★★ 砲兵 ★★ artileri, artillery → 部隊一覧
用途によって野戰砲兵・要塞砲兵・攻城砲兵の別があり、砲種によって通常砲兵・重砲兵・高射砲兵の別があります。攻城砲兵は戰時に敵要塞を攻略する際に臨時編成されますが、航空爆撃が發達したので、餘り用いられなくなりました。航空機でも撃破できない構築物には特別に巨大な列車砲や臼砲が臨時編成され攻城に参加します。また沿岸では海軍戰艦の主砲が應援することもあります。
兵力
砲兵旅團司令部16箇(2箇聯隊編成)、要塞司令部7箇、嚮導砲兵隊司令部(8箇大隊編成)1箇
砲兵聯隊56箇、獨立重砲兵大隊6箇、砲兵情報隊8箇、獨立聴音中隊23箇、獨立照明中隊23箇、獨立阻塞氣球中隊13箇
野砲兵: 平時 23,319(内地 17,493 外地 2,913)戰時 32,951
内地師團野砲兵聯隊10箇、外地師團野砲兵聯隊1箇、西比利亜師團東方野砲兵聯隊5箇、砲兵學校嚮導砲兵隊嚮導野砲大隊1箇・新兵器實驗大隊1箇
山砲兵: 平時 6,870(内地 5,739 外地 1,131)戰時 11,592
内地軍山嶽獵兵旅團山砲兵聯隊3箇、外地獨立山砲兵大隊1箇、砲兵學校嚮導砲兵隊嚮導野砲大隊山砲中隊1箇
騎砲兵: 機動軍機動砲兵旅團2箇(騎砲兵聯隊2箇)、砲兵學校嚮導砲兵隊嚮導野砲大隊騎砲兵中隊1箇
野戰重砲兵: 内地軍野戰重砲兵旅團5箇(野戰重砲兵聯隊10箇)、西比利亜派遣軍野戰重砲兵旅團2箇(野戰重砲兵聯隊4箇)、砲兵學校嚮導砲兵隊嚮導野戰重砲兵大隊1箇
野戰高射砲兵: 内地軍野戰高射砲兵旅團5箇(野戰高射砲兵聯隊10箇)、西比利亜派遣軍野戰高射砲兵旅團2箇(野戰高射砲兵聯隊4箇)、砲兵學校嚮導砲兵隊嚮導野戰高射砲大隊1箇、獨立阻塞氣球中隊13箇
要塞砲兵: 内地軍要塞砲兵聯隊3箇、外地重砲大隊4箇、砲兵學校嚮導砲兵隊嚮導要塞砲大隊1箇
海岸砲兵: 内地軍海岸砲兵聯隊4箇、砲兵學校嚮導砲兵隊嚮導海岸砲兵大隊1箇
砲兵情報隊: 内地軍獨立砲兵情報隊5箇,西比利亜派遣軍獨立砲兵情報隊2、砲兵學校嚮導砲兵隊嚮導砲兵情報大隊、獨立照明中隊23箇、獨立聴音中隊23箇、獨立阻塞氣球中隊13箇
山砲 180門 山砲兵聯隊3獨立山砲兵大隊1(聯隊定數54門1箇大隊定數18門)
野砲 648門 野砲兵聯隊12(聯隊定數54門)
野戰重砲 540門 野戰重砲兵聯隊10(聯隊定數54門)
高射砲 1,368門 野戰高射砲兵聯隊12 高射砲兵聯隊13 獨立高射砲兵隊1(聯隊定數54門)
騎砲 108門 騎砲兵聯隊2(聯隊定數54門)
要塞重砲 342門 要塞砲兵聯隊5 重砲兵大隊4(聯隊定數54門大隊定數18門)
海岸重砲 702門 海岸砲兵聯隊13(聯隊定數54門)
□野砲兵 kamp artileri, field artillery
輕量の小口径砲を装備し、高速な機動力を生かして、きめ細かい支援射撃を行います。昔は75mm榴彈砲と彈藥車を馬で曳き、砲手は徒歩で随伴する方式でしたが、今は105mm榴彈砲に威力増強し、自働貨車(トラック)ないし半裝軌車(ハーフトラック)で曳き、砲手は乗車します。
105粍榴彈砲
左より、1頓牽引車、4頓半半装軌自動自働貨車
短い時間、射撃すると、敵の反撃を避けるため、すぐに移動して、新たな陣地で射撃を再開し、これを繰返します。
師團に「野砲兵聯隊」が1箇づつ配属され、105mm榴彈砲(「十榴」と俗称)54門を装備し、師團砲兵と呼ばれます。戰時には後方警備の獨立混成旅團に「獨立野砲大隊」が臨時編成され、舊式装備をあてがわれて、兵站守備にあたります。
105粍榴彈砲の實戰
□山砲兵 mont artileri, mountain artillery
輕量の小口径砲を装備し、これを分解搬送して山地や車輛進入不可能な地域を移動します。山道のあるところは騾馬の背に砲身、砲架、車輪、彈藥などを分散して載せ、險しい場所では砲兵自身が部品を背負って陣地進入します。隠密に移動し、射撃すると、すぐに移動します。視界の悪い山中で、思いもよらない所から砲彈が飛んでくるので敵は損害を受け、混亂します。
山地を管區内に持つ軍に、「獨立山砲兵聯隊」が1箇づつ配属され、75粍榴彈山砲54門を装備しています。外地駐屯軍にも、必要に應じて「獨立山砲大隊」(18門)が配属されます。
昨年の「青氷河山脈」における山嶽戰では、第3師團山砲兵聯隊と山嶽兵旅團山砲兵大隊が活躍し、敵を散々悩ませました。
□野戰重砲兵 kamp pez artileri, field heavy artillery
150mm榴彈砲
18頓牽引車
射程の長い中口径砲を装備し、半裝軌自働車牽引により迅速に機動します。戰線後方からの間接射撃により、大規模な援護射撃を展開します。今次歐州大戰(1914〜18)の塹壕戰では、歩兵の突撃に膚接(すぐ前に砲彈を落とす)して彈幕を張り、歩兵の前進に伴って彈幕も前進させる、という射撃戰法が採用されました。また敵の突撃は、特定地點に大量の砲彈を集中させる打鼓状砲撃により、これを撃退します。昨年の戰争においても、塹壕戰で、それが再現されました。壓倒的な彈幕射撃は、敵の浸透を許しません。このため彈藥の消費が急激に増加し、開戰前に規定されていた1會戰用の携行彈藥量をたった1日で使いきる事態となり補給厰を慌てさせました。
軍直轄として、各軍に「野戰重砲兵旅團(2野戰重砲兵聯隊)」が1箇づつ配属され、150粍榴彈砲108門を装備しています。騎兵師團の砲兵旅團にも1箇聯隊が配属されています。
國によっては、野戰重砲兵聯隊は、榴彈砲と加農砲の混成となっていますが(例:榴彈砲大隊2、加農砲大隊1)、レミニア重砲兵は榴彈砲のみ3大隊の編成です。加農砲は次に述べる野戰高射砲兵が兼ねています。
附属の「砲兵情報隊」(artileri inteligenc serv, artillery intelligence services)(出動時のみ臨時編成)は、精密な間接射撃には缺かせません。砲兵觀測將校が前線に進出して、精密な標定作業を行い、次いで敵状判断と彈着觀測による射撃誘導を行います。氣球・偵察航空機に搭乗する空中觀測もします。また他兵科の主力部隊に聯絡将校が派遣されて、砲兵援護射撃の窓口となります。
「砲兵情報隊」の主力「測地中隊」(termezurad kompani, land survey company)は、砲撃地域を豫め正確に測量して網の目のような座標を設定し、これに基づいて砲兵指揮官が精密射撃命令を下せるように準備します。座標の周知には、地圖と觀測圖表を各砲兵隊に配付する必要があるので、製圖・印刷工房が附属しています。
また射撃命令の傳達は、有線電信(無線は盗聴の危險あるので使われない)により行いますから、「信號中隊」signal kompani, signal company)は、部隊の陣地進入と同時に、司令部から各部隊に至る簡易電話線を敷設します。また戰闘中に断線した電話線路の復舊・補修もします。
實戰射撃中の150粍榴弾砲
□野戰高射砲兵 kamp anti-aer artileri, field anti-aircraft artillery
88粍野戰高射砲(射撃状態、繋駕状態)
命中精度のよい中口径高射砲を装備し、半裝軌自働車牽引により迅速に機動します。空襲に對抗するのはもちろん、敵戰車の撃退にも非常に有効です。遠距離から命中する低伸彈道の徹甲彈は、重戰車といえども一瞬にして鐵の屑箱にしてしまいます。
軍直轄として、各軍に「野戰高射砲兵旅團(2野戰高射砲兵聯隊)」が1箇づつ配属され、88粍野戰高射砲108門を装備しています。野戰重砲兵旅團とペアで運用されます。また騎兵師團の砲兵旅團に1箇聯隊が配属されています。
襲撃し来る戰車を直接照準で撃破する野戰高射砲
野戰高射砲兵の放列
附属の「砲兵情報隊」(出動時のみ臨時編成)は、野戰重砲兵旅團のそれと同じですが、對空用の中央聯動射撃管制器を装備し、敵航空機の接近を警戒する「聴音中隊(喇叭のお化けのような野戰聴音器を装備)」(sonosent kompani, sound locater company)、夜間の敵航空機を探索する「照明中隊(野戰照明器を装備)」(lum kompani, lighting company)を特別に編成しています。特に「照明中隊」は對空のみならず、地上戰線全般の夜間索敵によく使用されます。敵の夜襲を發見した例が多く、おかげで照明兵は晝間は寝ていて、夜起きて働きます。將来は音波や電波による敵探知機が發明されることでしょう。
舊北帝國軍ノルディア軍團の野戰照明器
舊北帝國軍リイ軍團の野戰照明器
□騎砲兵 artileri per cheval, mounted artillery
ナポレオン軍が多用した乗馬砲兵が起源です。野砲兵の砲手が徒歩行軍するのに比べ、騎砲兵の砲手は全員が乗馬して行軍しました、騎兵部隊の援護をするために、迅速な機動力が必要だからです。
レミニア軍では、騎兵師團の直轄野戰砲兵です。援護すべき主力部隊が戰車隊であるため、戰車に野砲を搭載して、迅速に行動します。
150粍自走榴彈砲を装備し、間接射撃の集中で敵歩兵の接近や戰車獵兵(對戰車部隊)の襲撃を防止します。
騎兵師團に「騎砲兵聯隊」(54門)が1箇づつ配属されています。
□要塞砲兵 fortikay artileri, fortress artillery
艦砲なみの大口径重砲を装備し、要塞地帯に進入する敵を制壓します。
軍直轄の各陸地要塞ごとに「要塞砲兵聯隊」が1箇づつ配属され、周囲に睨みを利かせています。要塞は山嶽地帯、地峡部を望む高地、國境要地に設けられ、堅固な永久築城と強力な砲兵で敵の侵攻を妨害します。敵が要塞を無視して迂回すると、要塞内に隠蔽してあった襲撃隊(要塞に臨時配属された歩兵隊・獵兵隊)が背後から出撃して、補給線を切断するなど、執拗な破壊工作を行います。
また要塞砲は戰時には臨時編成の攻城砲兵部隊として野戰軍に配属される事があります。
航空機の發達につれて、要塞も地下化していき、高射砲や對空聯裝重機關銃を装備するなど、爆撃對抗能力を急速に備えつつあります。
□海岸砲兵 marbord artileri, seashore artillery
戰艦の主砲なみの大口径重砲を装備し、海岸の岬や湾口、島嶼に砲臺を築いて、沖合を航行する敵艦船を砲撃、これを撃沈ないし撃退します。
また海岸線に沿って鐵道上を移動できる20cm級の列車砲を配備し、砲臺の射撃死角にある敵を砲撃します。
航空攻撃を撃退するため、對空砲を装備するのは、陸地要塞と同じです。88粍高射砲は、要塞周囲の敵兵驅除のため、野砲の代わりとしても使用します。
海岸要塞は戰艦を數隻あわせた程度の攻撃力があり、聯合共和國のように、南方がすべて海岸で、主要な工業都市が集中している地勢では、敵艦隊の艦砲射撃を阻止し、また陸兵の強行上陸を撃退するのに、威力を發揮します。しかし昨年の戰争のように、陸地國境沿いに敵が侵入して、海岸要塞の背後から襲撃してきた場合は、無力となります。(砲臺は海にしか向いていない)。陸軍經理局は遅まきながら砲臺の全周回(全方位旋回)化を實施すべく、大工事に取りかかっています。
また要塞砲は戰時には臨時編成の攻城砲兵部隊として野戰軍に配属される事があります。
海岸要塞ごとに1箇の「海岸砲兵聯隊」が配属されています。
列車砲の咆哮 機關車は他に退いており、砲車と彈藥車のみで射撃
手前の2人の子供は鼓手
80糎列車砲
□高射砲兵 anti-aer artileri, anti-aircraft artillery
88mm高射砲を装備し、國内の主要な都市・工業施設を航空攻撃から防衛します。
飛行軍の各「防空旅團」に「高射砲兵聯隊」が1箇づつ配属され、88mm高射砲54門、中央射撃統制器、聴音器、照明器を装備して、高空戰略爆撃に備えています。昨年の戰争で、北部G州の首府がミグルシャ空軍の重爆撃飛行船編隊の絨毯爆撃にあい、草も生えない壊滅状態になったことは記憶に新しいところです。これを機に、にわかに高射砲兵の増強が行われました。
また同じくミグルシア空軍の執拗な急降下爆撃・重戰闘機による低空水平爆撃によって北西部H州の首府と造船施設が大きな被害を蒙りました。このような低空襲撃に對抗するため、本年から護郷軍に對空聯裝重機關銃の訓練が開始されました。 → top
□砲兵情報勤務 inform serv por artileri, artillery intelligence services
軍司令部に直隷し、野戰に於いては軍砲兵司令官の耳目として戰區全般に亘る砲兵の大規模運用に必要な射撃統制情報を収集・交付する特殊勤務です。戰線後背部に亘る大規模な砲兵通信網を設定・運用し、更に敵軍の電氣信號を傍受して動向を探る「信號」、彈道に影響する風向風力・氣温湿度・氣壓など必要な氣象情報を測定する「氣象」(meteor, meteorological)、照準を迅速に調整するために戰場を精密に測量して座標點を設定する「測地」(termezurad, landsurvey)、敵砲兵の位置を暴露放列の場合は砲火砲煙(地上標定)により、隠蔽放列の場合は砲音(音源標定)により確定する「標定」(plotad, plotting)、飛行機や氣球に搭乗して測地・彈着觀測・敵目標發見・寫眞撮影を行ったり、要すれば斥候を派遣したり、他兵科の部隊に出張して直協の窓口となる「聯絡」(kunlig, liason)の各専門があり、日頃から各隊は砲兵學校に要員を派遣して技術の練磨を怠りません。
《砲兵の特徴》
砲兵は重い砲・彈藥・砲車・器材を扱う為、頑丈で大柄な體格の者を蘇揃えています。同じような體格の者は工兵にも居ますが、砲兵は常に發射音の中で號令を掛けるので聲が砲聲に負けない様に甲高く、しかも難聴氣味であるので、すぐに砲兵と分かります。彈道計算を素早く行わなければならない為、幹部や觀測兵は高い計數能力を持っています。
同じ砲兵の中でも野砲兵、山砲兵、騎砲兵、野戰重砲兵、野戰高射砲兵は野戰で華々しく活躍する機會に恵まれ人氣が高い兵種ですが、後方に控置される地味な要塞砲兵、海岸砲兵、高射砲兵は餘り人氣がありません。