大隊電話伍の敷設した有線電話線を使います(信號)。  → top

觀測作業

《觀測手》obserbist, obserber(砲兵上等兵、砲兵學校野戰砲兵射撃練習所觀測術修了者)
觀測掛軍曹のもとで觀測器材を使い射撃諸元を測定します。  → top

《觀測助手》ashistant obserbist, assistant obserber(砲兵一等卒、觀測術修業者)  → top
觀測手の補助をします。(寫眞→ 偽装して彈着觀測中)

《喇叭手》trumpetist, buglar(砲兵上等兵、歩兵學校軍樂術練習所喇叭術修了者)
戦場では余り喇叭を吹かないので、事務及び觀測の助手をします。  → top

《信號手》signalul, signalman(砲兵上等兵、工兵學校信號術練習所信號術修了者)
装甲觀測車に乗組み、備付の中型電信器を操作して、各小隊長および大隊本部との有線・無線通信網を確保します。  → top

《段列長》kamparey majstr, quarter master(砲兵准尉)
中隊の後方いっさいを取り仕切る補給係の親玉です。彈藥補給・兵器の修繕・回収・交換から衣食住・金銭出納・衛生・運輸に至るまで戦場生活の面倒を見ます。戦闘時には中隊の全彈藥車を臨時に指揮下に入れます。  → top

《給養掛》furier serghent, quarter master sergeant(砲兵曹長)
金銭出納と衣食住を担当します。  → top

《兵器分隊長》chef forghist, chief smith(二等鍛工長:軍曹相當兵器部員、兵器學校工長候補生隊鍛工長教程修了)
鍛工は大砲修繕工ですが、砲兵隊の兵器部員の大半を占めます。砲の金属部分なら何でも直してしまいます。  → top

《鍛工手》forghist, smith(砲兵上等兵、兵器學校兵器整備術練習所鍛工術修了者)
鍛冶道具一式を工作車に積んで、野砲の整備・修繕をします。その技倆は部品交換と簡単な修繕に留まっており、複雑或いは大きな修繕・加工は大隊兵器部員に依存します。
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《機工手》ashistant hufferist, assistant horseshoe smith(砲兵一等卒、兵器學校兵器整備術練習所機工術修了者)
鍛工卒と同じ工作車に乗って、車輛の整備・修繕をします。挽馬砲兵時代は木工(木製車輪の修繕)・蹄鐵工(馬匹の装蹄)・鞍工(馬具・皮革部品の修繕)が付いていましたが、自働車化されると機工にとって代わられました。  → top

《火工卒》, powderer(一等卒相當兵器部員、火工術修業者)
彈火藥を扱います。装藥・薬莢の詰換、信管の取付などをこなします。また地雷の除去、不発弾の処理も行います。  → top

《彈藥小隊長》, caisson sergeant(砲兵軍曹)
中隊の豫備彈藥車を指揮して、放列後方に位置し、砲車に直接必要な物品(主に弾薬、兵器の予備部品・電線など信號器材・携帯口糧・燃料もある)を補充します。空になった彈藥貨車は、大隊段列から来た彈藥貨車と交換します。この時、荷は積みかえるのではなく、空の貨車を先方に渡し、積荷ごと先方の車輌を受取ります。彈藥車は汎用のトラックではなく、彈藥貨車を前車と共に牽引車に連結し、必要に応じて放列まで進出して砲側の空の彈藥貨車と交換します。前車と貨車に彈藥手が腰掛け、計4名が彈藥箱の積下しをします。牽引車には操縦手・操縦助手として馭者が2名、彈藥車長のサイドカー運転手として馭者1名、彈藥車長という構成です。段列小行李の彈藥車も同じ構成で彈藥小隊の彈藥貨車と互換性があるので、いくら車輌が入替わっても平気です。
戰闘後は彈藥大隊の砲兵彈藥縱列から充實した彈藥貨車を補充し、空の貨車を引渡します。  → top


☆大隊(1,012名:野砲18門)batalion, battalion  → top

【大隊本部】(41名)

大隊長(少佐)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
[大隊長用車輌]
中型乗用車(大隊長用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(大隊長用)

<指揮班>(11名)
副官(中尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、従卒(經理部員)
書記(曹長)、喇叭長(伍長)、喇叭手(上等兵)、傳令卒、鼓手、笛手(宗務部員)、軍犬卒
[指揮班用車輌]
中型乗用車(副官用)、二輪自働車2(傳令用)、側車付二輪自働車(副官用)、中型自働貨車

<観測班>(12名)
觀測長(曹長)、觀測手(上等兵)、觀測助手4
斥候長(伍長)、斥候手(上等兵)、斥候卒4

[觀測班用車輌]
中型装甲觀測車、輕装甲偵察車

<信號班>(14名)
信號長(伍長)、暗號手(上等兵)、暗號卒、傳鳩卒
無線伍: 信號手(上等兵)、信號卒4
有線伍: 信號手(上等兵)、信號卒4
[信號班用車輌]
信號車、信號器材車

【段列】(221名)
<段列指揮班>(6名)
段列長(大尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、従卒(經理部員)
信號手、信號卒
[段列指揮班用車輌]
小型乗用車(段列長用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(段列長用)

<經理班>(16名)
二等主計(經理部員)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、従卒(經理部員)
三等計手(經理部員)、傳令卒
三等炊事長(經理部員)、炊事手(同)、炊事卒、炊事車馭卒(輜重輸卒)、同助手(輜重輸卒)
三等縫工長(經理部員)、縫工手(同)、靴工手(同)、縫工卒、靴工卒
[經理班用車輌]
小型乗用車(主計用)、二輪自働車2(傳令用)、側車付二輪自働車(主計用)、炊事車、工作車

<兵器班>, ordonance services(29名)
兵器掛(二等兵器技手)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、従卒(經理部員)
二等鍛工長(兵器部員)、鍛工卒
三等鍛工長(兵器部員)、鍛工手(同)
三等鞍工長(同)、鞍工手(同)
  鍛工伍: 鍛工手(兵器部員)、鍛工卒4
  機工伍: 機工手(兵器部員)、機工卒4
  鞍工伍: 鞍工手(兵器部員)、鞍工卒4
  火工伍: 火工手(兵器部員)、火工卒4
[兵器班用車輌]
小型乗用車(兵器掛用)、二輪自働車2(傳令・二等鍛工長付鍛工卒用)、側車付二輪自働車(兵器掛用)、工作車4、回収車4、器材車4

<行李>trayn, train(76名)
行李長(曹長)、傳令卒

小行李長(軍曹)
彈藥車長6(上等兵)、馭者18、彈藥手24
[小行李用車輌]
二輪自働車7(小行李長・彈藥車長用)、側車付二輪自働車(行李長用)、彈藥車6

大行李長(輜重兵伍長)、分隊長輔佐(輜重兵上等兵)、輜重兵上等兵、輜重兵一等卒4、輜重輸卒16
[大行李用車輌]
二輪自働車7(大行李長・同補佐・輜重兵用)、中型自働貨車8

<軍醫班>(12名)
二等軍醫(軍醫部員)、看護卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
三等看護長(軍醫部員)、看護手(同)、看護卒、磨工卒、擔架卒4
[軍醫班用車輌]
小型乗用車(軍醫用)、二輪自働車2(看護卒用)、側車付二輪自働車(軍醫用)、中型自働貨車(衛生材料用)、擔架車2

<宗務班>(6名)
輔祭(宗務部員)、傳令卒、馬卒、從卒
従者(宗務部員)、聖歌手(同)
[宗務班用車輌]
小型乗用車(輔祭・従者・聖歌手用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(輔祭用)

【中隊】
(750名:野砲18門)
第1中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴
第2中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴
第3中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴

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《大隊長》 batalion chef, battalion commander(砲兵少佐)
野砲18門をもってする規模の大きい砲撃戦を指揮します。予め砲撃予定地帯に觀測班を派遣し、測地をさせます。標点を設定し、それらと複数の観測所(大隊觀測所1、中隊觀測所3)と各砲車(18門)の位置を座標図に記入しておきます。座標図は獨立砲兵情報隊の配属分遣隊(地圖・印刷班)が、印刷・配布します。各中隊の砲撃分担区域を決め(戦闘途中で変更あり)、中隊長に命じて砲を木陰や岩陰、谷間、丘陵の後背などに隠蔽させておきます。また予備の陣地を多数設定し、ある程度射撃すれば、そちらに移動するようにさせます。これは発射音と閃光で敵が我が砲位置を推算して逆襲の砲撃を仕掛けてくるのを避けるためです。段列長に兵站終点に繋がる彈藥補給路を設定させ、大隊彈藥の集積位置(複数)を決めます。こうして念入りな砲撃準備が済むと、大隊長は大隊本部指揮班と共に前線の最も眺望の良い場所に進出し、砲撃指揮をとります。装甲観測車に搭乗した本部觀測掛を更に前方に派遣し(前進觀測)、第一線の歩兵隊と共に行動させて、敵状をつぶさに報告させます。また歩兵隊を始めとする他兵科からの援護要請を受付ます。敵が防御砲撃予定地帯に進入してくると、或いは我が歩兵隊ないし騎兵隊が援護砲撃予定地帯に進出すると、目標を最も射撃しやすい位置にある中隊を選び、目標の座標点を指示し、その第1小隊第1砲車(基準砲)に試射を命じます。この時、より精確な彈着を得るために、最寄りの獨立砲兵情報隊(軍砲兵指揮官の統制下に入っていて、戦域の全砲兵に対しより高度な觀測情報を通報する。軍砲兵指揮官は、軍の最先任砲兵将校が任命されるが、通常は野戰重砲兵旅團長が兼務する。)の提供する気象データ(主に弾道上の風向・風速・湿度)を参照し、弾道に影響する要素を計算して射撃諸元を修正します。基準砲の彈着が概ね良好であれば、その彈着誤差を觀測掛に測定させ、データを各中隊本部経由で全砲車に通知し、一斉砲撃に移行します。(基準砲が大きく目標を外せば、前進觀測班は更に修正データを基準砲に送り、有効打に近くなるまで彈着誘導をする。)大隊が一斉有効射撃に移ると、18発の野砲彈が頭上から降り注いできて、敵は即座に壊滅します。分厚い前部装甲を誇る戰車であっても上面の装甲は薄いので、貫通しないまでも衝撃を受けて擱座します。直接砲撃の場合は砲撃後直ぐに陣地変換をします。敵に砲撃位置を発見されて逆襲されるからです。遠距離からの間接砲撃では、陣地変換は頻繁には行いませんが、発射時の砲火と砲音により位置を察知されるので、やはり幾度かはしなければなりません。(同位置に留まるのは砲撃開始から30分間が限度)。敵砲兵隊を相手にする砲撃戦では、陣地変換を敢えてせずに敵砲兵隊が沈黙するまで急襲射撃を続行し、彼我とも血みどろの砲兵決戦に縺れ込むことがあります。陣地変換時には予め予定しておいた陣地に移動しますが、小隊付の觀測手は速やかに砲と標点・各観測所との相対位置を測定して自分の座標を確認し、これを中隊経由で大隊指揮班に通知(もちろん暗号で)し、次の砲撃に備えます。こうしておくと、地圖上どの座標の敵に対しても速やかに有効な射撃ができます。大隊長は集中砲撃の威力を最大限に発揮するよう、各中隊各砲の配置を睨みながら、彈着觀測の報告をもとに次々と有効な攻撃方法を判断して、命令を繰出します。砲車は常に第一線から数キロも遠い遥か後方に放列(砲列とは云わない)を敷き、各中隊長・大隊長は各々の指揮班(観測所と前進觀測掛を含む)を率いて歩兵隊と同じ線まで進出し敵状をつぶさに観察しながら指揮を取ります。従って砲兵は本部要員の方が死傷率が高く、なかでも觀測班員は狙撃されやすい危険なポジションです。  → top

《大隊副官》batalion adyutant, battalion adjutant(砲兵中尉)
大隊本部指揮班長として前進觀測掛との連絡を取り、砲の配置、射撃命令などを伝達して大隊長を補佐します。  → top

《觀測長》chef observist, chief observer(砲兵曹長)
砲兵隊には軍旗がありません。従って歩兵や騎兵のように軍旗曹長がおらず、その代りに觀測掛が置かれています。これは敵前ぎりぎりまで迫って敵の位置や彈着データを測定する「前進觀測」を任務とします。当然に敵から狙い撃ちされやすく、砲兵隊のうちで最も重要かつ危険な部署です。豪胆・沈着・頭脳明晰でなければ勤まりません。  → top

《斥候長》batalion chef skolt, battalion chief scout(砲兵伍長、騎兵學校輕騎兵練習所斥候長教程修了)
大隊行軍路の警戒、前進觀測班の護衛を勤めます。  → top

《信號長》batalion chef signalul, batallion chief signalman(砲兵伍長、工兵學校信號術練習所信號長教程修了)
3箇中隊・段列・聯隊本部との通信線を確保します。  → top

《段列長》batalion kampadey majstr, batallion quarter master(砲兵大尉)
後方支援一切を取り仕切ります。特に砲兵では彈藥の供給が重要課題です。砲兵の携行する彈藥は、砲種により1回の会戦で消費する量が定められており、これを段列・砲車に分けて常に携行します。射撃で彈藥を使うと、射撃終了後に空の彈藥貨車を軍直轄の彈藥大隊の砲兵彈藥縱列に送り、代わりに充實した貨車を受取ります。兵站終點には彈藥の集積處があり、彈藥縱列はそこから彈藥を運んできます。  → top


☆聯隊(2,900名:野砲54門)  → top

【聯隊本部】(48名)

聯隊長(大佐)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
[聯隊長用車輌]
中型乗用車(聯隊長用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(聯隊長用)

<指揮班>(10名)
副官(大尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、従卒(經理部員)
書記(曹長)、喇叭長(伍長)、喇叭手(上等兵)、傳令卒、鼓手、笛手(宗務部員)
[指揮班用車輌]
中型乗用車(副官用)、二輪自働車2(傳令用)、側車付二輪自働車(副官用)、中型自働貨車

<観測班>(16名)
觀測掛兼旗手(少尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
觀測長(曹長)、觀測手(上等兵)、觀測助手4
斥候長(伍長)、斥候手(上等兵)、斥候卒4
[觀測班用車輌]
小型乗用車(觀測掛用)、中型装甲觀測車、輕装甲偵察車、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(觀測掛用)

<信號班>(18名)
信號掛(少尉)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
信號長(軍曹)、暗號手(上等兵)、暗號卒、傳鳩卒
無線伍: 信號手(上等兵)、信號卒4
有線伍: 信號手(上等兵)、信號卒4
[信號班用車輌]
小型乗用車(信號掛用)、信號車、信號器材車、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(信號掛用)

【段列】(122名)
<段列指揮班>(6名) 段列長(少佐)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、従卒(經理部員)
信號手(上等兵)、信號卒
[段列指揮班用車輌]
小型乗用車(段列長用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(段列長用)

<經理班>(16名)
一等主計(經理部員)、傳令卒、馬卒、従卒(經理部員)
二等計手(經理部員)、傳令卒
三等炊事長(經理部員)、炊事手(同)、炊事卒、炊事車馭卒(輜重輸卒)、同助手(輜重輸卒)
三等縫工長(經理部員)、縫工手(同)、靴工手(同)、縫工卒、靴工卒
[經理班用車輌]
小型乗用車(主計用)、二輪自働車2(傳令用)、側車付二輪自働車(主計用)、炊事車、工作車

<兵器班>, ordonance services(32名)
兵器掛(一等兵器技手)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、従卒(經理部員)
上等工長(兵器部員)、鍛工卒、馬卒、從卒(經理部員)
二等鍛工長(兵器部員)、鍛工手(同)
二等火工長(同)、火工手(同)
  鍛工伍: 鍛工手(兵器部員)、鍛工卒4
  機工伍: 機工手(兵器部員)、機工卒4
  鞍工伍: 鞍工手(兵器部員)、鞍工卒4
  火工伍: 火工手(兵器部員)、火工卒4

小型乗用車2(兵器掛・上等工長用)、二輪自働車2(傳令・上等工長付鍛工卒用)、側車付二輪自働車2(兵器掛・上等工長用)、工作車4、回収車4、器材車4

<行李>trayn, train(50名)
行李長(曹長)、傳令卒
小行李長(軍曹)
彈藥車長6(上等兵)、馭者18、彈藥手24
[小行李用車輌]
二輪自働車7(小行李長・彈藥車長用)、側車付二輪自働車(行李長用)、彈藥車6

大行李長(輜重兵伍長)、分隊長輔佐(輜重兵上等兵)、輜重兵上等兵、輜重兵一等卒4、輜重輸卒16
[大行李用車輌]
二輪自働車7(大行李長・同補佐・輜重兵用)、中型自働貨車8

<軍醫班>(12名)
一等軍醫(軍醫部員)、看護卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
二等看護長(軍醫部員)、看護手(同)、磨工手(藥劑部員)、看護卒、擔架卒4
[軍醫班用車輌]
小型乗用車(軍醫用)、二輪自働車2(看護卒用)、側車付二輪自働車(軍醫用)、中型自働貨車(衛生材料用)、擔架車2

<宗務班>(6名)
輔祭長(宗務部員)、傳令卒、馬卒(獸醫部員)、從卒(經理部員)
従者(宗務部員)、聖歌手(同)
[宗務班用車輌]
小型乗用車(輔祭長・従者・聖歌手用)、二輪自働車(傳令用)、側車付二輪自働車(輔祭用)

<配属工兵小隊>
師團工兵大隊より分遣。

【大隊】
第1〜3大隊(2,730名:野砲54門)
第1大隊
第1中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴
第2中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴
第3中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴

第2大隊
第4中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴
第5中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴
第6中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴

第3大隊
第7中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴
第8中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴
第9中隊十榴十榴十榴十榴十榴十榴
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《聯隊長》 regiment chef, regimental commander(砲兵大佐)
3箇砲兵大隊計54門の野砲をもってする大規模な砲撃戦を指揮します。方法は大隊と同じで、ただ規模が大きくなっただけです。集中砲撃によって敵の攻撃を阻止し、或いは我が歩兵隊の突撃を援護します。敵の攻撃前進を阻止するため、軍鼓を打つように砲彈の雨を狭い地点に降らせる打鼓状砲撃は砲兵聯隊の得意技です。また歩兵の突撃に膚接して、その前方に前進移動弾幕を張る大規模な援護射撃を成功させるためには、聯隊が一致協力して周到な準備のもとに一つの精密器械のように動かなければなりません。機械化の進展に従って、歩兵直協を旨とする野砲兵は、その華々しい地位を戰車隊に譲らなければなりませんでしたが、砲兵大部隊の集中使用は、今なお戦線の背骨を支える重要な要素となっています。  → top

《觀測掛》regiment observist, regimental observer(砲兵少尉)
砲兵聯隊には聯隊旗がありません。砲が聯隊旗の代わりとされており、敵に砲を鹵獲されると、軍旗を奪われたのと同様に見なされます。従って砲兵が砲を遺棄する時には、必ず照準器と尾栓部(閉鎖器)を破壊します。歩兵や騎兵で旗手となるべき少尉は、砲兵聯隊では觀測掛将校として活躍します。敵前に迫って部隊の耳目となって働きます。

《觀測長》regiment vic observist, regimental vice observer(砲兵曹長)
歩兵や騎兵では聯隊旗手を護衛する軍旗掛下士の位置に該当します。砲兵では聯隊旗が無いので、觀測下士として働きます。觀測機器の扱いに習熟しており、すばやく精確な觀測能力で、觀測掛将校を補佐します。  → top


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