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聯合共和國の教育制度を解説します。

  →學校系統圖
庶民の教育
  →小學校尋常科
  →小學校高等科
  →小學校業餘高等科
  →實業補習學校
  →實業學校
  →師範學校
  →高等師範學校
  →高等實業學校・専門學校
  →官吏講習所
  →官廳雇員練習所
支配階級の教育
  →私教育
  →準備學校
  →高等學校
  →女子寄宿學校
中間階級の教育
  →中學校
  →高等女學校
  →實科學校
大學: 象牙の塔
  →大學

★★庶民の教育★★


○小學校 lerney element, elemantary school

近代的軍隊を持つ國では、國民が讀み書き算盤を上手に出来ないと、たいへん困ります。字が讀めないと、兵卒は典範令(繰典や教範などのマニュアル)を讀んで正しい行動が出来ません。字を書けないと中隊事務室で書類を作る下士になれません。算盤が出来ないと中隊豫算を預かる給養掛曹長になれません。掛算や割算が早く正確に出来ないと、砲兵になれません。彈道計算や測地をしないといけないからです。
そこで國は、無料の學校を設けて、子供を教育します。どんな邊境の村に行っても必ず立派な校舎の小學校があります。教員は師範學校の教養ある卒業生で、村の名士です。全國に1,550校、この他に外地邦人小學校が37校あります。

 尋常科 kurs ordinar, oedinary course
(5年制、6〜10歳、男女共學、無料・教科書貸與)
子供が學齢(6歳)になると、役場から通知が来て、最寄りの小學校に入ります。初等教育を受けるのは全國民の義務です。授業料も教科書も無料です。昔の寺子屋のように師匠に謝金を拂わなくてよいので助かります。それでも家の手傳で働かなくては食べられない子供は、小學校にたまにしか行きません。


科目:
國語(綴り方、讀み方)、算數(足算、引算、掛算、割算、度量衡、圖畫)、地歴(地理、歴史)、修身(作法、衛生、違警例、唱歌、軆操)
「圖畫」は、美術ではなく、簡單な寫生と製圖を教えます。斥候が敵情を簡單に圖に書いて報告する必要があるので、設けられました。圓や楕圓、三角、正方形・長方形・並行四邊形など圖形の名前も覚えます。「違警例」は、お巡りさんに見つかると罰金になるような事例を、法律の初歩として教えます。立小便してはいけないとか、勝手に人の庭に入ってはいけない、などです。「軆繰」は、隊列の作り方、行進の仕方、驅歩、競走、徒手體操など、兵隊になってから役立つ事を教えます。
外國には6年制や9年制の義務教育を施しているところもありますが、聯合共和國の財政は豊かではないので、無料は小學校尋常科5年が限度です。

 高等科 kurs progres, progressive course
(2年制、11〜12歳、男女別學、有料・教科書貸與)
たいていの親は、もっと勉強させるために、有料の小學校高等科(2年制)に子供を通わせます。月謝も高くはないのですが、尋常科を出てすぐに働きに出なければ食べられない子は、高等科には進みません。
そこでは、古典語・外國語、代數・幾何、物理・化學、法律・社會機構の初歩を教えます。
兵隊になって、この高等科を修了していない者は學力不足という理由で下士に推薦されませんので、高等科が事實上の義務教育になっています。

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 業餘高等科 kurs ekster task, off time course
(業餘・男子4年制・女子2年制、11歳以上、有料・教科書貸與)
尋常科卒業のみで働きに出た子が、夜間や農閑期にかよいます。
この補習科を修了すると、高等科卒業と同じであると認められます。兵隊になっても下士になれます。それで、特に男の子は一所懸命に勉強します。
高等科の簡略版と、農林水産・商工に必要な基礎知識を勉強します。女子は家政(家計簿、手紙文、衛生など)と技藝(裁縫、料理、装飾、音樂など)を勉強します。雇い主が學費も教科書代も負擔するやうに法律で決ってゐます。授業は單位制なので、みんな長い間かかって少しづつ科目を修了していきます。そのため生徒の年齢も、まちまちです。全國を巡業する子役俳優や少年曲藝師は、行く先々の小學校少しづゝ單位をとっていきます。
雇主がまっとうな職でない場合は業餘高等科に行かせてもらえない子がいます。從って、其の為ごく少數ですが、字の讀めない兵隊がゐたりします。


○ 實業補習學校、業餘講習會 lerney metilernant ekster task, supplemental apprentice school
(全日或いは業餘・2年制以上、11歳以上、有料)
手工業・商業の徒弟年季奉公で親方や店主から職業知識を傳授してもらう制度が18世紀末には徐々に崩壊し、單に便利な低賃金年少勞働者として奉公人を使い捨てにする風潮が蔓延ってきて、應用計算ができず帳簿のつけられない名ばかりの職人・手代が増えたため、内務省は職人組合・商人組合に専門知識の業餘講習會を設ける義務を負わせ、これを修了しないと徒弟・丁稚から職人・手代に昇任できないようにしました。
これを受けて全國津々浦々に業餘講習會が開かれ、商業補習學校や工業補習學校、工手學校、徒弟學校など、様々な名稱で呼ばれて規模も大小異なる徒弟教育制度が確立しました。奉公人の保護者がかって親方や店主に支拂っていた教育費の半分は授業料として實業補習學校に納めることになりました。残る半分は實地教育費として依然、親方・店主に支拂われてゐます。年季奉公人は昼間は工房や店頭で腕を磨き、夕方の1時間を講習に通い教養を深めるのです。 大會社や大工場では、敷地内に堂々たる校舎を建て、自社の少年勞働者(雜夫、給仕、女工など)を教育します。その會社の仕事に必要な知識に重點が置かれます。
どちらも修了後は小學校業餘高等科卒業資格が與へられます。
陸軍の從軍司祭が鼓手・聖歌手を對象に開く補習塾、子供病院や孤兒院、少年監獄などは、やはり實業補習學校を兼ねています。
少し重複しますが、以下に商業補習教育の實際を紹介します。

商業徒弟教育: 業餘商業講習會

商店主は職人で云う親方に相當しており、番頭・手代は職人、丁稚小僧は徒弟にあたります。
丁稚奉公は住込で、衣食住の費用(かかり)は商店主が持ち、店の繁盛振りや丁稚本人の働き、年季の長短に應じて毎週小遣が出ます。
丁稚の保護者が商店主になにがしかの教育費を払うと、商人に必要な簿記や書翰正書法などを教えてくれます。けれど商業が發達するにつれて、新らしく開店した商人の中には商業専門知識を身に着けていない無教養の人が多く混じってきて、そのような商店の奉公人は長時間の勞働と劣悪な生活環境のもとで奴隷の如く酷使されるだけで、必要な商人教育を受ける機会に恵まれなくなりました。今世紀初頭に内務省商工局が行った調査によれば單獨で簿記をつけ決算手續を行える手代は1割のみで、まったく記帳經驗を持たない者が1割5分もありました。あとの者は部分的に補助簿や仕譯帳に記入する經驗しかなく、丁稚・手代の区別なく、必要な商業教育を受けているとは云えない状態でした。これに比べ傳統ある古い大店や、また新参店でも商業の専門知識を備えた教養ある商店主の經營になる場合は、丁稚を十分に教育し、年季の明けた手代は單獨で商店經營が可能な能力を持っていることが確かめられました。しかし丁稚を教育しない新参商店が多くなるにつれ、実力と教養のない名前だけの丁稚・手代が増えてきて、使い捨て同然に酷使されるよう状態が目立ってきたので、この商業教育の荒癈ぶりを憂えた内務省は、丁稚の教育を義務化する制度の創設に着手し、1910年には、それまで任意通學であった商人組合立の業餘商業講習會に補助金を投じ、この講習の全課程を修了しないと丁稚は手代を名乗れなくしてしまいました。このため丁稚の保護者が今まで商店主に払っていた丁稚の教育費の半分は講習會授業料に充てることになりました。
いっぽう全日制の實業學校である商業學校の生徒は、大方が大會社の雇員の子弟で、卒業後は親と同じ會社や役所に勤めることが多く、獨立商人養成の業餘商業講習會とは性質が違います。しかし卒業生は業餘商業講習會課程を修了したとみなされる特典があるので、獨立商店に就職した商業學校卒業生は生え抜きの丁稚上がりの手代と肩を並べることができます。
これは商業學校の更に上位にある高等商業學校の卒業生にも適用されます。
學校の運營は縣知事の監督のもと市町(町のない郡では村聯合組合立)の商人組合が理事と補助金を出します。
科目は講習會のある地方の産業構造に拠って細部が異っていますが、基本は次のとおりです。

1 商業の初歩(基本的な商業知識と國語能力)
商取引(商品知識・仕入・發注・檢収・倉庫・事故・支拂・販賣・顧客)
通信・輸送(郵便・驛逓・鐵道・商船・航空)
金融(手形、銀行)、保險
契約、商法大意(示談・訴訟)、雇用
廣告宣傳・陳列
2 社会常識
國制の歴史と大意(國家制度・行政制度・司法制度・軍事制度・自治制度)
3 算術
初級: 四則演算、内國度量衡
中級: 應用計算、價格計算、貿易度量衡、外國貨幣、交通計算、比例計算
上級: 百分率、割引計算、期限計算、價格決定大意、當座勘定計算、有価證券計算、外國為替計算、價格決定應用
4 簿記
單式簿記、複式簿記(大意、運用、勘定科目、決算)、税法大意(納税申告・犯則・貿易犯則)
5 地理
地方經濟地理(人口・産物・産業)、交通(交通路・交通繁華地)、殖民地概況、交易國概況
6 國語
商用會話(敬語法、商談)、正書法、商用文(見積書・請求書・領収書・送状・賠償請求書・為替・小切手・營業廣告文・回状など)、習字、装飾文字、速記、印字
7 外國語
商業會話、商用文(讀解、書翰文、電報文、法令)

標準的な修學期間は年間週6時間40週です。1日1時間(日曜祝日を除く)で、全課程を修了するのに標準3年間、最短で1年間かかります。1科目を連續集中授業し、それが終わると次の科目に移ると云う具合で講習が進みます。科目終了時に試驗(實技・筆記とも)があり、合格點を取らないと再試驗を受けなければなりません。それでも合格點がとれないと留年して、翌年再び落第科目の授業を受けなければなりません。
早朝・夜間に教室を開くことになっていますが、朝は開店準備で忙しいので、たいてい夜間になってしまいます。
校舎は最寄の小學校を借ります。先生も専任者は僅かで、たいてい本職のある人が講師となって教えます。
本格的な丁稚奉公に身を投ずる者は勤めの傍らこの業餘商業學校に通って手代になる資格をとります。丁稚の年季奉公に就くには推薦者と保證人が必要で、誰でもなれるというものではありません。たいていは商人や番頭の子弟が修業のため奉公します。丁稚を3年間以上務めた者が、業餘商業講習會課程修了證明を得ると、手代を名乗ることができます。手代になると自由に店を移ることができます。
これとは別にタイピストや給仕といった技能職に就く者があります。推薦者や保證人がおらず、丁稚となる資格のない者は、高等小學校にある業餘補習科の商業課程にかよってタイプ・速記・計算など技術をひとつづつ習得していき、下働きや倉庫係からタイピストになり、それから速記者を兼ねた秘書、出納係など、特技に應じた職種に就きます。


○ 實業學校 lerney praktik, vocational school
(6年制、11〜16歳、有料)
裕福な家の男の子は、小學校尋常科を卒業すると、實業學校に進學します。
縣州は、地域の産業に合った中等職業學校を市郡に開設しています。農林、水産、工業、商業、礦山などの科があります。女子部には商業、家政、裁縫、看護、保育などの科があります。大都會では特色のある私立の實業學校もあり、多様な職業教育を選べます。
卒業生は、家業を繼ぎます。中小農場主、中小商店主、中小工場主などは、實業學校出身です。會社や役所に勤めると、雇員(下士相當)の書記補、工手から始めて、判任官(尉官相當)の書記、技手まで昇進します。陸軍では1年志願兵となる資格がありますが、然しわざわざ高額の費用を自辨して志願する家は餘りありません。
もっと勉強したい子は、檢定試驗を受けて、高等實業學校や専門學校に入り、技師や會計士といった専門職業につきます。  → top
★ 以上が、普通の子供が通う學校です。
聯合共和國は、古い體質の階級社會です。教育制度も階級構成に沿った複線型です。高等教育は、より少數の、より裕福な階級のために設けられている別世界です。
100人の子供がいれば、小學校高等科卒業は65人、業餘高等科が26人、實業學校は7人で、残った2人が大學や高等實業學校、高等専門學校に進學します。
人口の98%が庶民階級で、2%が支配階級です。
大英帝國や大日本帝國に比べても遜色の無い階級社會です。また女子教育の水準も仏蘭西共和國に比べて餘り相違がありません。
1930年の水準で見れば、教育制度は整備されていると云えましょう。すくなくとも近代兵器を驅使する兵隊の素養としては、必要最低限を満たしてゐます。

★ 然し庶民階級に全く高等教育への道が閉ざされてゐるのではありません。どうしても高等教育を受けたい子は、以下の脇道を辿ります。  → top



○ 師範學校 lerney normal, normal school

(6年制、男女別學、13〜18歳、全寮制、給費)
小學校の教員を養成する公立學校。各縣に1校あります(男子部と女子部に分かれ、人口の多い縣は女子部の代わりに「女子師範學校」を置く)。生徒全員が給費生です。寮の生活費から學費、制服、文具まで全部、國が出してくれ、小遣まで呉れます。
さらに全員が一年志願兵として陸軍に入隊し、少尉補になれます。自瓣費用は學校が拂ってくれます。(大日本帝國は、師範學校卒業生は、短期現役兵として約半年のみ入隊する。一般の徴兵とは部屋も訓練も別扱で優遇された。)
小學校高等科卒業生で成績の良い子は、この師範學校に推薦され、入學試驗に合格すれば生徒になれます。
卒業すると、小學校の訓導(先生)になります。
さて、この師範學校には「附属給費小學校」があって、抽選あるいは推薦で随時、庶民の子供を入學させ、師範生徒の教育實習や實驗授業に使います。一切無料で、逆に手當をくれます。その中で高等科を修了した成績の良い子は、希望すれば師範生徒になれます。小學校尋常科卒業のみで、お金が無くて高等科に進學できない子は、この附属小學校高等科に編入して師範學校に進む道があります。 → top


○ 高等師範學校 kolegio normal, normal college

(2年制、男女別學、19〜20歳、全寮制、給費)
師範學校の教員を養成する公立學校。(女子は「女子高等師範學校」がある。)
師範學校卒業生で成績の良い者が入學試驗に合格すると、生徒になれます。小學校訓導も受驗できます。
「文科」、「理科」に分かれ、それぞれ細かく専攻課程に區分されています。物理の先生になるには、「理科博物部物理課程」を選ばなければなりません。書道の先生は、「文科技藝部正書法課程」です。卒業生は「特別優等試驗」に合格すると「得業士」(abiturient)となり、いつでも「大學」に正科生として進學できる資格を得ます。高等師範の卒業生は卒業後、一定期間、御禮奉公として師範學校の助手を勤めなければなりませんが、「得業士」になれば、その義務を免除されます。何回、試驗を受けても合格しない人もいれば、一度で「得業士」になる人もいます。さて實際に大學に入るには、自前で學費を工面するか、あるいは奨學生試驗に合格して奨學金を得ます。「得業士」資格を持ちながら、貧乏なのでコツコツ働いてお金を貯めてやっとこ30歳を過ぎて大學に入學する「苦學生」もいます。
陸海軍には、このような學生に學費と生活費を支給して、學位を取得させる「依託學生」制度があります。そのかわりに大學卒業後は、最低3年間は現役軍人として入隊しなければなりません。大學に限らず、高等實業學校・専門學校にも同様な「依託生徒」制度があり、庶民出身の若者が勉學する手助けをしています。陸軍では軍醫・藥劑官・主計・獸醫・兵器部将校・法務官などがあり、海軍では軍醫・藥劑士・主計・秘書・造船技士・造兵技士・造機技士・法務官などがあります。たいていの委託學生は義務服役期間が終われば、さっさと除隊して民間に就職してしまいます。

これとは別に師範學校卒業生以外を受入れる「専修科」があり、一つの科目だけを選んで勉強することができます。試驗に合格すると、「科目得業證書」と共に「科目教授資格」が與えられ、その科目に限って中等教育機關(實業學校・中學校・高等女學校)で教えることができます。レパートリーを廣げるために、一人で幾つも科目を取得する人がいます。何年もかかりますが。
高等實業學校・専門學校・高等學校・大學の卒業生や除隊した軍人が受講します。
砲兵・工兵將校は數學の先生になる人が多く、下士は軆繰の先生に向いているようです。歩兵・騎兵將校は、生徒監・寄宿舎の舎監になるのが普通です。
(高等實業學校・専門學校・女子寄宿學校・高等學校・大學の教員は、高等教育機關なので、高等師範學校専修科で資格を取る必要はありません。通常、學士號が教授資格として要求されますが、特別の技能を必要とする學校では、高等小學校卒業のみの教授も實在します。)

全國に男子3校(内地1、外地に2)、女子3校(内地1、外地2)あり、それぞれに教育實習を行う師範學校、小學校が1校づつ附属しています。  → top


○ 高等實業學校、専門學校 kolegio praktik; kolegio profesion, industrial college, professional college

(3年制、男女別學と共學の両方あり、17〜19歳、有料・實習は實費徴収)
實業學校卒業生は、檢定試驗を受けて、高等實業學校ないし専門學校に入學できます。
産業の發展に伴って、技術者や専門職が大量に必要となってきたので、多種多様な學校が創設されました。
また小學校のみの卒業者でも、特別な技藝を要する分野で、實技檢定試驗に合格すれば入學できる専門學校もあります。(藝術、體操、料理など)
これらの學校は中學校卒業者の進學先ですが、一般に優秀者を廣く募集しており、實業學校卒業でも學資に餘裕があったり、奨學金を受けた優秀者が集まります。なかには附属實業學校(11〜15歳)と豫科(16歳)を設け、生徒を確保する私立校もあります。
各縣に産業構造に合わせた國公立の高等實業學校があり、一番多いのが「高等農林學校」です。都市部には「高等工業學校」「高等商業學校」「醫學専門學校」「藥劑専門學校」「歯科醫學専門學校」が多く、「水産學校」「高等礦山學校」「高等工藝學校」「高等造船學校」なども複數あります。交通分野では「高等商船學校」「高等航空學校」「高等鐵道學校」があります。特殊なところでは「高等古文書學校」があります。
デムブラゼイ理科専門學校 高等實業學校とは違い、専門學校は、實業以外の分野をカバーします。 私立には多くの獨創的な學校があります。
最も有名なのは夜間制の「デムブラゼイ理科専門學校 dembrazey lerney de fizik k kemi, Dembrazey school of physics & chemistry」です。著名な發明家や技師を輩出し、充實した附属工場と無數の特許を持っています。基礎學力涵養のため厳しい進級試驗制度があり、普通は2〜3度落第しなければ卒業できません。そのかわり卒業生は優秀な學力を持つと世間に認められ尊敬されています。就職も贅澤さえ言わなければ引く手あまたです。働いて學費を貯め、入學する人が多く、學生は年齢がまちまちです。入學は無試驗なので簡單です。除隊軍人も大勢が入學します。(寫眞: デムブラゼイ理科専門學校の校舎)
「ラデオン高等衛生學校」「ファウスト醫學専門學校」は夜間制の醫師養成期間として獨特な存在です。軍醫の供給源として有名です。
公立の「外國語學校」「繪畫専門學校」「音樂學校」の他は殆んど私立で、首都の「K専門學校」などは、需要が急増したサラリーマン候補生の大量生産機關として繁盛しており、全國から雑多な生徒が集まります。この學校は中途退學しないと成功者にはならない、という變なジンクスがあります。
「ハイネルスキー法律學校」は、事務瓣護士や代書屋、警察幹部、裁判所書記を生産します。藝術分野には「映畫専門學校」「演劇學校」「舞踏學校」「軆繰學校」「高等料理専門學校」があります。
これらの學校卒業生は専門職として待遇され、さらに研究科に残って1年餘分に勉強して「得業論文」審査ないし「得業試驗」に合格すると、「得業士」(abiturient)の資格を持ちます。大抵は無理に頭脳を振り絞って勉強し、「得業士」資格を取得します。村や街に醫院を開いている全科醫(なんでも診てくれるお醫者さん)は、醫學専門學校を卒業した「醫學得業士」(abiturient de medecin)です。藥局の主人は、藥學専門學校を卒業した「藥學得業士」(abiturient de farmaci)です。御屋敷に住込んでいる家庭教師は、女子専門學校を卒業した「文藝得業士」(abiturient de literatur)です。地主の旦那は高等農林學校農科を卒業した「農學得業士」(abiturient de agronomi)です。ホテルの料理長は「料理得業士」(abiturient de kuir)です。小學校尋常科を卒業してすぐに料理見習の修業に入り、腕の良い職人になりましたが、料理長になるためには「高等料理専門學校」に實技檢定試驗と料理人組合の推薦を受けて入學しなければなりません。そこでは料理を習うのではなく、料理長として必要な教養を身につける勉強をします。レシピを讀み書き編集するための外國語・古典語、榮養學、衛生學、法律、禮儀作法、料理の歴史などです。

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○ 官吏講習所 kursey por regn oficistoy, school for governmental official
(1年制以上、男子、全寮制、給費)
官廳で必要な専門職の養成をする機關で、高等實業學校・専門學校が無い分野をカバーします。
實業學校卒業と同程度の採用試驗に合格すれば入所でき、月給をもらいながら勉強します。修了後は、すくなくとも3年間は指定された職に就かなければなりません。

内務省(ministrey de enland, ministry of home)では
逓信局(buro de komunikad, communications bureau)「逓信官吏練習所」(kursey por oficist komunikada, postal services school、逓信技手・逓信書記の養成
農務局(buro de agrokultur, agricultural bureau)「水産講習所」(kursey de fishad, fishery school)水産技手の養成
陸軍(arme, army)では「陸軍士官學校」(兵科将校の養成)
海軍(mararme, navy)では「海軍兵學校」(兵科将校の養成)、「技手養成所」(edukadey por subinghenier, subengineers school、工廠技手の養成)があります。   → top


○ 官廳の練習所 instruey por dungitoy, public servants school
(1年制以上、男子、全寮制、給費)
官廳で必要な雇員の養成をする機關です。
小學校高等科卒業と同程度の採用試驗に合格すれば入所でき、月給をもらいながら勉強します。修了後は、すくなくとも3年間は指定された職に就かなければなりません。

内務省では
警視廳(polic department de chefurb, metropolitan police)「警察練習所」(instruey de polic, police school)「消防練習所」(instruey de fajrestingad, fire services school)、縣警察部(polic department de guberbi, prefectural police dpartment)「警察練習所」(巡査、消防夫の養成)
司法省(ministrey de justic, ministry of justice)では「刑吏講習所」(instruey por ekzekutistoy, executioners school、刑吏助手の養成)
陸軍では檢閲總監部「嚮導團」(korp gvid, guide corps、歩兵伍長の養成)、「獸醫學校工長候補生隊」(lerney veterinar:kompani de maystr aspirantoy, veterinary school:NCO candidates company、蹄鐵工長の養成)、「兵器學校工長候補生隊」(lerney ordnanc: kompani de maystr aspirantoy, ordnance school:NCO candidates company、銃工長、鍛工長、火工長、鞍工長、木工長、電工長、機工長の養成)があります。  → top



★★支配階級の教育★★


○ 私教育 eduk enheym, home education
領主(貴族、准貴族、土豪)、地主など上流の子弟は、住込の家庭教師が讀み書き算數を教えます。昔から今まで、この傳統は變りません。小學校制度ができる前から、そうしてきましたから此れからも變りません。
家庭教師には、女子専門學校を卒業した得業士の若い女性や、大學士の青年が雇われます。 家族の客人としての待遇を受け、個室をもらい、食事も一緒にします。有力者の家庭に入ると、よりよい就職口を世話してもらえます。讀み書き算盤の他に禮儀作法、武術、社交界では缺かせない舞踏・會話術・外國語などが教えられますが、その際には専門の師範を別に雇います。
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○ 準備學校 lerney prepar, preparatory school
大農場主、高級商人、資産家と云った富裕中流の家庭は古めかしい私教育ではなく、月謝を拂って私塾に子供を通わせます。校庭のある大きなものから、個人の屋敷を改造した小さなところまで、いろいろあります。大小は中身に關係しません。大抵は全寮制です。遠隔地に實家がある子供や、親が海外で仕事をしている家の子供を預かって教育する為です。
最近この種の私立學校が増えており、昔ながらの中流階級に新しく組込まれてきた成金長者や高級官僚・高級軍人・高級サラリーマン(いづれも庶民出身)の子弟を紳士に教育する學校として人氣があります。
昔は私服でしたが、最近は制服を定める校が多くなり、それぞれ特徴のあるスタイルや色を競っています。  → top


午睡の時間


○ 高等學校 lerney'alt, college
(10年制、9〜18歳、全寮制・有料)
家庭教師や準備學校の教育が終わると此處に入るのが普通のコースです。とりわけ「學院」(lice)と名のつくのは、大領主が臣下のために設けた由緒ある校で、入學の時には家柄で生徒を選抜します。其の為に學院の生徒は全て領主、地主の子弟です。學院には奇妙な農本主義を保って居り、食料は自給自足が原則です。自前の農場を持っており生徒は農作業をします。農は國の根本なりの思想を子供の時から體得させる為です。餘剩の作物は市場で賣ります。更に王族がむかし勅許を以って設立した校は、「勅許學校」と呼ばれ、特別の縁故と資格(ずいぶん奇妙な資格を要求される事もある)がないと入れません。
有名な勅許學校のひとつに、「レミニア大公爵武術學校」というのがあって、支配階級の子弟で軍人志望者を入學させます。卒業生は全員が陸軍士官學校に入ります。相當の資産がないと、學費を拂えません。
貧乏な軍人の子弟で父親と同じ道を進みたいという子は、給費制(全額無料で、給料をくれる)の「陸軍幼年學校」に入ります。ここの卒業生も全員が士官學校に進みます。現役を退いた將校の子弟は、父親の戰死・病死・負傷癈疾・軍の都合に依る豫備役編入の順で、優先して入學できます。
そこで將校には、貴族・士族系の大公武術學校と、庶民系の幼年學校の二大學閥ができ、最近の陸軍人事の問題點となっています。
高等學校は、學力の高い生徒を優先して選抜します。出来の悪い生徒の受皿になっている私立校もあります。
私教育(家庭教師)や準備學校で、讀み書き算盤の初歩を習得しているのが前提ですが、高等學校に入學すれば新入生には準備級(9から11歳)で初歩から再び丁寧に教えます。この間に勉強の出来る子は息抜きをしたり、出来ない子は教師に尻を叩かれながら朝から晩まで泣く泣く勉強したりします。
初級(12・13歳)、中級(14・15歳)、上級(16・17歳)、研究科(18歳)と進級していき、卒業すると大學に入ります。大學は文科大學、理科大學、法科大學、醫科大學、農科大學、工科大學などの分科大學(fakultat, faculty)に分かれており、そのいづれかに選科生として籍を置きます。好きな科目を自由に選んで、コースごとに設定してある所定の單位を満たせば、「得業士」になれます。ここでは専門家になるのが目的ではなく、上流階級子弟が生涯の友人を得る場として利用されます。倶樂部が盛んで、學生組合も獨特の傳統と選良意識で若者を惹きつけます。
本當に勉強が好きな子は大學本科に進みます。選科と違い、講座の一員となって、教授・助教授・講師・私講師・助手・副手の序列の最後尾につき、長い勉學と修行の生活に入ります。
服装は私服が原則ですが、準備級・初級の生徒には制服を定める校が多く、全員が獨得の式服を持っているところもあります。一見してどこの生徒と判るスタイルと色彩を採用しています。

高等學校(各地方に1校)
勅許學院: 貴族學院、ratonia大公爵學院、watson大公爵學院、arkichenmont大公爵學院、watson大公爵學院、silveria大公爵學院、landendorf大公爵學院、獅子王學院、saphia侯爵學院、arghent騎士團學院、galpal馬術學校、lee騎士團學院、milregadaymilrizey騎士團學院、rizonesia學院、blankia學院、東方帝國貴族學院、nigria學院

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體操の時間
   


○女子寄宿學校 lerney vir'intern, girls' boarding school
(7〜8年制、女子、9〜18歳、全寮制・有料) 私塾で、淑女教育をします。大きな屋敷が學校兼寄宿舎になっています。優良な教授陣を揃えて、上流階級に人氣があります。内容程度は、高等學校と變りません。
服装は互いに華美を競う事の無いように、どの校も式服をを定めています。
卒業後は、家庭に入るのが普通です。稀に大學に進む例もあります。

女子寄宿學校: 貴族女學院、メトロ女學院、tierreich女子學院、ザフィア女學院、silveria女子學院、florienberg女學院、虹園女學院、norda女子學院、milregadaymilrizey女子學院     → top



★★中間階級の教育★★


○ 中學校 lerney mez, highschool
(8年制、男子、9〜16歳、通學・寄宿併用・有料) とても學費の高い高等學校には通うだけの資産はないが、良い職に就くためには高等教育を受けておかねばならない、という下層中流の子弟が入ります。卒業生は高等實業・専門學校の入學資格が得られます。縣州に公立校が1校あり他に私立校もあります。入學試驗は、最近、中間階級が増えてきたので、だんだん競争が激しくなってきました。落ちこぼれた子供を引受けるために、表向きは實業學校で、内容は中學校と變らない教育をする私立校もあります。
生徒は通學が原則ですが、寄宿舎もあります。
服装は自由で、制帽が定めてあるだけという校が大半です。
卒業生は、高等實業學校・専門學校に進み、技手や開業醫、會計士などの専門職に就きます。大抵は研究科に残って得業士資格を取ります。有能な生徒は格安の給料で(無給のこともある)研究嘱託や助手をします。殊に醫學生は附属醫院の住込醫師として働き經驗を積みます。

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料理實習 ○ 高等女學校 virlerney alt, girls' highschool
(8年制、女子、9から16歳、通學制寄宿制併用・有料)
女子の行く中學校です。
教養科目の他に家政、社交などの科目があり、将来の良妻賢母に必要な教育を施します。卒業生はすぐにお嫁に行きます。既に在校中に婚約が決ってゐる事も珍しくありません。
高等實業學校・専門學校に進む子も大勢います。(高等實業・専門學校では、特に「音樂學校」や「高等舞踏學校」は人氣ですが、「女子専門學校」がなんといっても一番です。公立、私立とりまぜて、いづれも傳統ある校風で、文科・理科を問わず幅廣く専門職業界を擔う人材を輩出しています。)  → top

 


〇實科學校 lerney real, practical school
(6年制、男女別學、11から16歳、通學性寄宿制併用・有料)
實業學校と同じ程度の中等學校ですが、教育内容は實業ではなく高等實業學校・専門學校に進學する為の教養科目になってゐます。私立専門學校の附属校として設けられてゐる場合が殆どです。他は神學豫備校によって占められてゐます。若年時から特殊な技能を習得させる為の獨特な科目編成となってゐます。中學校より程度の高い學校もあります。

陸軍士官豫備校: reminia大公爵武術學校  レミニア大公爵が設ける勅許校。生徒は全員が貴族地主の子弟で卒業後は陸軍士官學校に進む。
體操選手養成校: 體操専門學校附属實科學校

商業通譯養成校: cosmopolitan學園實科部、國際専門學校附属實科學校
舞踏手養成校: maribron舞踏學校附属實科學校
子役養成校: metro映畫専門學校・實科學校
航空機操縦手養成校: le blanc航空専門學校附属實科學校
文科豫備校: heinekski法律専門學校附属實科學校、K専門學校附属實科學校
理科豫備校: dembrazey理科専門學校附属實科學校
醫科豫備校: fawst夜間醫學専門學校附属夜間實科學校、radeon夜間醫學専門學校附属實科學校
神學科豫備校: 聖remi實科學校(南部reminia)、聖十字架實科學校(南部ostarich)、聖georg實科學校(南部welz)、緑影實科學校(深南部steinoven)、rink實科學校 (深南部godwind)、leo實科學校(深南部koenigsgaeden)、虹園實科學校(東部ghardenchielarka)、聖三角實科學校(西部norda)、聖杖實科學校(西部baton geenne)、聖脚留實科學校(西部hawk)、聖鐡錘實科學校(北部orinia)、聖磔實科學校(北部punakodo)、聖逆實科學校(北部arbarblanko)   → top


★★大學: 象牙の塔★★


○大學 universitat, university
(修業年限無し、年齢制限無し、男女共學、通學制・有料)
もともと學生組合と教授組合が聯合して組織したのが、大學です。
聴講は、學生組合員でないと出来ません。年齢制限無しと云っても、いちおう高等學校卒業生(ないし高等實業學校・専門學校・高等師範學校得業士)でないと學生組合は受入れませんので、事實上、大學生は18歳以上です。
講義や實習は、教授(profesor, professor)、助教授(profesor vic, associate professor)、講師(lektor, lecturer)、私講師(lektor privat, private lecturer)が講堂や實驗室でやりますが、1回ごとに必ず聴講料を徴収されます。入口に盆やコップを持った副手が待ちかまえていて、銀貨1枚が相場です。これが講師の収入になります。一連の講義を聞き終わると、學期末の試驗を受け、及第すれば、その科目の單位が貰えます。(實習を伴う場合は實技試驗)
どれをとっても自由ですが、内務省學務局の定めたコース別の必修科目表があって、取得單位がそれを満たしていれば、「學位」を貰えます。選科生は、一番やさしいコースで、「得業士」となります。しかし専門職で食べていこうとすると、さらに本科生となって勉強する必要があります。例えば、「醫師」となるには、まづ醫科大學に開設されている各講座の正科生となる必要があります。解剖學、病理學、生理學、その他基礎醫學、臨床醫學各論は選科生でも出席できますが、内務省學務局指定の解剖實習、臨床實習など特殊な必修科目は正科生でないと参加許可がでません。したがって大學で「醫學得業士」となるには、正科生として講座(katedr, professorship)に所属するか(いろいろ教室の雑用にこき使われることになる)、既に醫學専門學校研究科で得業士となっているか、のいづれかでなければなりません。しかし開業するには、醫師國家試驗に合格し、所属講座から指定された病院に住込見習醫(kuracist intern, interne)として最低1年は勤務し、さらに全科醫組合の開業試驗に合格しなければなりません。特定の専門醫として開業しようとすれば、さらに高等の専門科目(實習を含む)に出席し、「醫學士」(licenciart de medicin, bachelor of medicine)となり、所属講座指定の病院に住込見習専門醫(kuracist restad de specialec, resident)として數年間勤務し、専門醫師組合(例えば「整形外科醫組合」)の開業試驗に合格しなければなりません。
複數の學士號を取得すると、「修士」(magister, master)と稱し、講座の助手として勤務できます。私講師(lektor privat, private lecturer)として教室を借り、自由に講義を開くこともできます。本物の講師が持つ講義と違って、單位にならないのですが、單位を取る助けになる内容であったり新しい分野への導入紹介であれば人氣が出て授業はいつも聴講で満員です。盆の銀貨(聴講料)も集まるので、研究費の足しになります。
「博士」(doktor, doctor)は、「教授組合」が認定します。博士論文は、職人が親方になる時に、同業組合の試驗で作るマスターピースのようなものです。
大學は分科大學(fakultat)に分かれていて、文科、理科、法科、醫科、農科、工科、神學科などがあります。單科大學が集って綜合大學(universitat)と成っています。單科だけで獨立している大學もあります。
大學は敷地を持っていますが、餘り組織が大きすぎて街にはみだしてしまうところもあります。街の中に講堂が混在していたり、屋敷を寄附してもらって寮にしていたりします。
大學生の制服と云うものは無く、學生組合の制帽を被っている者や紳士と變らない正装をしている者、豫備士官團の軍装で通す者など、様々です。
大學には、陸軍、海軍ともに大勢の將校を學生として派遣して、勉強させています。
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